ジゴペタルム属(ジゴペタルムぞく、学名: Zygopetalum)は、ラン科植物の属の1つ。立ち上がる花茎に紫の強い花を付けるものが多い。洋ランとして改良もされている。

ジゴペタルム属
Zygopetalum maxillare
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: ジゴペタルム属 Zygopetalum

本文参照

図版(Z. maculatum

特徴 編集

着生植物で、ラン科としては大型[1]。偽鱗茎は卵形で2-数枚の葉をつける。葉は披針形で大きく、表面に多くの襞がある。花茎は偽球形の基部から出て、直立するかまたは斜めに立ち上がり、10個ほどの花を付ける。花はやや肉質で、花被は大きく開く。唇弁は3裂するが側裂片は小さく、中裂片は扇形に大きく広がり、基部に環状の隆起がある[2]。萼片と側花弁はほぼ同型[3]。萼片と側花弁は緑色に赤褐色の粗い斑紋が入る。広がった唇弁の中裂片は白くて赤紫から青紫の条線や斑紋、ぼかしなどが入る。蕊柱は短い。

学名はZygon(くびき)とpetalon (花弁)からなり、これは環状の隆起にちなんだものである[2]。つまり、環状の隆起を牛や馬の首に当てる横木になぞらえたものである[3]

分布と生育環境 編集

ブラジルを中心とした南アメリカの熱帯域に分布する。樹上に着生するか、湿った崖地に生える[2]。地生の種もある[3]

分類 編集

約20種が知られる。

  • Zygopetalum
    • Z. crinitum
    • Z. intermedium
    • Z. mackayi
    • Z. maxillare
    • Z. rostatum

利用 編集

洋ランとして栽培される。その際の略名はZ.である。花弁に褐色系、唇弁には白地に紫の条紋や着色が出る種が多く、その彩りにインパクトがある。また香りのよい種も多い。

交配品種は1874年頃より行われてきたが1940年頃までに登録されたもので現存するものは少ない。それ以降の交配品に評価の高いものが少数ある[4]

出典 編集

  1. ^ 以下、主として園芸植物大図鑑(1996),p.2795
  2. ^ a b c 唐沢監修(1996),p.636
  3. ^ a b c 土橋(1993),p.234
  4. ^ 園芸植物大事典(1996),p.2796

参考文献 編集

  • 『園芸植物大事典 2』、(1994)、小学館
  • 唐澤耕司監修、『蘭 山渓カラー図鑑』、(1996)、山と渓谷社
  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院