ジュゼップ・バルトリ
ジュゼップ・バルトリ・ジュイウ（Josep Bartolí i Guiu, 1910年6月30日 - 1995年12月3日）は、スペイン・バルセロナ出身の画家・イラストレーター・著作家。
| ジュゼップ・バルトリ
Josep Bartolí i Guiu ca | |
|---|---|
 | |
| 誕生日 | 1910年6月30日[1] |
| 出生地 |
 スペイン バルセロナ |
| 死没年 | 1995年12月3日（85歳没）[2] |
| 死没地 |
 アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク |
| 国籍 |
スペイン |
| 芸術分野 | 画家・イラストレーター・著作家 |
経歴 編集
1910年6月30日にスペインのカタルーニャ地方にあるバルセロナに生まれた。新聞社のイラストレーターとして働き、イラストレーター組合と関係する労働総同盟(UGT)の設立に関与した。1936年にスペイン内戦が勃発すると、共和国派のカタルーニャ共産党の部隊としてアラゴン地方で戦った[3]。
スペインからの亡命 編集
1938年にはマリア・バルデスと出会った。スペインからの亡命を試みたバルデスは妊娠していたが、列車がナチス・ドイツの爆撃に遭って死去した[4][5]。この際バルトリは同道しておらず、翌1939年に国境を越えてフランスに亡命し、オード県ブラム、ピレネー＝オリアンタル県アルジュレス＝シュル＝メール、ピレネー＝オリアンタル県ル・バルカレスなどの難民強制収容所に収容された[3][4]。
やがて強制収容所を脱出してパリに向かい、衣装デザインや風景デザインの仕事を行った[6][7]。しかしヴィシー近郊で逮捕され、ドイツのダッハウ強制収容所に移送された。
メキシコ時代 編集
バルトリは再び強制収容所を脱出し、モロッコのカサブランカを経由して1943年にメキシコにたどり着いた[3][4][8][9]。
1944年時点のメキシコには約2万人のスペイン人亡命者がいた。同年にはフランスの強制収容所で描いたイラスト集『Campos de Concentracion 1939-1943』を出版した[10]。
1946年にはメキシコで芸術家のフリーダ・カーロと出会い、3年間ラブレターをやり取りした[11][12]。
ニューヨーク時代 編集
1946年にはアメリカ合衆国のニューヨークに渡った。脚本家・芸術家・著作家などとして働き、旅行雑誌のホリデー誌、サタデー・イブニング・ポスト誌の増刊であるザ・リポーター誌に寄稿した[10]。ハリウッドの舞台芸術家としても働いたが、やがてマッカーシズムの赤狩りの中でハリウッド・ブラックリストに載せられた[2][13]。
イラストレーターとしても働き、1950年代には『ロビンソン・クルーソー』と『ガリヴァー旅行記』のフランス語版に挿絵を描いた[14]。1958年には妻となるBernice Brombergと出会った[2][10][15]。1950年代にはウィレム・デ・クーニング、フランツ・クライン、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコなどとともに10th Street Groupのメンバーとなった[13][16]。
1973年にはマーク・ロスコ賞を受賞した[2][17]。スペインが民主化を果たす1970年代になるまで、スペインに帰国することはなかった[2][10]。1995年12月3日にニューヨークで死去した。
死後 編集
2015年にはカーロとやり取りした手紙や詩のコレクションが13万7000ドルで落札された[18][19]。
2020年にはフランスのイラストレーターであるオーレルによって映画『ジュゼップ 戦場の画家』が製作された。セザール賞では長編アニメーション作品賞を受賞し[20][21]、その他には第26回リュミエール賞(Les Prix Lumiere)でアニメーション賞と音楽賞を、東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)2021では長編アニメーション部門グランプリと東京都知事賞を受賞した[22]。日本ではロングライドが配給し、2021年8月13日から新宿武蔵野館などで公開された[22][23]。
脚注 編集
- ^ Bartoli, Joseph (2002) (カタルーニャ語). Josep Bartolí, un creador a l'exili: dibuixant, pintor, escriptor. Diputació de Barcelona. ISBN 978-84-7794-892-6
- ^ a b c d e “Josep de Bartoli, painter, dies” (英語). United Press International. (1995年12月4日)
- ^ a b c Faber, Sebastiaan (2020年8月27日). “"If Spain Became a Republic Once Again, We'd Have Lost the War a Little Less." Georges Bartolí Remembers His Uncle Josep”. The Volunteer
- ^ a b c Sirach, Marie-José (2009年5月25日). “Georges Bartoli. La Retirada comme un exil permanent” (フランス語). リュマニテ
- ^ “Josep Bartoli et l'exode espagnol : son crayon est une arme” (フランス語). France Culture (2019年1月31日). 2021年8月15日閲覧。
- ^ Vall, Toni (2017年5月14日). “Els figurins perduts de Josep Bartolí” (カタルーニャ語). アラ
- ^ Yuste, Javier (2020年12月4日). “'Josep' dibuja el retrato del exilio republicano” (スペイン語). El Cultural
- ^ Bartoli, Joseph; Cañameras, Jaume (1990) (カタルーニャ語). Conversa amb Bartolí. L'Abadia de Montserrat. p. 67. ISBN 978-84-7826-182-6
- ^ Baquero, Juan Miguel (2020年6月20日). “Josep Bartolí, el artista catalán y republicano que amó a Frida Kahlo y pintó el horror de los campos de refugiados” (スペイン語). エル・ディアリオ
- ^ a b c d Hermoso, Borja (2020年6月12日). “Un dibujante en el campo de concentración” (スペイン語). エル・パイス Hermoso, Borja (2020年6月15日). “Un dibuixant al camp de concentració” (カタルーニャ語). エル・パイス
- ^ Chappo, Ashley (2015年4月2日). “Passion Penned: At Auction, Frida Kahlo's Intimate Love Letters of an Illicit Affair”. オブザーバー
- ^ Kennedy, Maev (2015年4月9日). “Frida Kahlo's love letters to José Bartoli to be auctioned in New York”. ガーディアン
- ^ a b Mayorga, Emilio (2019年6月12日). “Doc & Film Grabs Global Rights to Aurel's 'Josep'”. バラエティ
- ^ “Bartolí, Josep” (フランス語). Catalogue général. Bibliothèque nationale de France. 2021年4月2日閲覧。
- ^ “Making of Josep”. French Institute Alliance Française. 2021年4月2日閲覧。
- ^ Kramer, Hilton (1977年12月23日). “Art: Remember the 50's on 10th St.?”. ニューヨーク・タイムズ
- ^ Teresa, Guillermo Tovar de (1997) (スペイン語). Repertorio de artistas en México: (A-F). Grupo Financiero Bancomer. p. 140. ISBN 978-968-6258-51-6
- ^ “Frida Kahlo Love Letters Sell for $137,000 at Doyle NY”. Fine Books & Collections. (2015年4月16日)
- ^ “KAHLO, FRIDA An important unpublished archive of approximately twenty-five autograph letters to Jose Bartoli, with photographs and various enclosures”. Doyle Auction House. 2021年4月2日閲覧。
- ^ Roxborough, Scott (2021年3月12日). “'Bye Bye Morons' Wins French Cesar for Best Film” (英語). ハリウッド・リポーター
- ^ Jordan, Guifré. “Catalan-French 'Josep' wins César Award for Best Animated Film” (英語). Catalan News
- ^ a b 片渕須直も称賛、強制収容所で描き続けた画家の物語「ジュゼップ」公開 映画ナタリー、2021年6月1日
- ^ 「ジュゼップ戦場の画家」が伝える戦中収容所の姿 東洋経済オンライン、2021年7月5日
外部リンク 編集
- “Josep Bartoli Guiu”. Historical Archive of the City of Barcelona. 2021年8月15日閲覧。
- “Josep Bartolí, intèrpret dels camps de concentració”. Historical Archive of the City of Barcelona. 2021年8月15日閲覧。