ジュフレ (Juffre / Juffreh) は、ガンビアノースバンク地方ロウアー・ニウミ地区に位置するマンディンゴ人が暮らす村落である。アレックス・ヘイリーの自伝的小説『ルーツ英語版』およびそれを原作とするテレビドラマの主人公クンタ・キンテ英語版の出身地とされ、1970年代以降、観光客が多く訪れるようになった。

ジュフレと隣村アルブレダの入り口
アルブレダ / ジュフレの位置
ジュフレにある遺構のひとつ

歴史 編集

ジュフレはアルブレダに隣接する村落だが、河岸に面しているアルブレダとは違い、その北東の内陸にある。

1651年にはクールラント・ゼムガレン公国が、地元の小王国であるバラ (Barra) の王からクンタ・キンテ島とともに借り受けたが、1664年にガンビア川沿岸の諸権利をイギリスに譲渡して撤退した[1]

ジュフレには王立アフリカ会社が存在していた1680年以降にイギリス人たちが入植した。当初はそうした独占企業が中心になっていたが、のちには自由貿易商人らも参入した[2]。他方で、18世紀にはポルトガル人と現地人の混血児もまだ多く住んでいた[2]

アフリカ系アメリカ人作家のアレックス・ヘイリーが自らの先祖と位置づけたクンタ・キンテ英語版は、18世紀に実在していた人物だった。彼は17歳の時に奴隷として連れ去られたとされている[3]

ヘイリーの小説がベストセラーになると、ジュフレや対岸のジェームズ島には多くの観光客が訪れるようになった。ジュフレには21世紀初頭の時点でもクンタ・キンテの一族の末裔が住んでいる[4]。クンタ・キンテが生まれた家も復元されており[5]、奴隷貿易博物館とともに村の名所となっている。

奴隷貿易博物館は、1996年以降、「モーレル兄弟の商館」(Maurel Frères Building) に設営されているものである。モーレル兄弟の商館は、もとは1840年頃にイギリス人が建てた建物だったが、のちにレバノン系商人モーレル兄弟が買い取ったことからその名がある[4]。この商館 / 博物館は、2003年に「クンタ・キンテ島と関連遺跡群」の一部として、ユネスコ世界遺産リストに登録された。

脚注 編集

  1. ^ Hughes & Gailey (1999) pp.54-55
  2. ^ a b Hughes & Gailey (1999) pp.105-106
  3. ^ 神野尚 「『ルーツ』の風景」(『大阪産業大学論集 人文科学編』第113号、2004年)、p.68
  4. ^ a b The Gambia (2001) p.16
  5. ^ NHK世界遺産 | 世界遺産ライブラリー [ジェームズ島と関連遺産](2011年8月28日閲覧)

参考文献 編集

  • The Gambia (2001), James Island and Related Sites (PDF) (ガンビア政府による世界遺産登録推薦書)
  • Arnold Hughes & Harry Gailey (1999), Historical Dectionary of The Gambia, Third Edition, London ; The Scarecrow Press
  • バークレー・ライス (1968) 『愉快なガンビア建国記』 杉辺利英 訳、朝日新聞社

関連項目 編集