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ルーツ (テレビドラマ)

概要編集

アメリカという国家の歴史上、最も暗い側面のひとつである黒人奴隷の問題を真っ正面から描き、社会現象と言えるような大反響を巻き起こした。ドラマが放送されると、中には部屋の電話線を抜いて着信を絶ちドラマに見入る者も現れ、キジー(Kizzy)などアフリカの名前が人気になるなど、人種・民族を問わず好評を博した。

西アフリカのガンビアで生まれた黒人少年クンタ・キンテ英語版を始祖とする、親子三代の黒人奴隷の物語を描いている。続編の『ルーツ2』では、その後(南北戦争で奴隷制が廃止されて以降)の一族の物語が描かれ、最後には原作者アレックス・ヘイリー(演:ジェームズ・アール・ジョーンズ)も登場する。

作品自体高い評価を受けてプライムタイム・エミー賞 作品賞 (ミニシリーズ部門)を受賞した。

アメリカではABCが1977年1月23日〜30日に8日連続で放送、平均視聴率44.9%(エーシーニールセン調べ、全米視聴率)を記録した[1]。日本ではテレビ朝日が1977年10月2日から8日連続で放送、平均視聴率23.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した[2]。また瀬戸内海放送(KSB)では36.8%とネット局の中で最も高い視聴率をマークした。 [3]その半年後の1978年4月9日から4月16日まで、「スペシャルイベント あの感動をもう一度」と銘打って同局で再放送された。2015年には、BS-TBS『火曜デラックス』の枠において、4月7日から4月28日まで4回シリーズで放送された(後に2016年1月24日から2月14日まで同局にて再放送を実施した)。

主人公のクンタ・キンテを演じたレヴァー・バートンは無名の大学生だったが、この一作で人気と知名度を獲得した。クンタ・キンテの母親役にシシリー・タイソンマイルス・デイヴィスの元妻)、ルイス・ゴセット・ジュニアチャック・コナーズヴィック・モローロイド・ブリッジスなど、多くの有名俳優が出演した。アメリカンフットボールのスター選手だったO・J・シンプソンもアフリカの戦士役で出演している。クインシー・ジョーンズによるテーマ音楽も有名である。

1974年頃からミニシリーズ(1回あたり2時間ほどという長尺ドラマを短期集中で放送する)という番組形態が流行し、1976年『リッチマン・プアマン』など、同様のドラマシリーズが制作されていたが、『ルーツ』の大ヒットにより、以後この種のミニシリーズが多数日本でも放送されるようになった。

日本でも「ルーツ」が流行語となり、自分のルーツ探しが流行った。ルーツという英語はこの時点で外来語として定着し、今日に到っている。日本語版がテレビ朝日で放送された際は、トヨタ自動車日産自動車というライバル会社が同時にスポンサーになっており、期待度と注目度がいかに高かったかがうかがえる。

アメリカのケーブルテレビ局のA&Eネットワーク・ライフタイム・ヒストリーの3社によってリメイク版が製作されることが決まった。2016年放送予定になっている。クンタ・キンテを演じたレヴァー・バートンが共同制作責任者となっている[4]。 2016年にヒストリーチャンネルにてリメイク版が登場。

日本での放送時間編集

(参考:「朝日新聞縮刷版」1977年10月2日 - 10月9日および1978年4月9日 - 4月16日各付けのラジオ・テレビ欄

初回放送編集

放送日 曜日 放送時間
JST
備考 視聴率[5]
1 1977年
10月2日
日曜 20:00 - 22:48 [6] 22.7%
2 10月3日 月曜 20:00 - 20:54 23.1%
3 10月4日 火曜 20.0%
4 10月5日 水曜 [7] 23.3%
5 10月6日 木曜 20.2%
6 10月7日 金曜 20.8%
7 10月8日 土曜 18.6%
8 10月9日 日曜 20:00 - 22:48 [6] 28.6%

再放送編集

放送日 曜日 放送時間
(JST)
備考 視聴率
1 1978年
4月9日
日曜 21:00 - 22:52 [8] 11.3%
22:52 - 23:50
2 4月10日 月曜 23:10 - 23:50 [9] 6.6%
3 4月11日 火曜 [9] 6.4%
4 4月12日 水曜 [9] 7.7%
5 4月13日 木曜 [9] 7.5%
6 4月14日 金曜 [9] 7.6%
7 4月15日 土曜 23:00 - 23:50 7.4%
8 4月16日 日曜 21:00 - 22:56 [8] 13.1%
22:56 - 23:50
  • 系列外のローカル局ではマイクロ裏送りで23時台から8夜連続で放送された。[10]

タイトル編集

オリジナル(テレビ朝日版)

  • 第1話:「さらば母なる大地」
  • 第2話:「誇り高きマンディンカの戦士」
  • 第3話:「我が妻 我が娘」
  • 第4話:「愛する者たちの別離」
  • 第5話:「自由への賭け」
  • 第6話:「新たなる天地を求めて」

BS-TBSで放送された際は、以下のように編集された。

  • 第1話:「さらば母なる大地」 - オリジナルの第1話と第2話
  • 第2話:「愛する者たちの別離」 - オリジナルの第3話
  • 第3話:「自由への賭け」 - オリジナルの第4話と第5話の前半(チキン・ジョージのイギリスに向かうまで)
  • 第4話:「新たなる天地を求めて」 - オリジナルの第5話後半(チキン・ジョージの帰国後から)と第6話

キャスト編集

()内は日本語吹き替え版[注 1]

1750年生。ガンビアのマンディンカ族出身。村で尊敬されているイスラム教の聖者の孫に当たる。
17雨(雨季のことで1雨が1年。数え年)で太鼓の材料の木材を探していて白人に捕まり、アメリカに奴隷としてレイノルズ農場に売られ、トビーと名づけられる。何度か脱走を試み、制裁として右足首の指の付け根の部分を全て切断される。花壇の世話係から御者になる。奴隷でありながら、誇り高く生き、アフリカ人としてのあり方を変えなかった。また、白人の人非人な行為に怒りを覚え、後に授かった娘には常に心を許すなと述べている。
原作ではキジーが売却された後のことは描かれていないが、ドラマではキジーが仲良くなった奴隷と元の農場に戻り、父の死を知る原作にはないシーンがある。それによれば、彼は1822年に亡くなったと同じ農場にいる住民が語っている。
クンタ・キンテの父。息子を厳しく、愛情深く育てる。
クンタが成人訓練の試練を受けていた時に出会った女性。一緒の奴隷船に積み込まれ、カルバート農場に売却される。
クンタは彼女に会うために脱走し再会したものの、アフリカ人の考えを捨て、カルバート農場の若旦那の妾として生きていくことをクンタに告げる。
バイオリン弾き。本当の名前はヘンリー。クンタ・キンテの友人。演奏者として方々に出入りし、聞き込んだニュースを奴隷たちに面白おかしく聞かせる。自分を買い戻すための金を貯めている。
ドラマではクンタ・キンテの教育を任され、親代わりの一面を持っていた。1790年キジーが生まれてしばらくして亡くなる。
クンタ・キンテが最初に売却されたレイノルズ農場の監督係。白人。脱走のおそれがある彼に厳しく当たるものの、彼の脱走を食い止めることができなかったため、最終的にはクビになる。
クンタ・キンテが最終的に売られたウィリアム農場の料理女。のちにクンタ・キンテの妻となる。クリスチャン。アメリカ生まれの黒人。
クンタ・キンテが売られてきたときから好意を持っていたが、アフリカ人としての彼の生き方にはついていけない。なお、過去に結婚歴があったものの、夫は逃亡しようとしたことで縛り首にされ、その間に生まれた娘達は売られている。そのため、トビーが逃亡しようとした時には、その話をして思い留まらせた。
キジーが売られた後、彼女も別の農場に売られたことを同じ農場にいる住民が語っている。
1790年生。クンタ・キンテとベルの娘。キジーとは、マンディンカ語で『ここに留まる(そのまま)』という意味。
クンタ・キンテからアフリカの話を繰り返し聞かされる。アン・レイノルズと行っていた学校ごっこの生徒役をやっていたので、ある程度読み書きができる。
恋人の奴隷の若者のために通行証を偽造したことから、制裁として売り飛ばされる。売却先の主人モーアに強姦され、ジョージを生む。
一時別の農場からやって来たサムと恋に落ちるものの、別れることを選択し、以降はシングルマザーとして生涯を過ごす。ジョージがイギリスから帰る前年(1860年)に亡くなっている。
ウィリアムの姪でジョン・レイノルズ(レイノルズ農場の農場主)の娘。しかし、黒人達の間ではウィリアムとジョン・レイノルズの妻との間に生まれた子という噂が流れている。
キジーは彼女とは友人の間柄と思っていたが、彼女自身は友人というより所有物(つまり奴隷)の間柄だと思っている(彼女を買い取って一緒に連れて行こうとさえ思っていた)。というのも、奴隷制度の存続を熱烈に支持していたからで、キジーが売られた際にも情けをかけていたのを愚かだとさえ思うほど冷徹であった。
キジーの息子のジョージがイギリスに渡った後、彼女の住んでいた農場に偶然立ち寄った際に再会するものの、覚えていないふりをしている。そのため、キジーに意趣返し(唾を吐きかけられた水を飲まされる)をされてしまう。
キジーが売却された先の農場主。黒人奴隷が高いため、自らが種付けすることで頭数を増やそうと考える。それにより黒人奴隷との間にはジョージも含め20人ほどの子供が存在している。そのことで妻との関係は冷え切ったものだったが、ナット・ターナーが反乱を起こしていた時には、妻の妄言とも言える言動を聞き入れ、黒人達から刃物だけでなくナイフやフォークといった食器に至るまで回収するほどだった。
いわゆるプア・ホワイトであったが闘鶏で財を成す。のちに闘鶏でイギリス人との賭けに負け破産。ジョージには約束通り奴隷解放書を出したものの、それ以外の約束を反故にし、彼の家族をハービーに売却することになる。
チキン・ジョージいわく、再会した時の彼の生活は「惨めだった」と語っている。
原作では、キジーが売却される白人の名前はトム・リーである。
1806年生。キジーの一人息子。機知に富む遊び人で、面白おかしく見聞きした話を仲間に話す。闘鶏に天才的な才能を示し、闘鶏師となる。闘鶏でイギリス人との賭けに負けた際、借金のカタとはいえ、イギリスに渡ることになる。
帰国後にトムから解放証明書をもらい、自由の身となり、家族と再会するものの、60日以上滞在すると再び奴隷にされてしまうという法律のために再び家族と離れざるを得なくなる。南北戦争にも兵士として参加し、戦争終結後家族の下に再び帰ってきた際には、白人達の圧政に苦しむ彼らに知恵を授ける。戦争後に再び闘鶏を行って財を成し、テネシー州ローダーデール郡ヘニングに土地を購入。農園に住んでいた妻・息子夫婦・孫やジョンソン達と共に移住する。
1889年に亡くなる。享年83。
トムの農場にやって来た別の農場の御者。プレイボーイで過去に何人も女がいたことを話している。キジーに一目ぼれし、結婚まで誓うものの、レイノルズ農場に行って門限を破り農場主から暴行を受け必死に許しを乞う姿が彼女との間に軋轢が生じ別れを告げられる。
ジョージの妻。非常に信心深いクリスチャンで、遊び人の夫の行状にも辛抱強く耐えている。ジョージより早く亡くなっている。
ジョージの息子(長男)。街で鍛冶屋を営んでいる。アイリーン(リン・ムーディ丸山真奈実))という妻がいる。
ブラント兄弟(特に弟)によってジョンソンが犯した食料盗難の犯人の濡れ衣を着せられ最初は恨んでいたが、名前が父親と同じだったことをきっかけに意気投合する。また、彼に黒人奴隷の監督や南部での生き方がいかなるものかを説いている。
無法を犯す白人に対しては、法によって対処すべきだと説き、農場に住む黒人達の先頭に立って行動を起こした。
ジョージの息子(次男)。
白人全てに対しては法ではなく、復讐であたるべきだと説いていたが、ジョンソンが兄を救ってくれたことで、その考えを改めることになる。
サウスカロライナ州の農場にいた白人で、街の食料を盗んだ真犯人。マーサという妻がいる。
南北戦争で住んでいたところから逃げた挙句、極度の貧困で食べる物も困る有様となり、食べ物を恵んでもらうためトムの家に物乞いに来る。
その後定住し、ハービー農園の黒人奴隷の監督役を任じられる。アーサー・ジャスティンに農場主が変わった際、小作人から農場の管理人に抜擢される。
プア・ホワイトであったものの、トムからは差別をしない彼を変わり者と評している。というのも、彼も含めた白人も貧しかったためなのと、黒人奴隷がほとんどいなかったためである。
白頭巾をかぶった白人達の前でトムにむち打ちを振るう演技をしたことで、農場の黒人達の信頼を得ることになる。
黒人を奴隷としてしか見ていない白人。南北戦争の際には南軍の大尉として戦った。街で雑貨屋を営んでいる。
戦中に膝に銃弾を食らったことで足に障害を持ち、生涯を台無しにされたと思い込んでいたため、黒人蔑視の思想は変わることはなかった。
後に白頭巾をかぶった集団を組織し、トムを木に縛り付ける。
エヴァンの弟。兄と共に南軍の一員として戦う。
南軍の敗北が濃厚になった1864年に脱走。トムに脱走の協力を懇願するものの、実は虚偽であったことがわかっため、最後はトムによって溺死させられる。
上院議員で弁護士。黒人解放を快く思っておらず、黒人を虐げる策を練る狡猾さを持っている。焼き討ちにあった(実際は自身の指図で行った)ハービー農園を買い取り農場主にもなる。

関連項目編集

  • クンタ・キンテ島(旧称ジェームズ島) - ガンビアにある島で、かつての奴隷貿易の拠点。本作主人公の名に因み2011年に改名。世界遺産「クンタ・キンテ島と関連遺跡群」を構成する。
  • コンタキンテ - お笑い芸人。芸名は本作の主人公から付けられた。
  • 安岡章太郎 - 作家。原作小説を日本語に翻訳。
  • テッド2 - 2015年公開のコメディ映画。州政府に「人間」ではなく「所有物」とされ、働いていたスーパーを解雇され、銀行の口座やピザ屋の会員証などを剥奪され、妻との婚姻も無効とされたテッドがこのドラマを見るシーンがある。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 1977年の吹き替え後、ビデオ版発売の際に再度吹き替え直し、その音声がDVDにも収録されている[11]

出典編集

  1. ^ 「パーセントの裏っ側 『将軍』の全米視聴率」『サンデー毎日』1980年10月26日号、99頁。
  2. ^ 引田惣弥『全記録 テレビ視聴率50年戦争―そのとき一億人が感動した』講談社、2004年、137-138頁。ISBN 4062122227
  3. ^ 「テレビ朝日社史 ファミリー視聴の25年」(1984年、全国朝日放送㈱総務局社史編纂部編)259ページ参照。
  4. ^ 黒人奴隷を描いたドラマ「ルーツ」がリメーク 米 - 2015年5月2日付CNN.co.jp
  5. ^ 「テレビ視聴率季報(関東地区)」ビデオリサーチ。
  6. ^ a b 日曜洋画劇場』扱いはされない。なお20:54の『ANNニュース』は22:48に繰り下げ。
  7. ^ 水曜スペシャル』扱いはされない。なお19:30 - 20:00には動物ドキュメンタリー特番『動物スペシャル』を放送。
  8. ^ a b 『日曜洋画劇場』として放送。
  9. ^ a b c d e 23時ショー』(第2期)は繰り下げ。
  10. ^ 「テレビ朝日社史 ファミリー視聴の25年」(1984年、全国朝日放送㈱総務局社史編纂部編)258ページ参照。 
  11. ^ 池田秀一「序章 役者への階段 乗り気じゃなかった「声優」という仕事」『シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星』ワニブックス、2007年1月7日、ISBN 4-8470-1700-5、39頁。

外部リンク編集