スイスドイツ語
スイスドイツ語(スイスドイツご、標準ドイツ語: Schweizerdeutsch, スイスドイツ語: Schwyzerdütsch)は、スイスで使われるドイツ語の方言で、アレマン語に属する高地アレマン語が中核となっている[1]。
スイスドイツ語 | |
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Schweizerdeutsch | |
話される国 |
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話者数 | 850万人 |
言語系統 | |
表記体系 | ラテン文字 |
言語コード | |
ISO 639-3 |
gsw |
消滅危険度評価 | |
Vulnerable (Moseley 2010) |
しかし、同じスイスのドイツ語圏内でも、ベルン方言、チューリッヒ方言、ウーリ方言、ツーク方言、ザンクトガレン方言などの各言語に差異があるために、その総称でもあるスイスアレマン語やスイス語とも呼ばれる。
方言編集
- 高地アレマン語 Hochalemannisch (gsw-hig)
- スイスドイツ語 Schweizerdeutsch (gsw-swi)
- グラウビュンデン=グリゾン方言 Graubünden-Grisons (gsw-gra)
- オプヴァルデン方言 Obwald (gsw-obw)
- ザンクト・ガレン方言 St. Gallen (gsw-stg)
- ベルン方言 Bern (gsw-ber)
- チューリッヒ方言 Zürich (gsw-zur)
- アッペンツェル方言 Appenzell (gsw-app)
- ルツェルン方言 Luzern (gsw-luc)
- ウーリ方言 Uri (gsw-uri)
- ツーク方言 Zug (gsw-zug)
- スイスドイツ語 Schweizerdeutsch (gsw-swi)
概要編集
ドイツやオーストリアのドイツ語とは発音や語彙にかなり差異があるため、ドイツ・オーストリア両国のドイツ語話者すら理解が困難なほどである。
また、スイスドイツ語という統一の言語があるわけではなく、地域による方言差が大きいため、ドイツ語圏のスイス人でも別の地域の言葉の理解は容易ではない。スイスドイツ語を母語とする住民は標準ドイツ語に関して、読み書きは問題がないが会話は苦手としている例もある。スイスの学校では標準ドイツ語の授業が、半ば外国語学習として行われている。
なお、スイスにはアレマン語の別の一派であるアルザス語をはじめとして、イタリア語(ロンバルド語・ティチーノ語)、ロマンシュ語、フランス語を使う地域もあるが、これらの地域では標準ドイツ語と英語を学ぶ。
ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタインでは、古来からあった ss を ß で表記することが多いが、スイスではフランス語やイタリア語などにないこの文字を避け、ss を使用することが多いのが特徴である。さらに、大文字のウムラウトを表記せず、a/o/u のあとに e を後置する特徴がある (ä → ae, ö → oe, ü → ue) 。
- k/p/t は標準ドイツ語のような有気音にはならない。
- b/d/g は常に無声化し、[p]/[t]/[k] となる。
- l は音節化するか、u[w] の音となる。
- r はほとんどの地域で [r](歯茎ふるえ音)が用いられるが、バーゼル方言や東スイスの一部では [ʀ](口蓋垂ふるえ音)が用いられる。
また、一人称を ich (イッヒ)ではなく I (イー)と表記する場合もある。
単語・地名編集
日本語 | スイスドイツ語 | 標準ドイツ語 |
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こんにちは | Grüezi/Grüessech | Guten Tag |
ありがとう | Merci | Danke |
さようなら | Uf Wiederluege | Auf Wiedersehen |
スイス | Schwiiz | Schweiz |
チューリッヒ | Züri/Zueri | Zürich |
給与 | Salär | Gehalt |
伝える | ausrichten | mitteilen |
駐車する | parkieren | parken |
自転車 | Velo | Fahrrad |
脚註編集
関連項目編集
- オットマー・ヒッツフェルト(ドイツ出身、スイス育ちのサッカー指導者。日常ではスイスドイツ語で会話している)
- アレマン公国