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テッラバクテリアTerrabacteria)とは、細菌の系統についての仮説である。グラム陽性菌光合成細菌を中心とした系統であり、上門相当とされることがある[1]2004年藍色細菌門デイノコックス・テルムス門放線菌門を含む系統として提唱され[2]、後にクロロフレクサス門フィルミクテス門、そのほかの近縁系統が追加された[3]。実在するとすれば6000以上の種を含む[3]。これは記載されている細菌の2/3を超える。いくつかの分子系統解析がこの系統の実在を支持している[1][4]が、定説ではない。

テッラバクテリア
Bacillus subtilis Gram.jpg
分類
ドメ
イン
: 細菌 Bacteria
上門 : テッラバクテリア Terrabacteria
学名
"Terrabacteria"(Battistuzzi et al., 2004)
下位分類(門)

外膜の無い細菌類のほぼ全てを含んでいる。起源は大陸の発達した30億年前に遡ると想定されており、細菌古細菌の中では比較的後発のグループである[3]地球史における陸地の発達と関連すると考えられ、乾燥紫外線、高塩環境への適応に優れている。海中での占有率は12-14%だが、湿った土壌では28%、乾燥土壌では67%を占める[3]。そのためラテン語大陸・陸地を意味するTerra(テッラ)+bacteriaでTerrabacteriaと名付けられた[2]

特徴編集

細胞壁の構造編集

放線菌とフィルミクテス門、テネリクテス門は従来から外膜が無いとされてきた。また、クロロフレクサス門も細胞壁にリポ多糖が無く、構造的に類似している。外膜を欠損するのはテッラバクテリアに固有の形質であり、その他の細菌は全て外膜を保有している。なお、藍色細菌門とデイノコックス・テルムス門には外膜がある。

フィルミクテス門と放線菌、デイノコックス・テルムス門の多くの種はグラム陽性であり、また、クロロフレクサス門にも多くのグラム陽性菌が所属している。テッラバクテリア意外にグラム陽性の細菌はほとんどいない。

胞子編集

フィルミクテス門の多くの種は内性胞子を形成する。また、放線菌のうち、ストレプトマイセス属マイコバクテリウム属の一部の種、藍色細菌のプレウロカプサ目が内性胞子を形成する。また、放線菌の多くの種は分節胞子を、クロロフレクサス門のクテドノバクテリア綱も出芽胞子を形成する特徴がある。一方、テッラバクテリア以外の細菌で胞子に類似の構造を形成するのはクラミジア門プロテオバクテリアのごく一部の種に限定される。

系統(Battistuzzi et al., 2009による)編集

脚注編集

  1. ^ a b Rinke, C., Schwientek, P., Sczyrba, A., et al. (2013)“Insights into the phylogeny and coding potential of microbial dark matter,”Nature, 499(7459):431-7.
  2. ^ a b Battistuzzi, F. U., A. Feijão, and S. B. Hedges. 2004. A genomic timescale of prokaryote evolution: insights into the origin of methanogenesis, phototrophy, and the colonization of land. BMC Evol. Biol. 4:44.
  3. ^ a b c d Battistuzzi FU, Hedges SB (February 2009). "A major clade of prokaryotes with ancient adaptations to life on land". Mol. Biol. Evol. 26 (2): 335–43.
  4. ^ Bern M, Goldberg D (2005). "Automatic selection of representative proteins for bacterial phylogeny". BMC Evol. Biol. 5 (1): 34.
  5. ^ ただし、rRNAによる系統樹ではテッラバクテリアに入らない(Battistuzzi et al., 2009)
  6. ^ フソバクテリアの位置は不確定(Battistuzzi et al., 2009)