ディキシー英語: Dixie)とは、アメリカ合衆国南部諸州の通称。ディキシーランドDixieland)とも呼ばれる。

「ディキシー」の楽譜の表紙

1859年ダニエル・エメットDaniel D. Emmett)が発表した「Dixie」(または「I Wish I Was in Dixie」「Dixie's Land」とも)という歌が、南北戦争時にアメリカ連合国軍行進歌として使われたことにより、ディキシーという呼び名が広まった。南部人のことを「レベル」とも呼ぶ。逆に北 部人は、ヤンキーと呼ばれる。

現代、「ディキシー」と定義される地域を赤く示した。地図上の赤色が薄くなるにつれてディキシーと定義される頻度が低くなる。

歴史 編集

 
ルイジアナ市民銀行が発行していた「Dix」の文字が印刷された10ドル紙幣

オックスフォード英語辞典』においては語源不詳としている。『A Dictionary of Americanisms on Historical Principles』(Mitford M. Mathews著、1951年)によれば、以下の2つ説が一般に通用しているという。

  1. ペンシルベニア植民地メリーランド植民地との境界線を確定するメイソン=ディクソン線を測量したジェレマイア・ディクソン(Jeremiah Dixon)の名に由来するという説。メイソン=ディクソン線は南部の北限である。
  2. ルイジアナ州にあったフランス系住民向けの銀行「ルイジアナ市民銀行(Banque des citoyens de la Louisiane)」が発行していた紙幣に由来するという説。この銀行は10ドル札を発券していたが、フランス語で10を意味する「Dix」が裏面に書かれていた(この紙幣は現在、貨幣コレクターの市場では人気があり、高値で取引されている)。南部人の英語話者は、この紙幣を「ディキシーズ(Dixies)」の愛称で呼んでいたため、ニューオーリンズ付近やケイジャンが多いルイジアナ州の一部を「ディキシーランド」と呼び、最終的には南部全体がそう呼ばれるようになった、というもの。

この他に、マンハッタンにいた奴隷主の「ディキシー氏(Mr.Dixy)」という人物に由来するという説もある。ニューヨーク州では1827年まで奴隷制は合法であったが、ディキシー氏は支配下の奴隷に寛大かつ親切であったため、「ディキシーの土地」は物質的快楽が豊かな理想郷として当時有名であったというものである。

ディキシーの住民の特徴としては、政治家では ロナルド・レーガン[1]、ジョージ・W・ブッシュ[2]ドナルド・トランプらを支持してきた[3]

関連楽曲 編集

ディキシー」(または「I Wish I Was in Dixie」「Dixie's Land」とも)という曲は南部を歌った大衆歌謡で、もとは北部人の作曲家ダニエル・エメットが1859年に作ったもので、ブラックフェイス(顔を黒く塗って黒人に扮した白人芸人)が出演するニューヨークのミンストレル・ショーで披露した。この曲は非常に人気を博し、直後に起こった南北戦争で南部の非公式な軍歌となったほどであった。南部軍の歌だったこととミンストレル・ショー起源ということで、この曲はオールドサウスを強く連想させることとなる。

アメリカン・パトロールの一部に取り入れられている。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ 1980年代の右派、新自由主義の大統領。
  2. ^ 911貿易センター・ビルなどでの同時多発テロ時の大統領。アフガン戦争、イラク戦争を起こした
  3. ^ トランプ レッドネック 2022年12月16日閲覧
  4. ^ [ https://www.economist.com/special-report/2004/11/11/the-triumph-of-the-religious-right トライアンフ・オブ・ザ・レリジャス・ライト] 2022年12月26日閲覧
  5. ^ ケニー・ロジャース、ジョン・デンバー、ドリー・パートンらが有名な歌手である
  6. ^ メタリカ、スレイヤー、ラットなどが有名バンド
  7. ^ フェミナチの言葉を提唱した政治番組のパーソナリティー

外部リンク 編集