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銃規制(じゅうきせい)は、の所持・携帯・使用・販売などを制限・禁止したり条件を課したりする法令や政策をいう。軍や警察にも銃の取り扱いに関する規則・規制があるが、一般には民間人の銃に対するものを指すことが多い。本項目ではもっぱら民間の銃に対する規制について解説する。

日本編集

歴史編集

近世編集

16世紀鉄砲伝来以降、日本では火縄銃型の鉄砲が量産された。戦国時代末期には50万丁以上が国内に存在していたともいわれ、当時の世界最大の銃保有国とされる[1][2]

全国規模の銃規制は、一揆に対する予防措置として豊臣秀吉が実施した刀狩にはじまる。天正16年(1588年)に全国規模で命じた刀狩令は、百姓身分が刀、槍、弓、鉄砲そのほか武具の類いを所持することを禁止するものであった。それまで日本は戦国時代であり、農民であっても戦に参加するのも珍しくなく、武士以外の者も公然と武具を所有していた。しかし、刀狩によって武士以外の者が武装することは禁じられ、武士とそれ以外の身分がはっきりと固定されるようになった。なお、この時の刀狩では、ある程度鉄砲が没収されたが、実際にはかなりの量が没収されずに残ったようである[3]

江戸時代初期の幕府は、争いに鉄砲を含めた武器を持ち出すのを禁止しつつ、鳥獣に対して用いる鉄砲については所持と使用を認めていた[4]

徳川綱吉の時代、貞享4年(1687年)の諸国鉄砲改めにより、全国規模の銃規制がかけられた。武士以外の身分の鉄砲は、猟師鉄砲、威し鉄砲(農作物を荒らす鳥獣を追い払うための鉄砲)、用心鉄砲(特に許された護身用鉄砲)に限り、所持者以外に使わせないという条件で認められ、残りは没収された[5]。この政策は綱吉による一連の生類憐れみの令の一環という意味も持ち[6]、当初は鳥獣を追い払うために実弾を用いてはならないとするものだった。それでは追い払う効果が得られず、元禄2年(1689年)6月には実弾発射が許された[7]。諸藩は幕府の指令に従って鉄砲を没収あるいは許可し、その数を幕府に報告するよう求められたが、綱吉の死とともに幕府の熱意は薄れ、報告義務はなくなった[8]。とはいえ銃統制そのものがなくなったわけではなく、幕府・諸藩に許可された鉄砲以外は禁止するという制度が形骸化しつつも幕末まで続いた[9]

諸国鉄砲改めの時もその後も、同一地域内でも村によりかなりのばらつきがあるものの、領内の百姓所持の鉄砲数が武士の鉄砲数をはるかに上回るような藩が多くあった[10]。それでも民衆層は鉄砲を争闘に用いることを自制し、たとえば百姓一揆打ち壊しに鉄砲を持ち出すことはなかった[11]

幕末には対外防衛の必要から規制が緩和され、広島藩など一部の藩では大量の鉄砲の存在が確認された。この増加が緩和による鉄砲数の実際の増加なのか、隠し持っていた鉄砲の顕在化なのかについてはなお議論がある[12]

近代編集

明治以降、1945年までの銃規制は、規制をかけつつ原則として容認する点で、幕末と変わらなかった。明治政府は1872年(明治5年)に銃の所持を許可制とする銃砲取締規則を制定した。別に1884年(明治17年)制定の火薬取締規則があり、これと銃砲取締規則を統合して、1899年(明治32年)に銃砲火薬類取締法を制定した。銃砲火薬類取締法には1910年に大きな改正(明治43年法律第53号)があった。[13]。郵便逓送人が持つ拳銃は1873年に所持が許され、1887年現金書留配達需要が増したため「郵便物保護銃規則」に定められた。

銃砲火薬類取締法は、銃砲を軍用と非軍用に分けた。軍用の銃砲とは、日本軍で現に用いているか、それに匹敵する性能を持つものである。たとえば距離1000メートルで命中したときに殺傷能力を持つ銃は、軍隊になくとも軍用銃の扱いとなった。また、性能が劣っていても軍が用いているなら軍用銃砲となった。非軍用銃砲は、軍で用いるには性能が劣る銃砲で、陸軍から払い下げられて猟銃とされた旧式の銃がその典型である[14]。軍用銃砲についてはその譲り渡しと譲り受けの両方について警察官署の許可が必要だが、非軍用銃砲は許可なしに取得・譲渡できた。所持には規制がない[15]

別に、1910年制定の銃砲火薬類取締法施行規則(明治44年勅令第16号)の第39条と第40条によって、軍用・非軍用にかかわらず容易に隠し持てる形と大きさの武器を「拳銃、短銃、仕込銃、仕込刀剣その他の変装武器」としてまとめ、さらに厳しい規制をかけた。「仕込刀剣」が含まれるように、隠し持てる武器が規制対象である[16]。これらは所持・授受・運搬・携帯が許可制であった。警察官署は安寧秩序の維持に問題があると考えれば随意に不許可にすることができたが、基本は許可するものなので、護身用の拳銃所持・携帯は普通に認められた[17]。例外として、陸軍軍人が正装用に持つ拳銃と、郵便逓送人が僻地で郵便物保護のために持つ拳銃は、職務のためとして許可が不要とされた[18]

現代編集

1945年には敗戦の混乱のなかで旧日本軍から盗まれた軍用銃が大量に出回った。1946年6月15日施行のポツダム緊急勅令、銃砲等所持禁止令(昭和21年勅令第300号)によって、狩猟用等を除き民間の銃の所持は禁止されることになった。1950年11月30日ポツダム政令銃砲刀剣類等所持取締令が施行、1958年銃砲刀剣類等所持取締法(銃刀法、昭和33年法律第6号)が制定され、1965年の改正で正式名称を銃砲刀剣類所持等取締法と改められ、その後も改正を受けて現在に至っている。軍用銃所持が沈静化して以降は、不法な銃の所持は暴力団や一部の市民の改造拳銃や輸入拳銃が中心となった。

現在まで、日本の政党や政治家に銃規制に反対する者はほとんどいなかった。ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件の影響でさらに規制が強化されたが、規制が厳しすぎてハンターの新規参入が困難になっていることから、規制を緩和する要望が猟友会などから出されている[19]

現状編集

現在の日本における銃規制は主に銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)を根拠とする。同法は、拳銃・小銃機関銃・猟銃その他金属弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲および空気銃を銃砲と定義し、法令に基づき職務のため所持する場合などを除き、原則として所持を禁止している。これは世界的にも厳しい規制であり、日本の殺人事件において銃器によるものの割合は全体の3.5%と世界で2番目に低い数値となっている。また、日本では狩猟や射撃競技の認知度が低く、国民が銃器を所持している割合は0.3%程度と世界で最も低い[20]。このような厳しい所持規制や銃器を使用した犯罪が少ないことから、モデルガンエアソフトガンなどの流通には寛容であり、日本独自の遊戯銃文化が発展した。

ただし、遊戯銃のうち金属製モデルガンについては、これらを用いた犯罪の多発により1971年に外観規制(模造けん銃規制)、1977年に構造・流通規制(模擬銃器規制)が施行されており、エアソフトガンについても傷害器物損壊事件の増加により、2006年に威力規制(準空気銃規制)が施行されている。これらの規制以外に、銃刀法の直接の改正には至らなかったものの、1986年国際産業が発売したM29パワーアップマグナム1994年アサヒファイアーアームズが発売したM402008年タナカワークスが発売したカシオペアシリーズが真正銃に当たるとの鑑定結果を受けて販売禁止・回収が命じられている。

精巧な遊戯銃が流通する一方で、かつてはその技術水準の高さから世界の銃器メーカーのOEM供給元として大きな評価を得ていた国内の拳銃・ライフル・散弾銃・空気銃メーカーは、銃刀法の規制が強化されていった1980年代以降徐々に淘汰が進んでいき、2010年代現在は事実上各銃種ごとに1社ずつしか存在しない[21]という、民間産業としては死滅に近い状態に至っている。

銃の所持許可は各都道府県公安委員会管轄しているが、許可に当たっての審査基準や試験の難易度は全国一定ではなく、都道府県毎にばらつきがあるとされる。過去に銃器を用いた事件が発生した都道府県ほど、所持許可の新規取得が難しいといわれており、三菱銀行人質事件が発生した大阪府、歴代市長が二度にわたって銃撃された(長崎市長銃撃事件長崎市長射殺事件長崎県カービン銃での立て篭もり事案(金嬉老事件)が発生した静岡県におけるライフル銃の所持、あさま山荘事件が発生した長野県少年ライフル魔事件が発生した東京都などでは審査基準が厳しいとされている。

所持が許可されるライフルの形態等には制限があり、ピストルグリップがストックから独立している軍用型ライフルの所持は認められていない。日本でもM16の民間向けモデルであるAR-15スポーター(軍用モデルと違い全自動射撃ができない)の所持が可能だが、口径6ミリメートル以上およびサムホールストックに改修することが条件となっている。また、軍用ライフルで銃口付近に設けられていることが多い着剣装置については、銃剣の所持規制の関係から破壊・除去する必要があるとされているほか、銃刀法上明確な言及はないが、豊和M300スターム・ルガー・ミニ14イズマッシュ・サイガ・セミオートライフル英語版など、.30カービン弾などを、箱弾倉を用いて装填するタイプのライフルは、箱弾倉を海外で販売されている多弾数のものに交換するなどの違法改造が容易なため、新規の所持許可や譲渡許可が下りにくいとされている。

このように、銃の所持許可を取得するための条件が厳しいため、近年は狩猟人口やクレー射撃競技人口自体が減少傾向にあり、鹿などの個体数が増加し、農作物の食害や、自然の山林が破壊される事例が増えている[22]ことから、銃所持の条件を緩和する案が何度か出されている[23][24][25]。射撃競技でも、18歳以下のライフル射撃競技者が自ら銃を所持する場合は自宅保管が行えず[26]、ピストル競技に至っては、競技人口がエアピストルは18歳以上の500人以下、装薬ピストルは50人以下に制限されており[27]、競技人口の伸び代が期待できない状況に置かれている。

自動小銃等の軍・公安機関向け銃器は豊和工業が製造しているが、海外への輸出が制限されていることから納入先は国内の警察、海上保安庁自衛隊等にとどまり量産効果が発揮されず、89式5.56mm小銃のように調達価格が高止まりしている例が多い。

2013年11月、日本船舶に小銃などで武装した民間警備員(外国の警備会社所属)の乗船を認める海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法(平成25年法律第75号)が成立した。アデン湾などの海賊多発海域に限るが、日本において、民間人の防衛目的での銃武装を認める初めての法律である[28][29]

不法に銃器を製造する事件が何度か発生しており、オウム真理教自動小銃密造事件を始め、2014年には3Dプリンター銃製造事件が発生している。また丸山ゴンザレス2017年フィリピンセブ島にある銃の密造工場を取材したところ、フレームは日本で製造した物を輸入しているとの証言をヤクザに雇われたフィリピン人職人より得ている[30]

アジア編集

 
マラッカ海峡で海賊撃退の訓練を受けるアメリカ商船の船員(1984年)

東アジア編集

中国での所持は厳しく規制されているが、不法に製造された銃器が黒社会の間で取引されている[31]

韓国では、ショットガンライフル拳銃とも許可を取れば入手できるが、銃器を警察署に常時預けておき、射撃のために使用するごとに警察署から借り出し、使用後はふたたび返却しなければならない。銃器による事件が増えたことを契機にさらに銃規制の強化が検討されている[32]

台湾では規制が厳しく所持は容易ではない[33]。猟銃は台湾原住民の文化伝承としても許可されるが届け出制のため不法所持は少ないという[33]。しかし台湾黒社会では密輸した銃器やエアソフトガンを違法に改造した銃器が流通しており問題となっている[33]

南アジア編集

インドでは自衛目的での所持も許可されるため、2016年末の時点で約340万人が許可を受けている[34]

パキスタンでは銃器の不法所持は7年以下の拘禁もしくは罰金又は両刑の併科となり[35]、また模造品の弾丸など紛らわしい物を所持していると航空機への搭乗拒否や逮捕に繋がることもある[35]など厳しく取り締まられている。しかしペシャーワル郊外などには銃器の密造産業化しているため[36]、誰でも格安で入手できることから、都市部では銃を使った強盗が多発している[35]。また土産として購入した観光客が逮捕される事件も発生している[35]。密造された銃器は南アジアを始め各地のテロリストの手に渡っていることから、当局が取り締まりを強化した結果、密造は減少しつつある[36]

東南アジア編集

マラッカ海峡の海賊や反政府ゲリラが不正に入手した銃器で武装しているため、付近を航行する外国商船の船員も自衛用として銃器を所持していた。

シンガポールでは競技用の許可は下りるが競技人口は少ないという[37]。Arms Offences Actで規定された銃器を含む武器を使用した犯罪には鞭打ち刑や死刑などが科される[38]

マレーシアでは自衛用として一般人の所持が許可されているが、厳格な審査がある[39]

フィリピンでは規制が緩く、セブ島などの観光地に銃器の密造を行う工場[40]があるなど政府が把握できない銃が流通しており、各地で銃犯罪が多発している[41][42]。また観光客向けの射撃場も多数ある。

インドネシアでは銃器爆発物法により原則所持が規定されているが、市内では安価で購入できることから銃犯罪が多発している[43]

北米編集

アメリカ合衆国編集

カナダ編集

カナダでは狩猟が盛んであるため需要が多く、ハンドガンやライフルは許可制となっている。銃規制の法は連邦法であり、内容は全国共通になり、アメリカのような州ごとの法差がない。所有できる銃はNon-Restricted Weapon(規制対象外)、Restricted(規制対象)、Prohibited(禁止対象)の3種類にカテゴリー分けされている(Non-Restricted Weaponは直訳の規制対象外ではなく実際には免許や登録が必要である)。Non-Restrictedには狩猟用ライフル銃、ショットガン等が該当し、Restrictedには拳銃と一部のアサルトライフル系・セミオート銃、Prohibitedには以前許可されていたが、その後所持が禁止されたセミオートライフルや拳銃が含まれる。Prohibited(禁止対象)なのに所持可能なのは、所有者がその銃を購入した時点で合法でありながら、その後法改正で所持が禁止された銃を所持している場合で、所有はできるが売買できるのは同じ銃を所有している対象者のみとなる。フルオートで発射可能な銃の所持は認められておらず、銃身が105mm以下の拳銃、サイレンサー等も違法。

銃を所有するにはPAL (Possession and Acquisition License) が必要で、規定のコースを受けテストに合格する必要がある。

Restrictedカテゴリーの銃を所有するにはさらにRestricted Weaponコースの受講とテスト合格が必要になる。1998年に施行された法案、C-68により、すべての銃は政府に登録の義務が発生したが、予想以上の銃登録・管理コスト超過が問題となり、保守党政権となった2006年以降、登録をしない場合でも罰則規定を実施しない恩赦状態となっている。特に狩猟用ライフル、ショットガンの登録義務については廃案への運動もあるが、2011年現在廃案化はされていない。

銃の携帯については一般には認められておらず、銃を携帯できるのは警察、軍、司法関係と現金輸送を行う民間業者など非常に限られている。すべての拳銃はRestrictedカテゴリーとなり、登録した保管場所と射撃練習を行う射撃場間のみの輸送が認められ、それ以外に運ぶ場合は例えば拳銃射撃大会への参加証明書等がない場合は違法となる。また通常射撃訓練を行う認可された射撃場名と住所の入ったTransport Permit(輸送許可証)が銃の登録証とは別に必要である。Nonrestrictedカテゴリーのライフルやショットガンは弾を装填しない状態でトランク等に入れ運ぶことは許可されている。

拳銃はマガジン装弾数10発まで、ライフル銃は5発までとなっている。拳銃の中で.25と.32口径は所持禁止の口径となっているが、これはサタデーナイトスペシャル(粗製の拳銃)の多くがこの口径であるため。国際競技のセンターファイヤーピストルで使われる銃も多くがこの口径であるため主な競技拳銃については所持が許可されている。

セミオートのライフルに関しては1989年のモントリオール理工科大学虐殺事件ミニ14が使われたことで規制が強化された。またこの事件を機に発砲行為に対する警察の対応も改められた。後にドーソン・カレッジ銃乱射事件において犠牲者を減らす努力につながったとされている。

銃規制は銃を使った犯罪防止が目的の一つであるが、実際には陸続きになっているアメリカから密輸入された銃器が犯罪に使われることが多い。銃を使った殺人事件は2005年の数字で人口100,000人に当り0.6人となっている。

ジャスティン・トルドー首相は2018年にトロントで発生した銃乱射事件の現場で献花した際、銃規制について問われると『広範囲な選択肢』を検討しているとの発言にとどめた[44]

南米編集

ブラジル編集

ブラジルでは銃と弾薬の販売禁止に関する国民投票2005年10月23日に実施され、反対多数により規制強化は行われないこととなった[45]

オセアニア編集

オーストラリア編集

オーストラリアでは、ポートアーサー事件を契機に厳格化され、それまで何度か起きていた銃乱射無差別殺害事件がすっかり影を潜めた[46]

シドニー大学の調査では所持率は人口100人当たり13丁とされる[47]

ニュージーランド編集

ニュージーランドではイギリス統治時代にスポーツハンティング用の動物が持ち込まれて以降狩猟が盛んになり[48]、16歳以上で講習やテストに合格すれば所持免許が下りるため、イギリスやオーストラリアよりも所持率は高い[47]。また海外からのツアー客もライフルを使用した狩猟や射撃体験が可能であり、母国の客を相手にするガイドもいる[48]。セミオートの銃器も許可が下りるが登録制度が無いため政府は正確な保有率を把握しておらず、シドニー大学の調査では人口100人当たり33丁とされる[47]。2019年3月15日に発生したクライストチャーチモスク銃乱射事件を受けてジャシンダ・アーダーン首相は規制を強化すると発表した[47]

欧州諸国編集

 
ドイツの店舗に張られた武器持ち込み禁止のサイン。バット催涙スプレーなども含まれている。
 
ハンブルグの路上に掲示された武器持ち込み禁止区域のサイン。監視カメラで撮影していると警告している。

かつては郵便物や現金・小切手を狙う強盗対策として郵便配達人に拳銃所持が許可されていたが、現代では多くの国で許可されていない。

アルバニアを除けば許可制を取っており免許が必要となる。国によって差はあるものの、州によってはスーパーマーケットで銃が販売されているようなアメリカに比べれば相当所持条件は厳しいが、競技用や狩猟用は日本よりは許可が取りやすい傾向にある。ただし、イギリスのように日本と同じくらい規制が厳しい国も存在する。また、免許を取るにはそれなりに時間がかかる。警察官以外にも、民間の警備員が許可を得て拳銃を携帯している場合もある[49]

一般的に射撃競技や狩猟が盛んなため、銃器を所持している世帯の割合は5~20%程度である。最も低いオランダで1%台である。日本では所持できない拳銃や、所持が困難なセミオートのライフルも許可を取れば入手できる。最近ドイツではピストルグリップがストックから独立したタイプの銃の所持が可能になった。スペインでは性格検査や心理テストなどユニークな検査をしている。基本的に銃身が長ければ長いほど所持の許可が出やすい傾向がある。これは銃身が長ければ服のなかやバッグのなかなどに隠すことが困難になり、犯罪に利用しにくくなるからである。多くの国では銃以外にも武器となる物は店舗内への持ち込みが禁止されている。

ドイツフランス等、国民への護身用目的の銃を認めている国もある。警備員(要人警護担当のみ)や宝石商など危険にさらされやすい職業にも護身用に許可されるケースが多い。ノルウェーでは一部の地域で野生動物からの自衛用として所持を認めている。

全米ライフル協会のような大規模なガンロビー団体がないため、凶悪犯罪が起きるたびに規制が強化される[50]傾向にある。

スイス編集

スイスは、古くから国民皆兵が浸透していることもあり、過去に一部の州では男性は銃を持っていないと結婚が出来ないとする、現代とは逆方向の規制を行う法律も存在した。1999年、連邦レベルで銃規制法を制定し、一部銃器の所持禁止や銃器所持の許可制度を導入。銃、弾薬についても常時追跡管理されるようになった。2011年、軍用ライフルの自宅保管をやめることを求めた国民投票が行われたが否決されている[51]

スイスの所持率はヨーロッパの中では高く2016年では24.45%の世帯が1丁以上の銃器を所持しており、自宅保管以外にも地域にある武器庫へ保管することも可能である[52][53]

2019年5月19日、銃規制強化の是非をめぐる国民投票が実施され、63.7%の賛成で可決された[54]

ノルウェー編集

 
ロングイェールビーンの銀行に掲示された銃持ち込み禁止の標識

ノルウェーでは18歳以上で猟銃や競技用銃(ライフルや散弾銃)の所持許可が下りるが、健康状態に問題がある場合には許可が取り消される[55]。これとは別に射撃競技や狩猟の許可証が必要となる[55]。拳銃は21歳以上に制限されている[55]。狩猟が盛んであるため許可が降りている者は地元知事の許可と免許を提示して銃砲店からレンタルし狩猟が可能であるが、4週間を超えて所持する場合は別の許可が必要となる[56]

ノルウェー連続テロ事件の調査委員会による報告書ではセミオートのライフルを規制すべきとの勧告が行われ、2021年以降は規制されることとなったが、猟師の多くが使用しているため狩猟用は規制の例外となった[57]

ロングイェールビーンでは居住区外に出る際、ホッキョクグマ対策として取り扱いに不慣れでも[58]ライフルを携行するか、所持許可を受けた者が同行することが義務づけられている[59][60]。なおホッキョクグマのハンティングは禁止されているため、原則として信号拳銃や騒音で追い払うことが推奨されており[61]、追い払えなかった際の最終手段として射殺が許可される[62]。許可が下りるのは地元の人間の他に観光ツアーのガイド[61]や、スヴァールバル大学の研究センターでフィールドワークを行う研究者や同行する案内人も申請すれば許可が下りる。また観光ガイドは外国からの移住者もおり所持の許可を受けた者もいる[63]。地元の大学ではフィールドワーク実習があるため全ての学生がライフルの取り扱いを学ぶ[62]。ロングイェールビーンでは銃砲店が自衛用のライフルを滞在者向けにレンタルしており[56]所持者は多いが、店舗内は持ち込み禁止となっている[58]

アフリカ編集

アフリカの紛争国や内戦地域においては政府軍から民兵などへ銃が横流しされており銃規制はないに等しい。またそれら銃器が隣国に流れ周辺諸国の治安悪化にもつながっている。南アフリカ共和国のような発展した国でも銃規制が緩いため都市部での銃犯罪が多発している。

ワシントン条約では例外規定として国立公園におけるスポーツハンティングに制限が無く、大型の野生動物を狩る「トロフィー・ハンティング」を目当てとした客が多く訪れている[64]。これが観光資源となっていることから、ナミビアなどでは外国人も猟銃を使った狩猟が可能である[65]

中東編集

 
オリーブ山にある看板。

警察の取り締まりが及ばない地域ではISILなどのイスラーム過激派組織が不正に入手した銃器で武装している。

イスラエル編集

エルサレムなどの聖地は持ち込み禁止区域となっている。

脚注編集

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  1. ^ ノエル・ペリン、川勝平太(訳)、1991年(平成2年)、『鉄砲を捨てた日本人―日本史に学ぶ軍縮』、中央公論社(原著1984年) ISBN 978-4122018006 ASIN 4122018005「鉄砲を捨てた日本人―日本史に学ぶ軍縮」中公文庫
  2. ^ Noel Perrin (1988-01-01) (英語). Giving Up the Gun: Japan's Reversion to the Sword, 1543-1879. David R. Godine. ASIN 0879237732. ISBN 978-0879237738. 
  3. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版15-16頁。
  4. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版16-18頁。
  5. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版23-25頁。阿部英樹「幕末瀬戸内農村における鉄砲売買の実態と特質」49-50頁。
  6. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版41-42頁。
  7. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版25頁。
  8. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版66-67頁。
  9. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版67-74頁。
  10. ^ 塚本学『生類をめぐる政治』文庫版12-14頁。渡辺尚志『百姓たちの幕末維新』194-196頁。
  11. ^ 渡辺尚志『百姓たちの幕末維新』209頁。
  12. ^ 阿部英樹「幕末瀬戸内農村における鉄砲売買の実態と特質」52-56頁。
  13. ^ 原仙吉『銃砲火薬類の取締』(1935年)、7頁。
  14. ^ 原仙吉『銃砲火薬類の取締』、68 - 82頁。
  15. ^ 原仙吉『銃砲火薬類の取締』、181 - 184頁。
  16. ^ 原仙吉『銃砲火薬類の取締』、311 - 312頁。
  17. ^ 原仙吉『銃砲火薬類の取締』、330 - 334頁。
  18. ^ 原仙吉『銃砲火薬類の取締』、318 - 322頁。
  19. ^ “自民が猟銃規制緩和迫る 銃器犯罪被害者は反発”. 47News. (2003年2月15日). http://www.47news.jp/CN/200302/CN2003021501000221.html 2014年3月16日閲覧。 
  20. ^ イギリスでの銃および武器規制の厳しさは日本に匹敵し、護身用ポケットスティックさえ見つかると没収対象だが、狩猟や射撃競技の認知度が高く500万丁が流通。人口比で日本の4倍程度の銃器事件が発生している。
  21. ^ 拳銃はミネベアミツミ、ライフルは豊和工業、散弾銃はミロク、空気銃はカスタムテクニクス(CTC)のみ。
  22. ^ 捕獲に関する統計資料集計 (PDF) - 環境省
  23. ^ “深刻化する鳥獣害 対策強化へ検討進む/財源・人材の確保が課題”. 農業共済新聞. (2011年12月). https://web.archive.org/web/20140316080528/http://nosai.or.jp/mt/2011/12/post-2058.html 2014年3月16日閲覧。 
  24. ^ 鳥獣被害防止特別措置法等の改正について (PDF) - 自民党
  25. ^ “自民が猟銃規制緩和迫る 銃器犯罪被害者は反発”. 47NEWS. (2003年2月15日). https://web.archive.org/web/20140316064104/http://www.47news.jp/CN/200302/CN2003021501000221.html 2014年3月16日閲覧。 
  26. ^ よくあるご質問 - 日本ライフル射撃協会
  27. ^ 競技人口が少ないスポーツランキング(日本) - トウシロウLAB
  28. ^ “日本船に小銃警備員 海賊対策措置法が成立”. 日本経済新聞. (2013年11月13日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1204N_T11C13A1EB1000/ 2014年3月16日閲覧。 
  29. ^ “日本船にも武装警備員OK 海賊対策で特措法成立、民間人武装を初規定”. 産経新聞. (2013年11月13日). https://web.archive.org/web/20131113061843/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131113/plc13111312400007-n1.htm 2014年3月7日閲覧。 
  30. ^ 丸山ゴンザレス「フィリピンの密造銃は“日本製”だった!?」 - AERA
  31. ^ 中国で銃の闇製造・不法所持拡大 (2/4ページ) - 産業経済新聞社
  32. ^ http://www.recordchina.co.jp/a103452.html 銃乱射事件が多発した韓国、朴政権が銃規制を強化=GPS装着を義務付け位置を把握―韓国メディア
  33. ^ a b c 台湾の銃保有率、100人に5丁? 警察「ありえない」 - 中央社フォーカス台湾
  34. ^ インドの銃所持許可証、UPがトップ
  35. ^ a b c d 安全対策基礎データ パキスタン - 海外安全ホームページ
  36. ^ a b 銃がスマホより安いパキスタンの町 - AFPBB
  37. ^ アジアクレー射撃選手権 - 2006年にシンガポールで開催されたアジアクレー射撃選手権に出場した銃砲店経営者の記録
  38. ^ シンガポール特有の生活関連主要法律案内 - 在シンガポール日本国大使館
  39. ^ 過激派組織ISが中国系富豪を誘拐の対象に?マレーシアで自衛の銃所持申請が増加―中国メディア(2015年2月16日) - エキサイトニュース
  40. ^ 丸山ゴンザレス「フィリピンの拳銃密造工房で“I'll kill you”の殺害予告!?」 (1/3) - AERA
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  63. ^ −50℃の氷の世界は出稼ぎ移民たちの町 - クーリエ・ジャポン
  64. ^ ゾウ狩猟の記念品持ち込み、許可方針覆し保留に トランプ大統領 - フランス通信社
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参考文献編集

関連項目編集