ディーター・ラムス(Dieter Rams, 1932年5月20日-)は、ドイツヴィースバーデン出身のインダストリアルデザイナーで、家電製品メーカーであるブラウン社と密接に関わるとともに、インダストリアルデザインにおける「機能主義」派の人物。

Braun Innovationの50周年記念展覧会に姿を見せたディーター・ラムス教授(2005年ボストン)

ラムスは、1943年から1957年にかけてヴィースバーデン製作技術学校で建築ならびに大工技術を習得した。 1953年から1955年まで建築家オットー・アペルのもとで働いた後、電気機器メーカーであるブラウンに入社、1961年よりデザイン部門のディレクターとして1995年まで勤務した。

ラムスはかつて、自らのデザインアプローチを「Weniger, aber besser」、つまり「Less, but better(より少なく、しかしより良く)」と語ったことがある。 ラムスと彼のスタッフは、ブラウン社で記憶に残る数多くの製品をデザインしているが、そのなかには有名なSK-4レコードプレーヤーや優れた品質をそなえた35 mmフィルムスライドプロジェクター「D」シリーズ(D45、D460) がある。 彼はまた、1960年にヴィツゥ(Vitsoe)社が発表した606 Universal Shelving Systemをデザインしたことでも知られている。

コーヒーメーカー、計算機、ラジオ、オーディオ/ヴィジュアル機器、消費家電およびオフィス機器など、彼が手がけたデザインの多くは、ニューヨークのニューヨーク近代美術館など、世界中のさまざまな博物館の収蔵品となっている。 ディーター・ラムスは、1998年に退社するまで、 30年以上にわたりBraun A.G.のデザイン部門のトップとして活躍した。 彼は今なおデザイン業界において伝説的存在とされており、最近では雑誌Wallpaperのデザインも手がけている。

ディーター・ラムスによる「良いデザイン」の十か条 編集

  • 良いデザインは革新的である。
  • 良いデザインは製品を便利にする。
  • 良いデザインは美しい。
  • 良いデザインは製品を分かりやすくする。
  • 良いデザインは慎み深い。
  • 良いデザインは正直だ。
  • 良いデザインは恒久的だ。
  • 良いデザインは首尾一貫している。
  • 良いデザインは環境に配慮する。
  • 良いデザインは可能な限りデザインをしない。

ラムスとアイブ 編集

ラムスのデザインは、iMaciPodiPhoneをデザインしたAppleジョナサン・アイブに影響を与えている、と多くの人が指摘している。[1] 特に、iPhoneの計算機アプリケーションには、ラムスがデザインしたBraun ET66計算機からの影響が明らかであるとされている。[2]

ラムスは、現在における大衆化した「良いデザイン」の代表としてアイブの仕事を高く評価しており、「アップルのデザインは私のデザインのコピーなどではなく、私の過去の仕事に敬意を表してくれていると思っている」と語っている[3]

ラムスの代表作 編集

参考事項 編集

外部リンク 編集