ドルーア帝国Durhua Empire)は、任天堂(開発・インテリジェントシステムズ)のコンピュータゲームファイアーエムブレム』のシリーズ作品中『暗黒竜と光の剣』(リメイク版『新・暗黒竜と光の剣』も含む)『紋章の謎』『アカネイア戦記』に登場する架空の国家。

概要 編集

ドルーア帝国とは、アカネイア大陸南部ドルーア地方において地竜族の末裔メディウス(詳細は後述)が二度にわたり建国した竜人族マムクート帝国である。マケドニアの密林地帯、古くよりマムクートが住まう地に建国された。

歴史 編集

第一次ドルーア帝国 編集

第一次ドルーア帝国はアカネイア暦490年[1]に建国された。

当時のドルーア帝国の実態がどのようなものだったかは定かではない。数少ない文献には「彼らは自らの武器も作れない未熟な種族であったが人語を話す事ができ、自分達の長はメディウスであり自分達の国はドルーアであると語った」と記されている。ドルーア帝国は人間の国との国交や関係は持たなかった。また、アカネイア聖王国からは「未開の蛮族」と蔑まされていた。

アカネイア暦493年、アカネイア聖王国へ侵攻し滅亡に追い込む(第一次ドルーア戦争)。その後も侵攻を続けアカネイア大陸のほぼ全ての地を掌握する。しかし、アリティア地方出身の英雄、アンリ一世が七日七晩に及ぶ戦いの末メディウスを討伐し、アカネイア暦498年[1]に帝国は滅亡。以後、マムクート達は大陸各地へ散って行く。

第二次ドルーア帝国 編集

アンリのメディウス討伐から100年後のアカネイア暦597年、カダインの暗黒司祭・ガーネフの手でメディウスが復活。

アカネイア暦598年[1]、旧領土内(マケドニア北部)に第二次ドルーア帝国が再興され、アカネイアを再び滅亡に追い込むが(暗黒戦争)、マルス率いる連合軍によって再びメディウスは討伐され、アカネイア暦605年[1]帝国は二度目の滅亡を迎えた。

国旗 編集

ゲーム中には一切登場せず、設定画のみ存在する。フィールド(背景)は水色。コンパートメントは寄り合わせた黒と白の、およびそこから吹き上がる。その上に下向きの三日月が乗る。この炎はマムクートの力を、月は人知れず暮らしてきたドルーアの民族性をそれぞれ象徴している。月の内部に城壁、背景にドルーアの地理を象徴するかのような密林の木々が描かれる。エスカッシャンはきわめて小さく、外側が、内側が色。図柄は描かれておらず、と一組となっている。これを左向きの緑色の竜がサポーターとして支える。サポーターが中心に配置され、竜がもっとも目立つ図案である[2]

主な地名 編集

王城であるドルーア城は魔竜族ゼムセルが守護しており、王城付近には、死者を復活させることが出来る伝説の杖「オーム」が納められた復活の神殿がある。

マケドニア王国との国境には野生の飛竜が飛びかい蛮族が支配する未開の地、飛竜の谷があり、谷を越えると、かつてメディウスが神竜ナーガに命じられて守護していた場所、そしてナーガによって地竜族が封印されたといわれる古代竜族の遺跡、竜の祭壇が存在する。

地竜族と魔竜族 編集

地竜族 編集

国王である暗黒竜メディウスが属する地竜族は、竜族の中でも神竜に次いで強大な力を持っていた。

「闇のブレス」という強大な攻撃力と戦う者の力を半減させる力を持ち(全ての竜に有効なファルシオンや霧のブレスも例外でなく、特効でダメージが増大してから半減される。新・暗黒竜と新・紋章では攻撃力半減の設定はなくなっている)、他の竜族を遥かに超える生命力を持つ種族だが、地竜達は長老達の意見に従わずにその大半が封印されたため、現存する数は稀少である。

王族だったメディウスただ一人が部族の方針に逆らい、竜石を使いマムクートとなった。それ以外の数千の地竜は封印の祭壇に封じられている。

暗黒竜 編集

地竜が力を蓄え変体した姿。長い首と顎、巨大な体躯と翼をもち、竜と称するにふさわしい威容を持つ。闇のブレスの威力と効力も引き続き健在。本来眠りについたメディウスがこの姿に変わるのには100年はかかるはずであったが、ガーネフは4人の穢れなき高貴な女性を生贄として捧げることにより、短期間でメディウスを変体させた。作中でこの姿で登場するのはメディウスのみ。

魔竜族 編集

ドルーアの将モーゼスやゼムセルをはじめとした多くのドルーア兵が属する魔竜族は、アカネイアに棲息するマムクートの中でも高い魔法防御力を有する種族である。

その大半は暗黒竜メディウスに付き従っている。物語中では残虐な言動が目立つが、元々はナーガやメディウスの盟友として1000年前の大戦争で人間に味方した一族であり、マムクートに対する迫害で人間を敵視するようになった。

野生化した者たちは主に竜の祭壇付近に生息している。凶暴さでは他の竜と比べても一線を画している。

人物 編集

皇帝 編集

メディウス (Mediuth)
声:茶風林(ヒーローズ)
クラスはマムクート。『暗黒竜』、『紋章』に登場する。
『暗黒竜』、『紋章』に登場する、ドルーア帝国の王で最強の地竜。まだ変体していない頃から「暗黒竜(もしくは暗黒地竜)」の異名で人々から恐れられていた。『暗黒竜』の旧設定では何処からか現れて神竜族を壊滅させ、世界征服を夢見た存在となっている。暗黒戦争という名称も彼の異名から来たものである。
同系列の作品においては、マルスにとって最大の敵というポジションに位置している。
古代における竜族の衰退
繁栄していた竜族に種としての終わりの時が来た時、一部の竜族は存続のためその身を人間の姿へと変えた。
しかし、竜族であることに誇りを持っていた多くの竜族達は、姿を変えることを嫌い、理性を失っていった。
やがて、理性を失い暴走した竜族達が人間を襲い始め、人間は窮地に立たされた。そのため、人間を哀れんだ神竜族の王ナーガは人間たちを救うための戦いを始めた。戦いは壮絶を極めたが、ついにはナーガ率いる神竜族が勝利し、地竜達をドルーアの地底深くに封印し、地竜達へ施した封印が解けないように封印の盾を、人間達に自らの牙から切り出した神剣ファルシオンを、それぞれ残してラーマン神殿へと残した。
この時、地竜族の王族でありながら、部族に逆らい、神竜王ナーガの下で唯一人間に味方した地竜がメディウスである。彼はその後も、ナーガの言いつけを守り、守り部として地竜を封じ込めた竜の祭壇を長く守っていた。
第一次ドルーア戦争時
しかし、人間たちが力をつけるに従って横暴になり、弱体化してマムクートとなってただ平和に暮らしているだけの竜族たちまでも蔑視し虐げるようになってくると、メディウスはその人間達の裏切りに激怒した。
元々は悪逆な性格ではなく、人間に好意的(むしろ献身的とさえ言ってよい)であり、ナーガ同様、人間の救世主となったほどのメディウスだったが、人間のその余りの身勝手さによって、祭壇を荒らされたばかりか同胞を皆殺しにされるという悲劇に見舞われた事から怒りと絶望に苛まれ、ドルーアの地にマムクート達を集めると、増長し自分達を平然と虐げる人間を滅ぼすためにドルーア帝国を興し、その皇帝となった。その攻撃は凄まじく、メディウスが垣間見た悲劇の最大の元凶であり、怨敵でもあったアカネイア聖王国は滅亡し、人間達は奴隷のように虐げられた。
しかし、やがて人々の希望であったアカネイア王家の生き残りであるアルテミス王女が、アリティアの地で生き延びて隠れていることが分かると、ドルーア帝国の行いの真実すら知らない人間達は反撃の狼煙を上げる。再び解放戦争がドルーアと人間との間で起き、最期には神剣ファルシオンを手にした英雄アンリによってメディウスは倒されるのである。
暗黒戦争時
だが、絶大な生命力を誇る地竜は完全には滅びないためメディウスは100年の時を経て甦った。それでも完全に力を取り戻すことは容易ではなく、マフーを持つ悪の司祭ガーネフと手を組まざるを得なかった。
メディウスは再びドルーア帝国を興すと、グルニアマケドニア両王国を併合、アカネイア聖王国を滅ぼし大陸中を侵攻するが、最期はアンリの子孫であるアリティア王国の王子マルスによって倒される。これが俗に言う「暗黒戦争」、『暗黒竜と光の剣』『紋章の謎』第1部・暗黒戦争編のクライマックスである。
英雄戦争時
暗黒戦争後、メディウスはガーネフの野望により4人のシスター(ニーナ、エリス、レナ、マリア)の生命力で変体し、暗黒竜となって再び復活を果たす。しかし封印の盾と(ゲームの進め方次第では手に入れないこともあり、かつクリアも可能。)ファルシオンを手にしたマルスの手によって再び倒されてしまう。この再復活にまつわる部分が、紋章の謎第2部における英雄戦争である。
したがって、これら3つの戦争における最大の元凶は人間であり、かつてマムクートとなった竜族が人間を守っていたのにもかかわらず、その恩を忘れて力を失った竜族に危害を加えるようになった事柄と、封印の盾を破壊した(その張本人こそが初代アカネイア王国建国者アドラ1世であり、アカネイア王家にまつわる呪われた悲劇もここから始まるとされる)ことが原因だと言っても良いであろう。
本編以外のメディウス
メディウスは、小説版ではラーマン神殿の神官長という官職に就いていた。だが、当時盗賊であったアドラ1世とその部下達に騙された挙句に、部下である神官達を皆殺しにされてしまう。
島田ひろかず版の『ファイアーエムブレム』の漫画では額が弱点という設定になっている。
鈴木銀一郎が『聖戦の系譜』の外伝作品として小説「最後の地竜族」(ファミ通ゲーム文庫刊、ISBN 9784893668899)を執筆している。
幻影異聞録♯FE』では、メインストーリーのラストボスとして登場[3]

将軍 編集

ショーゼン (Shozen)
クラスはマムクート。『暗黒竜』、『紋章』(第1部)、『新・暗黒竜』に登場する。
アカネイア王国の首都パレスの侵攻の任命を受けたドルーアの将軍、パレス周辺を守っていた。火竜族。
いわゆる猪武者であり、誘き寄せればどこまでも追ってゆくという、やや守将には向かない性格。
モーゼス (Moses)
クラスはマムクート。『暗黒竜』、『紋章』(第1部)、『新・暗黒竜』に登場する。
魔竜王バジリスクといわれるマムクートで、アリティア城に立てこもるメディウスの第1の僕。
アリティアを占領し、罪の無い(ただし、人間に迫害を受けていた彼らにとっては人間=悪人の先入観があったわけだが。)人々を殺害した残虐な人物でもある。
マルスの姉であるアリティア王女エリスをガーネフに差し出し、マルスとエリスの母であるリーザを殺害した。占領下のアリティア城を支配する。
ゼムセル (Zemsel)
クラスはマムクート。『暗黒竜』、『紋章』(第1部)、『新・暗黒竜』に登場する。
ドルーア城城門を固めていた魔竜。ゼムセルは、元々自分達が暮らしていた世界を奪われたのは人間達のせいだと考えている。
『暗黒竜』では台詞が無い。『紋章』ではドルーアの大地を犯した人間に対して怨みを持っている。
グーベル (Gubel)
クラスはジェネラル。『アカネイア戦記』に登場する。
暗黒戦争初期、侵攻の任を受けアカネイア王城パレスを占領したドルーアの将軍。
ブルザーク (Bulzark)
クラスはマムクート。『アカネイア戦記』に登場する。
メディウスからニーナ捕縛の勅命を受け、カミュ一行を追う火竜の将軍。
冷静な人物でカミュがドルーアを裏切ることを予測しており、ドルーアの精鋭部隊、そして金により味方に付けた近隣の山賊を率いてニーナを捕えようとした。
カミュに「降伏するなら捕えた部下たち共々寛大な処置で接する」としたが、実際は見せしめとして囚人用の檻に押し込めて馬車で引かせ、ドルーアまで着るものも食べるものも死なない程度にしか与えなかった。その後はドルーアの地下牢にカミュを幽閉した。
なお、ブルザークを倒すことも可能で、その場合はメディウスが直々に出陣しカミュを捕らえることとなる。

脚注 編集

  1. ^ a b c d 『ザ・コンプリート』p.222
  2. ^ 『ザ・コンプリート』p.217
  3. ^ 幻影異聞録#FE 完全攻略本』 徳間書店、P168~169

参考文献 編集

  • エイプ『任天堂公式ガイドブック ファイアーエムブレム百科』小学館、1990年5月20日。ISBN 978-4-0910-4115-9 
  • 『任天堂公式ガイドブック ファイアーエムブレム紋章の謎』小学館、1994年2月20日。ISBN 978-4-0910-2465-7 
  • 『任天堂公式ガイドブック ファイアーエムブレム紋章の謎PROFESSIONAL』小学館、1994年5月20日。ISBN 978-4-0910-2476-3 
  • CB'sプロジェクト、塩田信之『ALL OF EIRE EMBLEM ファイアーエムブレム〜紋章の謎〜のすべて』宝島社、1994年3月28日。ISBN 978-4-79660-793-3 
  • 『ファイアーエムブレム・ザ・コンプリート』NTT出版、1996年5月20日。ISBN 978-4-87188-822-6 
  • 佐野真砂輝&わたなべ京著 ファイアーエムブレム 角川書店(株)
  • ゲームミュージック ファイアーエムブレム キャラクターテーマ集 日本コロムビア(株)

関連項目 編集