ピアノ・マン (曲)

ビリー・ジョエルの楽曲

ピアノ・マン」 (Piano Man) は、ビリー・ジョエルによってリリースされた最初のシングル。1973年11月2日にリリースされ、数枚のアルバムに収録された。ビリー・ジョエルの最初のヒット曲となり、代表曲でもあるこの曲は、1974年4月にBillboard Hot 100チャートで25位を記録した[1]

「ピアノ・マン」
ビリー・ジョエルシングル
初出アルバム『ピアノ・マン
B面 僕の故郷
リリース
規格 45 rpm single
録音 1973年9月17–20日、26日、ロサンゼルス
ジャンル ピアノ・ロックソフトロックフォークロック
時間
レーベル コロムビア・レコード
作詞・作曲 ビリー・ジョエル
プロデュース マイケル・スチュアート
ゴールドディスク
ゴールド (RIAA)
ビリー・ジョエル シングル 年表
シーズ・ガット・ア・ウェイ
(1972)
ピアノ・マン
(1973)
陽気な放浪者
(1974)
ピアノ・マン 収録曲
流れ者の祈り
(1)
ピアノ・マン
(2)
悪くはないさ
(3)
ミュージックビデオ
「Piano Man」 - YouTube
テンプレートを表示

ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2010年版)では429位にランクされている[2]

背景

編集

「ピアノ・マン」は、ロサンゼルスのピアノラウンジExecutive Roomで歌手として活動していたビリーの経験を曲にしたものであり、歌詞中の登場人物は全て実在の人物をもとにしているとビリー自身が述べている[3]。ビリーはニューヨークからロサンゼルスに移り、最初のレーベルでのファーストアルバム『コールド・スプリング・ハーバー〜ピアノの詩人』をレコーディングした[要出典]。しかしファミリー・プロダクションズのプロデューサーが編集上で間違いを犯したために、失敗作となった。この経験の後、ビリーはコロムビア・レコードへ移籍するため、ファミリー・プロダクションズとの契約を破棄したかったが、これはとても難しいことであった。そのため、コロムビア・レコードの弁護士が彼の最初の契約を取り消そうと試みている間、ビリーはビル・マーティンの芸名で、バーに「隠れていた」と述べている[4]

作品

編集

内容

編集

歌詞は、バーの人々(老人、バーテンダーのジョン、ウェイトレス、ビジネスマン、バーの常連で小説家を目指していた不動産ブローカーのポール[5]アメリカ海軍水兵のデイビー)に注目するピアノ奏者の視点から歌われている。彼らのほとんどは、実現できそうにない夢を見、ピアニストの役目は、彼らが「しばし浮世を忘れる」手助けをすることのようである。コーラスはバーの客が声をそろえているかのようなスタイルで、「歌ってくれ。君はピアノマンなんだから。歌ってくれよ、今夜。俺たちはみんなメロディーがほしい気分。だから、君は俺たちを元気づけてくれなくちゃいけない」と懇願している。この曲のスタイルと題は、ロングアイランドハリー・チェイピンの物語曲を思い起こさせる[要出典]

ビリーは、1999年、『アクターズ・スタジオ・インタビュー』において、曲中の各登場人物は、彼の友人もいればバーにいた知らない人物もいるが、いずれにせよ実在する人物をもとにしていると認めた。例として、客をあしらうウェイトレスは、ビリーの最初の妻であるエリザベス・ウェーバーであるとしている。

構成

編集

ビリー・ジョエルが作曲し、ハ長調で曲を演奏した。3/4拍子[6]で、有名なピアノとハーモニカのイントロへと移る前にジャズ風のピアノソロから始まる。歌とその後のコーラスは、下行のウォーキング・ベースが特徴で、D - Gのターンアラウンドで終わる。ビリーは、1973年のバージョンで、ピアノ、ハーモニカ、ベース、アコーディオンマンドリン、ドラムの楽器と、ヴォーカルを使用している。ハーモニカを使用したのはボブ・ディランからの影響である[7]

ビリーは、歌とコーラスが両方同じコードを使用しており、似たメロディーであるという事実を、「(音楽的に)どこへも行かない」メロディーだと批評している[要出典]。しかし、曲のブリッジセクションには、和音のわずかな変動と、異なったメロディーが含まれている。

リリース

編集

この曲は、ビリーのアルバム『ピアノ・マン』のセカンドトラックとして最初にリリースされ、後に多くのグレイテスト・ヒッツにも収められている。

最初にシングルとして出される際に、この曲は長すぎる(5分38秒)とコロムビア・レコードの首脳陣に判断されて、2つの歌詞を半分に切ってつぎあわせ、4分33秒の45回転盤としてリリースされた。プロモーション用の45回転盤はさらに短く編集され、3分ほどとなっていた。これらのシングルエディットは、アコースティックギターやハーモニカのような楽器を際立たせるためにリミックスされた。後のビリー・ジョエルの曲「エンターテイナー」の歌詞の中で「ピアノ・マン」のシングル盤の編集について言及しており、「この歌は美しかったが長すぎた。ヒットさせたいなら、それにフィットさせなくちゃ。そのために、彼らは3分05秒までカットしたのだ」と歌っている。このシングルミックス (4:33) は、ヨーロッパ版『ピアノ・マン〜ヴェリー・ベスト・オブ・ビリー・ジョエル』の1枚でしか聴くことができない。

収録曲

編集

7" US シングル (1973)

編集
  1. ピアノ・マン - "Piano Man" - (4:30)
  2. 僕の故郷 - "You're My Home" - (3:08)

7" US シングル再リリース (1973)

編集
  1. ピアノ・マン - "Piano Man"
  2. エンターテイナー - "The Entertainer"

プロモーションビデオ

編集

この曲のプロモは、人気が絶頂期にあった1977年に撮影された。ここでは、曲を演奏するピアノ奏者(ビル・マーティン)をビリーが演じており、セッティングは典型的なアメリカのバーとなっている。拡張を含んだ1985年には新しいビデオが撮られ、オリジナルとほぼ同じである。オリジナルのビデオでは、新しいスタンダードアルバムバージョンの合間に曲が代わる代わる使われている。長さはアルバムバージョンと同じ。

人気

編集

1974年にリリースされたとき、このシングルはトップ10に入らず(ビルボード25位)、このときには中ヒットとしておさまり、この後3〜4年間は、ラジオでもあまり流されなかった。しかし、1977年にビリーのアルバム『ストレンジャー』がリリースされてから、急にスーパースターの地位まで上昇し、まもなくこの曲も、彼の最もよく知られ、ラジオでヒットした曲の1つとなり、そのタイトルから、ビリーの代表曲とまで考えられるようになった。今日でもこの曲の人気は続いており、2011年現在では、iTunes Storeのビリーの曲として1位にランクされた。ビリーのコンサートでは、この曲が非常に知られているため、コーラスの部分を聴衆に歌わせるのがお約束となっている。ビリーはしばしば、コンサートの最後を「ピアノ・マン」で締めくくる。

エルトン・ジョンとビリーの最初のフェイス・トゥ・フェイス・ツアーにおいて、「ロケット・マンがピアノ・マンに会う」とイベントの宣伝が行われた[8]

チャート

編集
チャート (1973–1974) ピーク
順位
  オーストラリア ARIAチャート 20
  カナダ RPM[9] 10
  アメリカ合衆国 Billboard Hot 100 25
  アメリカ合衆国 Billboard Hot Adult Contemporary Tracks 4
チャート (2013) ピーク
順位
  アイルランド[10] 83

他のバージョン

編集

1980年、スペインの歌手、アナ・ベレンが、彼女の夫で同じくスペインの歌手であるビクトル・マヌエルによって翻訳された歌詞を、「El Hombre del Piano」というタイトルのスペイン語バージョンで演奏した。アル・ヤンコビックは、この曲のパロディを「Ode to a Superhero」という題で、2003年のアルバム『Poodle Hat』で演奏した。

出典

編集
  1. ^ https://books.google.co.jp/books?id=dQkEAAAAMBAJ&printsec=frontcover&lr=&rview=1&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false
  2. ^ Billy Joel, 'Piano Man' | 500 Greatest Songs of All Time | Rolling Stone
  3. ^ Billy Joel: The Life and Times of An Angry Young Man (p. 73) by Hank Bordowitz
  4. ^ Billy Joel: The Life and Times of An Angry Young Man by Hank Bordowitz
  5. ^ 『ビリー・ジョエル 素顔の、ストレンジャー』(著:マーク・ベゴ/訳:山本安見/東邦出版/2008年/ISBN 978-4-8094-0730-7)p.117
  6. ^ The Billy Joel Keyboard Book (2nd Edition), page 67. Hal Leonard.
  7. ^ 『ビリー・ジョエル 素顔の、ストレンジャー』pp.124-125
  8. ^ [1][リンク切れ] 'Rocket Man' Meets 'Piano Man'
  9. ^ http://www.collectionscanada.gc.ca/rpm/028020-119.01-e.php?brws_s=1&file_num=nlc008388.5024a&type=1&interval=24&PHPSESSID=eh0ha1f5dpl39jtm5kjnoephm4
  10. ^ http://irma.ie/aucharts.asp/

外部リンク

編集