フェリシティ・エース
商船三井が運用する、パナマ船籍の自動車運搬船
(フェリシティ・エース火災沈没事故から転送)
フェリシティ・エース(英: Felicity Ace)は、日本の商船三井が運航していた、パナマ船籍(便宜置籍)の自動車運搬船である。
フェリシティ・エース | |
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2007年、オランダ・ロッテルダムにて | |
基本情報 | |
船種 | 自動車運搬船 |
船籍 | パナマ |
運用者 | 商船三井 |
建造所 | 新来島どっく |
船級 | NK |
IMO番号 | 9293911[1] |
MMSI番号 | 371427000[1] |
経歴 | |
就航 | 2005年 |
最後 | 沈没 |
要目 | |
総トン数 | 60,188トン[1] |
載貨重量 | 17,738トン[1] |
全長 | 199.99m[1] |
幅 | 32.26m[1] |
喫水 | 9.2m[1] |
船舶概要
編集2005年に新来島どっくにより建造された[2]、全長約200m、総トン数60,188トン、載貨重量17,738トンの大型自動車運搬船であった[1]。
火災・沈没事故
編集2022年2月10日[1]、フォルクスワーゲン・グループの自動車3,965台[3]を積載してドイツのエムデンからアメリカ合衆国東海岸のロードアイランド州デイビスビル[4]に向けて出港した。2月16日、北大西洋のアゾレス諸島南西沖の北緯37度29.9分 西経30度14.0分付近を航行中[5]に貨物室より出火。乗員22人はポルトガル海軍・空軍と付近を航行する民間船により全員救助され[6]、ポルトガルのアゾレス諸島に避難した[7]。乗員の退避後に船は火災を続けながら漂流し、2月22日には運航会社が手配したタグボートがジブラルタルから到着して放水を開始した[5]。2月25日には救助船により曳航が開始されたが[8]、悪天候のため[9]右舷に傾き、現地時間3月1日午前9時頃に沈没した[5]。
積荷はVWのほか、同社の系列のアウディ、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニなどの高級車が含まれていた。自動車の被害総額は3億3500万ドルに上るが、保険が適用されるとVW社では説明している[10]。火災の原因は特定されていないが、積荷の中にはリチウムイオン電池を使用した電気自動車(EV)も含まれており、EVの火災は消火が困難である[11]。同船には重油1000トン、軽油400トンの燃料油が詰まれていたが、漏出は確認されていない[8]。
脚注
編集- ^ a b c d e f g h i marinetraffic.com
- ^ FELICITY ACE (IMO 9293911)(en:Vessel monitoring system)
- ^ “Burning Ship Drifts In Atlantic With Lamborghinis, Porsches, Audis Aboard” (英語). en:NDTV. (2022年2月18日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ “Car-carrying ship that caught fire on way to Rhode Island has sunk in the Atlantic Ocean” (英語). en:The_Providence_Journal. (2022年3月1日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ a b c "Felicity Ace Incident Information Centre" (Press release). 商船三井. 2022年3月10日閲覧。
- ^ “ポルシェなど4000台積んだ貨物船が沈没、出火から2週間 大西洋アゾレス諸島沖”. BBC. (2022年3月2日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ “商船三井の運搬船で火災 ポルシェなど4000台積み漂流”. 日本経済新聞. (2022年2月19日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ a b “商船三井の漂流船、えい航開始 油の流出確認されず”. 日本経済新聞. (2022年2月25日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ “商船三井の自動車運搬船が大西洋で沈没、火災発生でえい航中に”. ブルームバーグ. (2022年3月2日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ “火災起こした貨物船が沈没 ポルシェやベントレーなど高級車4千台搭載”. CNN. (2022年3月3日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ “相次ぐEV火災の「消えない火」 バッテリー冷やせず再燃する”. 日経クロステック (2021年9月22日). 2022年3月10日閲覧。