プロティロ

主にイタリア北部に見られる、扉口の建築構造

プロティロイタリア語protiro)は、イタリア北部のロマネスク建築に見られる、口に張り出した建築構造である[1]プロテュルムラテン語Prothyrum[2])とも[3][4]。日本語では「柱廊式玄関[5]」、「車寄せ」などと表記されることがある [注 1]

パルマ大聖堂のプロティロ

ポルチコの中でも、より小さな構造体のことを特にプロティロと呼ぶ[6]

構成

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下から順に、ライオンなどの彫像、その上に円柱が伸び、円柱にかかる屋根で締めくくられる、という決まったパーツの組み合わせで構成される[4]

下部の彫像についてはライオンが多いが、象や雄牛の場合もある[5]

屋根は扉口のタンパンとヴシュール(タンパンを囲むアーチのこと。この集合体がアーキヴォルト[7])を完全に覆うように設置され、基本的に形状は切妻屋根[4]で多くは2層構造、内側は短い筒型ヴォールトである[1]

上部にある屋根にもいくつかの彫像(聖人[8]や擬人像)を配置した大掛かりなプロティロもあるが、計画倒れになったケースもあったとされる[9]

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ ただしこれらの訳語はいくつかの他の原語に対しても使われるので、文脈や対象によって、厳密には別のものをさしている場合があるため混同に注意。#関連項目も参照。
    • ポルティコの訳語として「柱廊玄関」が使用される例。明石 1993, p. 3
    • ポルチコの訳語として「列柱廊玄関」が使用される例。野崎 1999, p. 930
    • ポーチの訳語として「車寄せ」が使用される例。山田 1997, p. 36
    • イタリア語のprotiro(it:Protiro)=英語のportico(it:portico)=「柱廊玄関」となっている例もある。玖保 2009, p. 73

出典

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  1. ^ a b 児島 2006, p. 166
  2. ^ John Madsen. “Prothyrum”. JM Latin English Dictionary. Latin-Dictionary.org. 2013年7月15日閲覧。
  3. ^ 池田 2009, p. 43
  4. ^ a b c 池田 2009, p. 219
  5. ^ a b 尾形 1988, p. 197
  6. ^ "GLOSSARIO"(用語辞典)の章、"Gli elementi dell'architettura"節の"Protiro"の項目より。"un piccolo portico"。Nuzzo 2009, p. 176
  7. ^ 辻本 & ダーリング 2003, p. 45
  8. ^ "above the prothyrum"プロテュルムの上部に聖人像が配置されている例。#ギャラリーのサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂 (ベルガモ)の解説。Lombardia(注:聖堂の紹介文)”. it:Italia in miniatura(イタリアのテーマパーク). 2013年3月5日閲覧。
  9. ^ 『壮大過ぎて』と表現されている。 児島 2006, p. 166

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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