ヘキサメチルジシロキサン

ヘキサメチルジシロキサン(hexamethyldisiloxane、HMDS、HMDO)は、化学式O[Si(CH3)3]2で表される有機ケイ素化合物の一種。揮発性の液体であり、有機合成において溶媒や試薬として使用される。クロロトリメチルシラン加水分解によって調製される。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[1]

ヘキサメチルジシロキサン
識別情報
略称 HMDSO, (TMS)2O
CAS登録番号 107-46-0
PubChem 24764
ChemSpider 23150
UNII D7M4659BPU
日化辞番号 J3.247F
EC番号 203-492-7
国連/北米番号 1993
MeSH Hexamethyldisiloxane
RTECS番号 JM9237000
バイルシュタイン 1736258
特性
化学式 C6H18OSi2
モル質量 162.38 g mol−1
精密質量 162.089618264 g mol−1
外観 無色液体
密度 0.764 g cm−3
融点

−59 °C, 214 K, -74 °F

沸点

100-101 °C, 373-374 K, 212-214 °F

屈折率 (nD) 1.377
危険性
EU分類 強い可燃性 F
主な危険性 可燃性の極めて高い液体および揮発性

深刻な眼の炎症を引き起こす

NFPA 704
4
1
0
Rフレーズ R11
Sフレーズ S16
引火点 −1(1) °C
関連する物質
関連物質 ジシロキサン

テトラメチルシラン
ジメチルエーテル
ビス(トリメチルシリル)アミン

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途

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ヘキサメチルジシロキサンは、主に有機合成においてトリメチルシリル基 (-Si(CH3)3) のソースとして使用される。たとえば、酸触媒存在下では、アルコールおよびカルボン酸をそれぞれシリルエーテルおよびシリルエステルに変換する[2]

HMDSは1H 核磁気共鳴分光法 (NMR) において化学シフトを校正するための内部標準物質として使用される。一般的な標準物質であるテトラメチルシランよりも揮発性が低いため取り扱いが容易であるが、0 ppm付近に一重線のみを示す。

HMDSは、アルカンよりも溶媒和力が小さい。そのため、親油性が高い化合物の結晶化に使用されることがある。

また、液体絆創膏にも使用される。

脚注

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  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ Pfeifer, J. "Hexamethyldisiloxane" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York. doi:10.1002/047084289.