ヘッドバンギング

ヘドバンから転送)

ヘッドバンギング (: head-banging) とは主にロックヘヴィメタルハードコアなどのギグ、ライヴコンサートで見られる共鳴的動作の一つ。リズムに合わせて、頭を激しく上下に振る動作である[1]。しばしば略してヘドバンとも呼ばれる[1]

概要 編集

「バンギング」(: banging) とは「激しいビートを鳴らし続ける」ことを意味し、頭を激しく上下に振る動作としてヘッドバンギングに当てられた。ヘッドバンギングには秀逸なライヴパフォーマンスを行う演奏者に対する讃美と共鳴を表現する意味があり、エア・ギターモッシュダイブストームメロイック・サインなどと共に、興奮したオーディエンスに好まれる。ヘヴィメタルバンドはもちろんのこと、ヴィジュアル系バンドのライヴでもヘッドバンギングが見られる[1]

ヴィジュアル系においては、上下、扇風機(回転)、Vの字、8の字(∞の字)、土下座ヘドバン、拳ヘドバンなど、様々なバリエーションが生み出されている。2000年代前半までは上下が主流だったが、2000年代後半からは8の字が増え始める。横ヘドバンは当たりやすい為あまり行われなくなった。女性のファンが多く見た目の美しさを求めたためか、前傾姿勢をとらず直立不動で髪の毛をすべて立たせるようにダイナミックに8の字振るのが最も美しいとされる(その立った髪の事を「髪柱」と呼ぶ)。勘違いされる事が多いが、大きく上下にお辞儀するような動きはヘドバンではなくフリの一つであり「折りたたみ」と呼ばれている[要出典]

また、演奏者自身もパフォーマンスにしばしばヘッドバンギングを取り入れる。この場合軌跡が上下を描くだけでなく、右回転や左回転をたどることがある。時には4、5人の演奏者による一斉のヘッドバンギングが見られることもあり、ライヴコンサートにおける一種の見せ場ともなる。プロモーション・ビデオにおいてもしばしば散見される。


健康への被害 編集

実際のところ、ヘッドバンギングはかなり僧帽筋腹筋に負担を与えるため、一度のライヴコンサートで激しい筋肉痛に襲われることは少なくない。また、演奏者自身もヘッドバンギングによってこうむる負担は大きく、その影響がに達する例もある。

エヴァネッセンスのギタリスト、テリー・バルサモ脳梗塞で倒れたのは、ヘッドバンギングが要因とも言われている。[2]

スレイヤーのベース/ヴォーカルのトム・アラヤは近年ヘッドバンギングによる身体的なダメージに悩まされており、一時は引退かと騒がれた事があった。その後ステージではヘッドバンギングを控えている。

X JAPANYOSHIKIはドラム演奏の最中の激しいヘッドバンギングにより首、頚椎を痛めており、頚椎椎間板ヘルニアや神経循環無力症などを相次いで発症。このため、回復後は首にコルセットを巻いてドラムを叩いていた。2009年にヘルニアをさらに悪化させ、椎間孔切除の手術を受けた。第5番-6番頚椎の間を広げるこの手術は成功したものの、ほかの頚椎間や腰にも損傷が判明したため、3年以内に再手術が必要であると医師から宣告された。2016年にはそれらの症状が悪化し、手や腕に麻痺・強度の痺れが現れたため翌2017年に頚椎人工椎間板置換の手術を受けた。このとき、主治医は「まるで引退を余儀なくされたラグビー選手のような強烈なダメージの受け方」と症状を伝えた。YoshikiSurgery”. 2017年8月4日閲覧。

Acid Black Cherryで活動中だったYasu(Janne Da Arc)は長年歌唱しながらヘドバンをしていた。その激しいパフォーマンスが評価されていたが、2017年8月3日頚椎損傷や起因する身体各所への痛みなど、複合的な症状の併発により当面の間休止をする事を発表をした。yasuは「やっぱりヘドバンは良くない」という印象がまた更に強くなる事を懸念しヘドバンをしたからこうなったのではなくて「ヘドバンをした後のケアを怠った」等と公式サイトに直筆コメントを発表している[要出典]


その他 編集

ヘッドバンギング(head-banging)は日本語で表現される際、カナ表記にて「バンング」の箇所を「バンング」として記述されることがあるが、これは誤記である。「バンキング」をbankingとするなら、「銀行取引」、あるいは「盛り土」を意味する。

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c 船見佳子「お父さんのためのヴィジュアル系キーワード講座」『音楽誌が書かないJポップ批評27 X JAPANと「ヴィジュアル系」黄金伝説』、宝島社、2003年7月、115頁、ISBN 978-4796633826 
  2. ^ barks.jp (2006年11月15日)

参考文献 編集

関連項目 編集