マルーラオイル
マルーラオイル(Marula oil)は、ウルシ科のマルーラの果実から抽出される油である。種子から抽出されるものと、硬い外殻から抽出されるものの2種類がある。伝統的に化粧品の成分や食用油、肉や皮革の保存や加工に用いられてきた。
化学組成
編集一不飽和脂肪酸が大部分を占めるため、非常に安定している。脂肪酸組成は以下のとおりである[1]。
一不飽和脂肪酸:
- オレイン酸 (70-78%)
多不飽和脂肪酸:
物理的な性質
編集マルーラオイルは、透明な明るい黄色で、ナッツのような香りを持つ。鹸化価は約188-199、比重は15℃で0.91-0.92である。
伝統的な利用
編集南アフリカ共和国やモザンビークのシャンガーン人は、マルーラオイルを女性用の保湿用ボディローションや乳児用マッサージオイルとして用いてきた。過去には、ナミビアの女性は、体を洗うのに水ではなくマルーラオイルを用いていた[3]。
モザンビークのイニャンバネ州、ナミビアのオヴァンボランド、南アフリカ共和国のクワズール・ナタール州北部、ジンバブエのズビシャバネ地区等では、食用とする。さらに、サン人やバントゥー系民族の食事において、マルーラは重要な役割を果たす[4][5]。ヴェンダでは肉の保存に使うことで、最長1年間の保存を可能とする。マルーラオイルは地元では珍味と考えられており、多くの伝統料理、近代料理のレシピに用いられる[3]。
出典
編集- ^ Hore, D. (2004). Formulation of cosmetic skin lotions using Adansonia digitata and Sclerocarya birrea oil from Zimbabwe. University of Zimbabwe, Harare
- ^ Mariod; Matthaus, Bertrand; Eichner, K. (2004). “Fatty acid, tocopherol and sterol composition as well as oxidative stability of three unusual Sudanese oils”. Journal of Food Lipids 11 (3): 179-189. doi:10.1111/j.1745-4522.2004.01131.x.
- ^ a b Botelle, A (2001). A History of Marula Use in North-central Namibia. Windhoek, Namibia: Eudofano Women’s Co-operative Ltd and CRIAA SA-DC
- ^ Engelter & Wehmeyer; Wehmeyer, A.S. (1970). “Fatty acid composition of oils of some edible seeds of wild plants”. Journal of Agricultural and Food Chemistry 18: 25-26. doi:10.1021/jf60167a025.
- ^ Shackleton, S.E. (2002). A summary of knowledge on Sclerocarya birrea with emphasis on its importance as a NTFP in South and Southern Africa