マレイン酸
マレイン酸構造式マレイン酸3次元構造式瓶に入ったマレイン酸
IUPAC名マレイン酸
(Z)-ブテン二酸
分子式C4H4O4
示性式C2H2(COOH)2
分子量116.1
CAS登録番号110-16-7
形状白色の固体
密度1.59 g/cm3, 固体
融点131 °C
水への溶解度79 g/100mL (25℃)
SMILESOC(=O)/C=C\C(=O)O
出典国際化学物質安全性カード

マレイン酸(マレインさん、Maleic acid)は、鎖状不飽和ジカルボン酸のひとつである。構造式 HOOC–CH=CH–COOH で表される二価カルボン酸のうち、シス体を指す。同じ示性式だがトランス体であるものは、フマル酸として知られる。

IUPAC名はcis-butenedioic acid (cis-ブテン二酸)。

名称「maleic acid」はテオフィル=ジュール・ペルーズが命名したもので、リンゴ酸(malic acid)の脱水反応により得られたことにちなむ[1]

化学的性質 編集

ジカルボン酸であるため、水への溶解度が高い(25℃で78g/100mL)。幾何異性体にはトランス型フマル酸がある。これらは世界で初めて発見された幾何異性体の組である。

加熱すると135℃で分解し、環状の無水マレイン酸が得られる。これはマレイン酸の2つのカルボキシ基が接近した構造をしているためである。

 

これに対してフマル酸では、カルボキシ基が接近しないため、マレイン酸のように環状化できない。

利用 編集

マレイン酸はクロルフェニラミンにすると抗ヒスタミン薬として用いられるマレイン酸クロルフェニラミン(クロルフェニラミンマレイン酸塩)となる。同じく抗ヒスタミン薬のマレイン酸フェニラミン(フェニラミンマレイン酸塩)やマレイン酸カルビノキサミン(カルビノキサミンマレイン酸塩)なども同様である。さらに、子宮収縮剤のメチルエルゴメトリンマレイン酸塩、Β遮断薬のチモロールマレイン酸塩(マレイン酸チモロール)、腸管などに作用するトリメブチンマレイン酸塩(マレイン酸トリメブチン)、高血圧治療薬のエナラプリルマレイン酸塩(マレイン酸エナラプリル)などのように、医薬品にはマレイン酸との塩の形にしているものが多数存在している。

関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ The Origin of the Names Malic, Maleic, and Malonic Acid Jensen, William B. J. Chem. Educ. 2007, 84, 924. Abstract