ミドルトン・グランジ・スクール

ミドルトン・グランジ・スクールMiddleton Grange School, 略称:MGS)は、ニュージーランドクライストチャーチに所在する初等中等学校

歴史 編集

 
1850年代に建設された"the Old House"(旧ボーウェン邸)。ミドルトン・グランジ・スクールを象徴する建物であり歴史的建造物に登録されている。

1964年2月4日、クライストチャーチでの神学教育の普及を目的に、キリスト教学校基金 (the Christian Schools' Trust) により私立校として創立。現在に至るまでキリスト教学校基金が学内施設を所有している。

創立当初は66名の生徒と4名の教師で開校した[1]。クライストチャーチ・キリスト教学校ネットワーク(CSN)、ニュージーランド・キリスト教学校協会(NZACS)に加盟し、福音主義に基づく教育課程を構成している。キリスト教主義学校としてはニュージーランド最大の初等・中等教育機関である。

スクール・モットーは「我らは汝からの光により光を見る」(詩篇36:1)。校章には太陽が描かれており、剣は「神の義」(マタイによる福音書6:33)を表す十字架、盾は信頼(詩篇115:3)、太陽はを象徴する「義の太陽」(マラキ書4:2)を意味する。

キャンパスは、冒険家として活躍し第4代法務大臣を務めたチャールズ・ボーウェン(1830年 - 1917年)の敷地を譲り受け建設した。ボーウェン家の邸宅はカンタベリー地方初期開拓民の1人で、ニュージーランド議会議員を務めたトマス・ラウリ(1903年没)が1850年代に建設した旧ラウリ邸であり、現在では "the Old House" と命名され、キャンパス内に現存している。"the Old House"は、ロバート・スコット南極探検へ向う際に宿舎として使用された歴史を持ち、ニュージーランド史跡基金(NZHPT)に歴史的建造物として登録されている(登録番号:1824番, 登録日:1983年6月23日)[2]

1975年から2001年まで、キャンパス内に「ニュージーランド・バイブルカレッジ・クライストチャーチ・キャンパス」[3]を併設した(現在はパパヌイ地区へ移転)。

2001年から2006年まで中道右派系シンクタンク「マキシム研究所」[4]のクライストチャーチ事務所がキャンパス内に設置され、キリスト教保守派による学術調査と政策提言がされた(現在はオークランドへ移転[5])。

校風 編集

 
ミドルトン・グランジ・スクール校舎

生徒数は1,310名(初等部(6年制)297名、中等部(4年制)466名、高等部(3年制)547名)、うち留学生は26名(2022年7月1日付)[6]。初等部から高等部まで男女共学。

キャンパスはクライストチャーチ南西部アッパー・リカトン地区の閑静な住宅地に所在し、キャンパス内に初等部(6年制)、中等部(4年制)、高等部(3年制)、インターナショナル・カレッジの4つの校舎が所在する。中等部を「ミドル・スクール」、高等部を「シニア・カレッジ」と独自の呼称を持つ。

初等・中等教育課程の13年間を同校に学ぶ生徒が多く、教員、保護者の多くも同校の卒業生が多くを占める。

「インターナショナル・カレッジ」は英語母語としない外国人生徒が属し、英語教育を集中的に学ぶ特別学級であり、学年別編成はされていない。短期滞在の留学生(交換留学生を含む)はインターナショナルカレッジに属する。

深緑色が特徴的な学生服を着用する。シニア・カレッジ生は上級生を意味する縞模様が入った深緑色ブレザーと緑色ネクタイ(冬用学生服のみ)を着用する。ミドル・スクール生は縞模様が入らない深緑色ブレザーに下級生を意味する赤色ネクタイ(冬用学生服のみ)を着用する。

必修科目として、全学年で週1回以上の聖書研究や神学教育が行われる。

2014年6月27日から29日に、創立50周年記念式典を挙行した。

ハウス 編集

中等部・高等部の全生徒と学科教員は「ハウス」と呼ばれる組に属し、構成員として(主に)スポーツ競技と文化活動に参加する。学年の異なる兄弟・姉妹生は同じハウスに属し、学年を超えた縦断的な連携関係を構築する。ハウスシステムは1967年に導入され、現在は4つのハウスが運営されている。進級に伴なうハウス変更は行われず、入学時のハウスに卒業まで属する。各ハウスはハウス長2名と副長2名(男女各1名ずつ)を選出しハウス運営に当たる。年間を通して勝利ハウスを競い、最上位ハウスには「信頼」を意味する「盾」が授与される。各ハウスは盾の防衛と奪還を巡る争奪戦に挑む。4つのハウスは "the Old House" と縁を持つ4人の冒険家から命名されている。

スコット 冒険家ロバート・スコットから命名されたハウス。ハウスカラーは黄色。ハウスモットーは『度胸と忍耐』。2009年までの優勝回数は14回。
ウィルソン 冒険家エドワード・エイドリアン・ウィルソンから命名されたハウス。ハウスカラーは緑。ハウスモットーは『信頼と信用』。2009年までの優勝回数は6回。
シャクルトン 冒険家アーネスト・シャクルトンから命名されたハウス。ハウスカラーは青。ハウスモットーは『統率と忍耐』。2009年までの優勝回数は11回。
ボーウェン 冒険家チャールズ・ボーウェンから命名されたハウス。ハウスカラーは赤。ハウスモットーは『奉仕と厚遇』。2009年までの優勝回数は13回。

脚注 編集

  1. ^ 2012年度学校案内(英語版)より
  2. ^ Heritage New Zealand(ニュージーランド史跡基金公式ホームページ)
  3. ^ 2008年にバイブル・カレッジの活動に多大な貢献を残したロバート・レイドロウ(小売チェーン店「Farmer's」創業者)の名を取り「レイドロウ・カレッジ」へ改称
  4. ^ ニュージーランド教育開発基金(NZEDF)が2001年に改称し誕生した独立系シンクタンク。MGSカリキュラム・ディレクター 兼 NZEDFディレクターを務めたキリスト教右派系活動家ブルース・ローガンが初代CEOを務めた。
  5. ^ 初代CEOを務めたブルース・ローガンが2005年末でマキシム研究所を定年退職したためクライストチャーチ事務所を閉鎖。
  6. ^ Education Counts, Ministry of Education New Zealand

外部リンク 編集