メインメニューを開く

メタノトリクス属Methanothrix)は、メタン醗酵槽などから見つかる酢酸資化性のメタン菌(メタン生成古細菌)である。この属のみで"メタノサエタ科"を構成する。学名は、メタン菌であることと形状から、メタン+ ギリシア語のthrix(髪)より。

メタノトリクス属
分類
ドメ
イン
: 古細菌 Archaea
: ユリアーキオータ界
Euryarchaeota
: ユリアーキオータ門
Euryarchaeota
: メタノミクロビウム綱
Methanomicrobia
: メタノサルキナ目
Methanosarcinales
: "メタノサエタ科"
"Methanosaetaceae"
: メタノトリクス属
Methanothrix
学名
Methanothrix
Huser et al. 1983
  • M. soehngenii
    (=Methanosaeta concilii
  • M. thermoacetophila
  • M. thermophila
  • "M. harundinacea"
    (=Methanosaeta harundinacea

かねてより、Methanosaetaメタノサエタ属)とMethanothrixメタノトリクス属)どちらが有効か論争となっていたが、Methanosaetaは非合法名と裁定され、Methanothrixが有効となった。ただし、Methanosaeta harundinaceaの再分類、Methanosaetaceae(メタノサエタ科)の訂正は2018年現在行われていない。

概要編集

他のメタン菌と異なり、メタン生成の基質として水素ギ酸などを利用できず、酢酸のみを使用するという特徴がある。現在までにM. soehngeniiM. thermoacetophila、"M. harundinacea"、M. thermophilaの3種が知られているが、何れも鞭毛を持たない1×5μmほどの桿菌であり、フィラメント状に連鎖する。グラム染色では陰性である。M. concilii、"M. harundinacea"は常温菌であるが、M. thermophilaM. thermoacetophilaは55-60°Cで最も活発に活動する。

Methanothrixの増殖速度は極めて遅く、最適条件における世代時間は20時間を超えるのが普通で、純粋培養には長い時間が必要である。これに加え、細胞表面が親水性のためコロニーを形成させるのも難しく、分離は困難を極めた。増殖速度の遅さは酢酸の嫌気分解で得られるエネルギーが非常に少ないことに起因する(酢酸1モルから得られるATPは精々1モル)。その一方で、MethanothrixMethanosarcina(ただしギ酸メタノールなどの方を好む)以外のメタン菌は酢酸をあまり好まない、Methanothrixは非常に低濃度の酢酸も利用できるという特性のため、基質を独占して優占する場合もある。この特性を生かし、メタン発酵にも利用されることの多い菌である。

参考文献編集

  • Patel GB, Sprott GD (1990). “Methanosaeta concilii gen. nov., sp. nov. ('Methanothrix concilii') and Methanosaeta thermoacetophila nom. rev., comb. nov.”. Int. J. Syst. Bacteriol. 40: 79–82. doi:10.1099/00207713-40-1-79. 
  • Garrity, G. M., Labeda, D. P., Oren, A. (2011). “Judicial Commission of the International Committee on Systematics of Prokaryotes. XIIth International (IUMS) Congress of Bcteriology and Applied Microbiology: Minutes of the meetings, 3, 4 and 6 August 2008, Istanbul, Turkey.”. Int. J. Syst. Bacteriol. 61: 2775–2780. doi:10.1099/ijs.0.037366-0.