モルガーニ孔ヘルニア
モルガーニ孔ヘルニア(英: Morgagni hernia)は横隔膜ヘルニアの一つで、横隔膜の胸骨付着部と肋骨付着部の間の筋層が脆弱な胸肋三角(モルガーニ孔・ラリー孔)から胸腔内に腹腔内臓器が脱出するものである。
狭義には、肝鎌状間膜の右側を経て脱出するものをモルガーニ孔ヘルニア(英: Morgani hernia)、左側を経て脱出するものをラリー孔ヘルニア(英: Larrey hernia)と呼ぶ。前者が約90%を占める[1]。広義には、これらをまとめてモルガーニ孔ヘルニアと呼ぶ。
疫学
編集全横隔膜ヘルニアの1~5%を占める。小児および50歳以上に多い。成人例は女性に多い。
症状
編集診断
編集単純X線撮影で胸腔内に腹腔内臓器を認める。CTでは3次元再構成により、胸骨後面から腹腔内臓器が脱出する様子を観察することができる[2]。
治療
編集自然治癒は期待できず、嵌頓や穿孔をきたすことがあるため、症状の有無にかかわらず手術が推奨される。近年では腹腔鏡下修復術の報告が多い。
歴史
編集1761年のモルガーニの著書に書かれている、イタリアの石工の剖検例が初出とされる。また、ナポレオンの侍医であった外科医ラリーは、胸骨後面の間隙を通じて心タンポナーデを治療できると述べたという[1]。
出典
編集- ^ a b c Horton, John D.; Hofmann, Luke J.; Hetz, Stephen P. (2008-06). “Presentation and management of Morgagni hernias in adults: a review of 298 cases”. Surgical Endoscopy 22 (6): 1413–1420. doi:10.1007/s00464-008-9754-x. ISSN 1432-2218. PMID 18347869 .
- ^ 比嘉花絵, 宮田剛彰, 吉松隆, 蒲池健一, 秋元寿文, 志田晴彦「Klinefelter症候群に併存したヘルニア嚢を有さないLarrey孔ヘルニアの1例」『日本臨床外科学会雑誌』第80巻第3号、2019年、513–517頁、doi:10.3919/jjsa.80.513。