ヤン・ブックホルスト(Jan Boeckhorst、ドイツ語名、ヨハン・ボックホルスト: Johann Bockhorst[1]1604年 - 1668年4月21日)は、ドイツ生まれの画家である。フランドル地域で働いた。ローマでも働き、ローマで活動した仲間の画家たちからは、「のっぽのヤン」(: Langer Jan, : Lange Jan)などの仇名で呼ばれた。

ヤン・ブックホルスト
Jan Boeckhorst
van Diepenbeeckvan Dyckによる肖像画
生誕 1604年
ミュンスター
死没 1668年4月21日
アントウェルペン
テンプレートを表示

略歴

編集

ドイツ西部のミュンスターで生まれた。ミュンスターの名家の出身で、祖父は1568年から1572年の間ミュンスターの市長を務め、法律家の父親も1619年から1627年の間、市長を務めていた[2]。兄はミュンスター司教領の司教領主、クリストフ・ベルンハルト・フォン・ガレンに重用されていた。

ヤン・ブックホルストはミュンスターで教育を受けた後、1621年にヴィッセル(Wissel、現在のカルカーの一部)の聖クレメンス教会で聖職者になるが、司祭に叙階されることはなかった。1626年ごろにネーデルランドに移り、ブリュッセルなどで役人として働いた。絵を学び始め、1633年か1634年に、アントウェルペン聖ルカ組合に入会を認められている。アントウェルペンでは有力な画家となっていたピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)と親しくなり、1635年にルーベンスの指揮下で、スペインの王子でスペイン領ネーデルラント総督、フェルナンド枢機卿のアントウェルペン入城を歓迎するための装飾の仕事にアントウェルペンの多くの画家たちとともに参加している[3]

1637年から1639年ごろまで、イタリアに旅した。1639年にはローマに滞在し、「ベントフューヘルス」(Bentvueghels、同種の鳥、仲間)と称したローマで活動するオランダやフランドル出身の画家達のグループに加わり、そこでは互いを仇名で呼び合ったことから、ブックホルストはその長身から「のっぽのヤン(Langer Jan)」などの仇名で呼ばれた[2]

アントウェルペンに戻ると、1640年に亡くなったルーベンスが未完のまま残した作品をルーベンスの未亡人、エレーヌ・フールマンから頼まれて、完成させた。1650年までにアントウェルペンを代表する画家の一人となり、美術愛好家のスウェーデン女王クリスティーナにも画商に紹介された。

1650年代に、フランドルの教会や修道院に多くの宗教画を描き、彼の宗教画はブルッヘヘント、ローマなどに残されている。故郷のミュンスターにも度々訪れ、聖パウルス大聖堂の装飾画も描いた。

アントウェルペンで1668年に没した。

作品

編集

脚注

編集
  1. ^ 名前は Johan Boekhorst, Johan Boeckhorst, Johann Boeckhorst, Boichorst, Bronckhorst, van Boeckhorstなどとされ、仇名は Lange Jan, Langen Jan, Langhiano や Langian また Doctor Faustusとも呼ばれたとされる。
  2. ^ a b Anne-Marie Logan, Review of: Maria Galen, Johann Boeckhorst. Gemälde und Zeichnungen. Hamburg: Baar-Verlag 2012 at historian of netherlandish art
  3. ^ Matthias Depoorter, ' Jan Boeckhorst Archived 3 March 2016 at the Wayback Machine. at Barok in Vlaanderen

参考文献

編集
  • Galen, Maria (2012). Johann Boeckhorst: Gemälde und Zeichnungen. Hamburg: Baar. (catalogue raisonné)
  • Vlieghe, Hans (1998). Flemish art and architecture, 1585-1700. Pelican history of art. New Haven: Yale University Press. ISBN 0-300-07038-1
  • Max Geisberg: Die Stadt Münster VI: Die Kirchen und Kapellen der Stadt außer dem Dom. Aschendorff Verl., Münster 1941 (= Bau- und Kunstdenkmäler von Westfalen 41, 6).
  • Helmut Lahrkamp: Der „Lange Jan“ – Leben und Werk des Barockmalers Johann Bockhorst aus Münster. In: Westfalen. Hefte für Geschichte, Kunst und Volkskunde. Nr. 60, 1982, Verein für Geschichte und Altertumskunde Westfalens u. a., Aschendorff Verl., Münster, ISSN 0043-4337, S. 1–199.
  • Jochen Luckhardt (Bearb.): Jan Boeckhorst 1604–1668. Maler der Rubenszeit. Rubenshaus Antwerpen 7.7. – 2.9.1990. Westfälisches Landesmuseum für Kunst und Kulturgeschichte Münster 16.9. – 11.11.1990. Ausstellungskatalog, Freren 1990.
  • Wilhelm Adolf Schmidt: Bockhorst, Jan von. In: Allgemeine Deutsche Biographie (ADB). Band 2, Duncker & Humblot, Leipzig 1875, S. 784 f.
  • Stadtmuseum Münster (Hrsg.): Johann Bockhorst – Der Maler aus Münster zur Zeit des Westfälischen Friedens. Ausstellungskatalog, Emsdetten 1998.