ラクチトール(Lactitol)は、低カロリーで砂糖の約40%の甘さを持ち、代替甘味料として用いられる糖アルコールである。瀉下薬としても用いられる。ダニスコとPurac Biochemの2つの業者が作っている。

Lactitol
識別情報
CAS登録番号 585-86-4 チェック
PubChem 157355
ChemSpider 138481 チェック
E番号 E966 (その他)
KEGG D08266 チェック
ChEBI
ATC分類 A06AD12
特性
化学式 C12H24O11
モル質量 344.31 g mol−1
融点

146 °C, 419 K, 295 °F

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

応用

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ラクチトールは、低カロリー食物等に用いられる。高い安定性のため、焼成に良く用いられる。また、ノンシュガーのキャンディ、クッキー、チョコレート、アイスクリーム等にも使われる。さらに、プレバイオティクスとして、大腸の健康を促進する。ラクチトールは吸収されにくいため、典型的な炭化水素の1グラム当たり4カロリーに対して、1グラム当たり2.4カロリーしかない。

アデラル等の処方薬の賦形剤としても用いられる[1]

瀉下薬でもあり、Importal等の商標名で、便秘の治療等に用いられる[2]

ラクチトールは、エダウチオオバコの殻と組み合わせて、瀉下薬として突発性便秘の治療に用いられる。

安全性と健康

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ラクチトール、エリトリトールソルビトールキシリトールマンニトールマルチトールは、全て糖アルコールである。アメリカ食品医薬品局は、糖アルコールを、”GRAS”(一般に安全を認められる)に分類している。食品添加物として承認されており、う蝕血糖値の上昇を生じさせないものとして認識されている。世界中の多くの国でも、食品への利用が認められている。

エリトリトールを除いた他の多くの糖アルコールと同様に、ラクチトールも人によっては、筋痙攣、鼓腸、下痢等を起こす。これは、ヒトが上部消化管に、適したβ-ガラクトシダーゼを持っていないため、摂取したラクチトールの大部分が大腸まで到達し[3]、ここで腸内細菌によって発酵されて、浸透作用により腸に水を吸い上げる。ヒトによる実験では、1日当たり5グラムのチョコレートの摂取では消化管に全く変化はなく、1日当たり10グラムでもほとんど変化はなかった[4]

出典

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  1. ^ Adderall, drugs.com
  2. ^ FASS.se (the Swedish Medicines Information Engine). Revised 2003-02-12.
  3. ^ Grimble GK, Patil DH, Silk DB (1988). “Assimilation of lactitol, an unabsorbed disaccharide in the normal human colon”. Gut 29 (12): 1666–1671. doi:10.1136/gut.29.12.1666. PMC 1434111. PMID 3220306. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1434111/. 
  4. ^ Finney, Michelle; Smullen, Joanne; Foster, Howard A.; Brokx, Saskia; Storey, David M. (2007). “Effects of low doses of lactitol on faecal microflora, pH, short chain fatty acids and gastrointestinal symptomology”. European Journal of Nutrition 46 (6): 307–14. doi:10.1007/s00394-007-0666-7. PMID 17623227.