ランドルフ郡 (イリノイ州)

イリノイ州の郡

ランドルフ郡(ランドルフぐん、: Randolph County)は、アメリカ合衆国イリノイ州の南西部に位置するである。2010年国勢調査での人口は33,476人であり、2000年の33,893人から1.2%減少した[1]郡庁所在地チェスター市(人口8,586人[2])であり、同郡で人口最大の都市でもある。

イリノイ州ランドルフ郡
ランドルフ郡の位置を示したイリノイ州の地図
郡のイリノイ州内の位置
イリノイ州の位置を示したアメリカ合衆国の地図
州のアメリカ合衆国内の位置
設立 1795年
郡庁所在地 チェスター
最大の都市 チェスター
面積
 - 総面積
 - 陸
 - 水

1,547 km2 (597.20 mi2)
1,491 km2 (575.50 mi2)
56 km2 (21.70 mi2), 3.63%
人口
 - (2010年)
 - 密度

33,476人
23人/km2 (60人/mi2)
標準時 中部: UTC-6/-5
ウェブサイト www.randolphco.org

イリノイ州でランドルフ郡が果たした役割故に郡のモットーは「イリノイ州が始まったところ」である。

ランドルフ郡はセントルイス大都市圏英語版に接している。

歴史 編集

ランドルフ郡は1795年にセントクレア郡から分離して設立された。郡名はバージニア州知事を務めたエドムンド・ランドルフに因んで名付けられた。バージニア州の軍隊を率いたジョージ・ロジャース・クラークが、アメリカ独立戦争の終戦が近い1778年7月4日にイギリス軍からこの地域を奪取した。この地域はその後短期間、バージニア州イリノイ郡となっていたが、連合会議が1787年7月13日に北西部領土を設立してその中に含めた。この当時バージニア州知事だったエドムンド・ランドルフがアメリカ合衆国政府に領土を譲渡した。イリノイ準州が設立された1809年、準州州務長官のナサニエル・ポープが準州知事を代行する形で、イリノイの最初の2郡として、セントクレア郡とランドルフ郡を再設立する宣言を発した。現在の郡域はペリー郡が分離した1827年に確定した。

ミシシッピ川が郡の歴史で重要な役割を果たしてきており、1881年には郡境を変えた。このとき、カスカスキアをイリノイ州本土に繋いでいた地峡を川が切断し、カスカスキアにあった集落を破壊した。そこにあった歴史有る墓地は川をイリノイ側に渡ったカスカスキア砦に移さざるを得なくなった。カスカスキアはミシシッピ川の西岸の飛び地になっている。チェスター市の南東にあるクレインズ島も川の流れが変わったために生まれたもう一つの飛び地になっている[3]

地理 編集

アメリカ合衆国国勢調査局に拠れば、郡域全面積は597.20平方マイル (1,546.7 km2)であり、このうち陸地575.50平方マイル (1,490.5 km2)、水域は21.70平方マイル (56.2 km2)で水域率は3.63%である[5]

カスカスキア川が郡内でミシシッピ川に注いでいる。ミシシッピ川は通常イリノイ州とミズーリ州の州境だが、この地点では全幅がイリノイ州になっている。ミシシッピ川は19世紀後半に流れを変え、元州都だったカスカスキアを川の西岸に変えた。しかし州境は昔の流れのままであり、西岸に飛び地ができた。数マイル下流のクレインズ島も同様である。

主要高規格道路 編集

  •   イリノイ州道3号線
  •   イリノイ州道4号線
  •   イリノイ州道13号線
  •   イリノイ州道152号線
  •   イリノイ州道155号線
  •   イリノイ州道150号線
  •   イリノイ州道153号線
  •   イリノイ州道154号線
  •   イリノイ州道159号線

隣接する郡 編集

ランドルフ郡は、同じ名前で2つの州に有る郡、すなわちミズーリ州ペリー郡とイリノイ州ペリー郡に接していることで、稀な存在である。州内では他にクック郡もイリノイ州レイク郡インディアナ州レイク郡に接している。

気候と気象 編集

チェスター
雨温図説明
123456789101112
 
 
1.9
 
39
22
 
 
2
 
46
26
 
 
3.5
 
56
35
 
 
3.4
 
68
45
 
 
4.3
 
78
54
 
 
3.9
 
87
64
 
 
3.8
 
91
68
 
 
3.4
 
89
66
 
 
3.2
 
82
58
 
 
3.1
 
71
46
 
 
4.2
 
56
36
 
 
3.2
 
44
27
気温(°F
総降水量(in)
出典:The Weather Channel[6]
メートル換算
123456789101112
 
 
47
 
4
-6
 
 
51
 
8
-3
 
 
89
 
13
2
 
 
87
 
20
7
 
 
109
 
26
12
 
 
98
 
31
18
 
 
96
 
33
20
 
 
86
 
32
19
 
 
81
 
28
14
 
 
78
 
22
8
 
 
106
 
13
2
 
 
80
 
7
-3
気温(°C
総降水量(mm)

近年、郡庁所在地であるチェスター市の平均気温は1月の22°F (-6 ℃) から7月の91°F (33 ℃) まで変化している。過去最低気温は1985年1月に記録された-18°F (-28 ℃) であり、過去最高気温は1988年8月に記録された109°F (43 ℃) である。月間降水量は1月の1.85インチ (47 mm) から5月の4.30インチ (109 mm) まで変化している[6]

人口動態 編集

人口推移
人口
190028,001
191029,1204.0%
192029,1090.0%
193029,3130.7%
194033,60814.7%
195031,673−5.8%
196029,988−5.3%
197031,3794.6%
198035,65213.6%
199034,583−3.0%
200033,893−2.0%
201033,476−1.2%
IL Counties 1900-1990
Census QuickFacts

以下は2000年国勢調査による人口統計データである。

基礎データ

  • 人口: 33,893人
  • 世帯数: 12,084 世帯
  • 家族数: 8,362 家族
  • 人口密度: 23人/km2(59人/mi2
  • 住居数: 13,3283軒
  • 住居密度: 9軒/km2(23軒/mi2

人種別人口構成

先祖による構成

  • ドイツ系:46.3%
  • アメリカ人:11.7%
  • アイルランド系:9.0%
  • イギリス系:6.5%
  • フランス系:5.7%

年齢別人口構成

  • 18歳未満: 22.1%
  • 18-24歳: 9.6%
  • 25-44歳: 30.4%
  • 45-64歳: 22.3%
  • 65歳以上: 15.6%
  • 年齢の中央値: 38歳
  • 性比(女性100人あたり男性の人口)
    • 総人口: 116.4
    • 18歳以上: 119.9

世帯と家族(対世帯数)

  • 18歳未満の子供がいる: 31.3%
  • 結婚・同居している夫婦: 56.0%
  • 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 9.2%
  • 非家族世帯: 30.8%
  • 単身世帯: 26.9%
  • 65歳以上の老人1人暮らし: 13.8%
  • 平均構成人数
    • 世帯: 2.46人
    • 家族: 2.99人

収入 編集

収入と家計

  • 収入の中央値
    • 世帯: 37,013米ドル
    • 家族: 44,766米ドル
    • 性別
      • 男性: 30,837米ドル
      • 女性: 21,501米ドル
  • 人口1人あたり収入: 17,696米ドル
  • 貧困線以下
    • 対人口: 10.0%
    • 対家族数: 7.1%
    • 18歳未満: 14.1%
    • 65歳以上: 8.5%

政治 編集

大統領選挙の結果[7][8]
共和党 民主党 その他
2008年 49.59% 7,538 48.64% 7,395 1.76% 269
2004年 54.00% 8,076 45.27% 6,771 0.73% 109
2000年 49.88% 7,127 47.55% 6,794 2.56% 366
1996年 37.0% 5,422 50.7% 7,419 12.3% 1,806
1992年 29.6% 4,899 51.5% 8,529 19.0% 3,137
1988年 48.3% 7,396 51.2% 7,844 0.5% 78
1984年 59.5% 9,415 40.1% 6,355 0.4% 59
1980年 56.9% 8,810 39.1% 6,052 4.1% 632
1976年 48.1% 8,190 51.0% 8,693 0.9% 155
1972年 60.2% 9,761 39.7% 6,440 0.1% 14
1968年 50.4% 7,681 39.0% 5,953 10.6% 1,616
1964年 38.7% 5,803 61.3% 9,199 0.0% 0
1960年 52.0% 7,988 47.9% 7,344 0.1% 15
1956年 60.0% 8,439 40.0% 6,778 0.0% 4
1952年 54.6% 8,427 45.3% 6,998 0.1% 13

ランドルフ郡はイリノイ州南部の保守的な郡であり、最近の選挙では共和党寄りとなっている。

都市と町 編集

  • カスカスキア
  • パーシー
  • プレーリードゥロシェ
  • レッドバッド
  • ロックウッド
  • ルマ
  • スパータ
  • スティールビル
  • ティルデン

未編入の町 編集

  • グレン
  • グリッグ
  • メナード
  • モドック
  • スカライン
  • ウォルシュ
  • ウェルジ
  • ワインヒル

州政府の機関 編集

イリノイ州矯正省のメナード矯正センターがチェスター市にある[9][10]。死刑囚に対する減刑があった2003年1月11日以前、男性死刑囚はメナードのタムズとポンティアックの矯正センターに収容されていたが、その日以降はポンティアックのみが男性死刑囚を収容している[11]

メディア 編集

郡内で免許を取得しているAMラジオ局が2局ある。週刊紙の「ザ・ランドルフカウンティ・ヘラルド・トリビューン」がチェスターで発行されている。パーシーで発行されている「ザ・カウンティ・ジャーナル」はペリー郡とジャクソン郡にも配布されている。その他、レッドバッドの「ノース・カウンティ・ニューズ」や「スパータ・ニューズ・プレーンディーラー」がある。

チェスター市ではオンライン新聞の SunTimesNews.com が運営されている。

脚注 編集

  1. ^ Quickfacts.census.gov - Randolph County - accessed 2011-12-06.
  2. ^ Quickfacts.census.gov - Chester, Illinois - accessed 2011-12-06.
  3. ^ Crains Island
  4. ^ White, Jesse. Origin and Evolution of Illinois Counties. State of Illinois, March 2010. [1]
  5. ^ Census 2010 U.S. Gazetteer Files: Counties”. United States Census. 2011年11月5日閲覧。
  6. ^ a b Monthly Averages for Chester, Illinois”. The Weather Channel. 2011年1月27日閲覧。
  7. ^ Dave Leip's Atlas of U.S. Presidential Elections.
  8. ^ Randolph County Clerk and Recorder.
  9. ^ "Menard Correctional Center." Illinois Department of Corrections. Retrieved on September 1, 2010.
  10. ^ "Chester city, Illinois Archived 2011年7月28日, at the Wayback Machine.." U.S. Census Bureau. Retrieved on September 1, 2010.
  11. ^ "DOC Report Online." Illinois Department of Corrections. Retrieved on September 1, 2010.

外部リンク 編集

座標: 北緯38度03分 西経89度49分 / 北緯38.05度 西経89.82度 / 38.05; -89.82