リフィーディング症候群

リフィーディング症候群(りふぃーでぃんぐしょうこうぐん)とは、英語: Refeeding syndrome; 長期慢性的な低栄養状態に対して急激な栄養補給を行った際に生じる体内での電解質の分布異常により引き起こされる様々な代謝疾患の総称。

戦争や紛争に伴う飢餓や重度摂食障害の後に開始される、栄養回復のための平常の食事や輸液治療が引き金となり発症し症状は急速に進行する[1]。心不全、呼吸不全、腎不全、肝機能障害、多臓器不全[2]などにより重篤で致命的な合併症を伴うことがある。

臓器発達が不十分な低出生体重児においても急激な栄養投与は、当該疾患を発症させることがある[3]

発症機序
  1. 飢餓により生命維持のためのエネルギー代謝はを主体とした状態から、体内に蓄積されているタンパク質脂質を利用する状態に変わる。これにより代謝率は20%程度低下する。この作用を利用したのが、低糖質ダイエットと云える。
  2. 飢餓が長期になると脂肪(ケトン体)をエネルギー代謝として利用する状態に変化する。(グルカゴン優位)
    • 脳と赤血球にグルコースを供給するため骨格筋のタンパク質が利用される。
  3. 食事や輸液により体内に糖(グルコース)が取り込まれ、インスリンの急激な分泌が起こる。(インスリン優位)
  4. 解糖系代謝が活発化しリン、カリウム、マグネシウム、水分などが血管内から細胞内へ移動する。
  5. 血中リン濃度の低下によりクエン酸回路(TCA回路)が機能しなくなる。

もともと飢餓のため必要な電解質とビタミン類が不足しているので、容易に低リン血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症が生じる。

症状編集

  • 低リン血症
    • 進行性脳症、痙攣、昏睡、横紋筋融解、溶血性貧血、ヘモグロビンからの酸素解離低下、白血球および血小板の機能障害[4]

死亡

出典編集

  • FAQ Refeeding症候群 寄稿:大村健二 医学書院
  • 中屋豊, 阪上浩, 原田永勝「リフィーディング症候群 (特集 メンタルヘルスと栄養)」『四国医学雑誌』第68巻1-2、徳島医学会、2012年4月、 23-28頁、 ISSN 0037-3699NAID 40019338763

脚注編集

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  1. ^ 棚橋徳成, 苅部正巳, 木村裕行, 大川昭宏, 山口利昌, 守口善也, 後藤直子, 石川俊男「神経性食欲不振症の入院中における低リン血症もしくは Refeeding Syndrome」『日本心療内科学会誌』第8巻第4号、2004年11月、 229-234頁、 ISSN 13429558NAID 10018079850
  2. ^ 杉村朋子, 鯵坂和彦, 大田大樹, 田中潤一, 喜多村泰輔, 石倉宏恭「Refeeding syndrome から多臓器不全を合併した1例」『日本救急医学会雑誌』第22巻第5号、日本救急医学会、2011年5月、 213-218頁、 doi:10.3893/jjaam.22.213ISSN 0915924XNAID 10029368471
  3. ^ 千葉正博「早期産・低出生体重児の栄養管理」『日本静脈経腸栄養学会雑誌』第34巻第1号、日本静脈経腸栄養学会、2019年、 7-10頁、 doi:10.11244/jspen.34.7ISSN 2189-0161NAID 130007635451
  4. ^ 低リン血症 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 MSDマニュアル プロフェッショナル版
  5. ^ 低カリウム血症 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 MSDマニュアル プロフェッショナル版
  6. ^ 低マグネシウム血症 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 MSDマニュアル プロフェッショナル版


外部リンク編集