数学抽象代数学分野に於いて、アイソトピー (または イソトピー 英: isotopy) とは、ループ の代数的概念を分類するために使われる同値関係である。

ループおよび準群のアイソトピーは、 Albert (1943) によって導入された。 [原文 1]

準群のアイソトピー 編集

任意の準群は、あるループとアイソトピックである。

  準群 とする。 Q から P への 準群ホモトピー (英: quasigroup homotopy) とは、 Q から P への写像の三つ組み (α, β, γ) であって、以下の条件を満たす者である。

 

準群の準同型 (英: quasigroup homomorphism) とは、単に、これら三つの写像がすべて同じ写像であることと定義する。

アイソトピー (または イソトピー とも発音する、英: isotopy) は、ホモトピーの特殊なケースであって、三つの写像 (α, β, γ)全単射 である。二つの準群が アイソトピック (イソトピック 英:isotopic) とは、それらの準群の間にアイソトピーが存在することと定義される。ラテン方格 の言葉で言い換えると、アイソトピー (α, β, γ) は、行の置換 α、列の置換 β、 そして γ は、表内の P の要素集合の置換に相当する。

オートトピー (英: autotopy) は、   からそれ自身へのアイソトピーであり。準群のすべてのオートトピーの集合は、自己同型群 を部分群とする群を成す[訳語疑問点] [原文 2]

主アイソトピー (英: principal isotopy) とは、アイソトピーで特に、γQ 上の恒等写像であること。 この場合は、二つの準群は台集合は同じでなければならないが、その乗算は異なる場合もあり得る [原文 3]

ループのアイソトピー 編集

   をループとし、  をアイソトピーとする。 この時、(そのアイソトピー) は主アイソトピー     と、同型写像    間の   を使って、それらの合成[訳語疑問点] になっている[1] 実際、 ,   とおいて、演算を   by   で定義する。[要検証]

   をループとし、e単位元 of   とする。さらに    to   への主アイソトピーとする。この時   および   ここで   and  .[要検証]

ループ LG-loop であるとは、それがすべてのループアイソトープループと同型であることと定義される[原文 4]

ループの疑似自己同型 編集

L をループ、cL の元とする。 L の全単射 α は任意の x, y に対して、下記の恒等式を満たすこ時、cコンパニオン要素 とする右疑似同型 (: right pseudo-automorphism of L with companion element c)[訳語疑問点] と呼ばれる:

 

同様に、左疑似同型 (: left pseudo-automorphisms) も定義される。

ユニバーサル性 編集

ループについてのある性質 Pユニバーサル (普遍的、英: universal) であるとは、その性質が、アイソトピー不変であることと定義される。すなわち、ループ L においてある性質 P が成り立つか否かと、L のイソトープなループでも同様に性質 P が成り立つか否かが一致していることである。明らかに、L の主アイソトープについて P が成り立つかどうかをチェックすれば十分である。[要検証]

例として、可換ループのアイソトープは、必ずしも可換とは限らないので、可換性 はユニバーサルではない。 しかし、別の例として、結合性はユニバーサルである。アーベル群であるという性質もユニバーサルな性質である[要検証]。 実際、任意の群は、G-loop である [要検証]

アイソトピーの幾何学的実行 編集

与えられたループ L に対して、3-net と呼ばれる 入社幾何英語版 学的構造を定義することができる。 逆に、原点と直線クラスの 順序[訳語疑問点] を固定すると、3-net はループを発生させる。 別の原点を選択したり、直線クラスを交換したりすると、非同型座標のループが発生する可能性もある [原文 5]。 しかしながら、座標ループ[訳語疑問点] は常にアイソトピックである。 言い換えると、二つのループがアイソトピックであるのは、幾何学的な観点から同値であるとき、またその時に限る[原文 6]

代数学と幾何学の概念の間の対応は下記の通りである。

  • ループのオートトピーの成す群は、3-net の 共線変換英語版 を保存する 群の方向[訳語疑問点] に対応 [原文 7]
  • 疑似自己同型は、座標系の二つの軸を固定する共線変換に対応。
  • コンパニオン要素の集合は、共線変換群における軸のスタビライザの軌道に対応[原文 8]
  • ループが G-loop である iff. 共線変換の群の作用が 3-net の点の集合に推移的に作用するとき、またその時に限る。
  • 性質 P がユニバーサルである iff. 原点の選択に依存しない [原文 9]

関連項目 編集

脚注 編集

原文 編集

  1. ^ 未訳: based on his slightly earlier definition of isotopy for algebras, which was in turn inspired by work of Steenrod.
  2. ^ The set of all autotopies of a quasigroup form a group with the automorphism group as a subgroup.
  3. ^ 原文: In this case the underlying sets of the quasigroups must be the same but the multiplications may differ.
  4. ^ 原文: A loop L is a G-loop if it is isomorphic to all its loop isotopes.
  5. ^ 原文: Choosing a different origin or exchanging the line classes may result in nonisomorphic coordinate loops.
  6. ^ 原文: In other words, two loops are isotopic if and only if they are equivalent from geometric point of view.
  7. ^ 原文: The group of autotopism of the loop corresponds to the group direction preserving collineations of the 3-net.
  8. ^ 原文: The set of companion elements is the orbit of the stabilizer of the axis in the collineation group.
  9. ^ 原文: The property P is universal if and only if it is independent on the choice of the origin

出典 編集

  1. ^ Then it is the product of the principal isotopy   from   and   and the isomorphism   between   and  .

参考文献 編集

  • Albert, A. A. (1943), “Quasigroups. I.”, Trans. Amer. Math. Soc. 54: 507–519, doi:10.1090/s0002-9947-1943-0009962-7, MR0009962 
  • Kurosh, A. G. (1963), Lectures on general algebra, New York: Chelsea Publishing Co., MR0158000