ヴィクトリア&アルバート博物館

ロンドンの博物館

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ヴィクトリア・アンド・アルバートはくぶつかん、Victoria and Albert Museum)は、現代美術や各国の古美術工芸デザインなど多岐にわたる400万点の膨大なコレクションを中心にしたイギリスの国立博物館。本館は首都ロンドンケンジントンにある。ヴィクトリア女王(1819年 - 1901年)と夫アルバート公(1819年 - 1861年)が基礎を築いた。略称「V&A」。

ヴィクトリア&アルバート博物館
Victoria and Albert Museum
ヴィクトリア&アルバート博物館入口 地図
地図
施設情報
収蔵作品数 145のギャラリーに2,278,183点
来館者数

3,789,748 (2017年)[1]

館長 トリストラム・ハント英語版[2]
開館 1852年 (172年前) (1852)
所在地 ロンドンケンジントンクロムウェル・ロード英語版
位置 北緯51度29分48秒 西経0度10分19秒 / 北緯51.496667度 西経0.171944度 / 51.496667; -0.171944座標: 北緯51度29分48秒 西経0度10分19秒 / 北緯51.496667度 西経0.171944度 / 51.496667; -0.171944
アクセス サウス・ケンジントン駅
外部リンク www.vam.ac.uk
プロジェクト:GLAM
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ルネサンス様式の建築物

最寄り駅はサウス・ケンジントン駅自然史博物館人類学博物館科学博物館インペリアル・カレッジ・ロンドンなどに隣接している。

ベスナル・グリーンには、分館であるV&A子供博物館がある[3]。2018年には、スコットランドダンディーに別館が、日本人建築家隈研吾の設計により開館した[4]

歴史 編集

1851年のロンドン万国博覧会の収益や展示品をもとに、1852年に産業博物館として開館した。1851年の万国博覧会で欧州諸国に比して英国の産業製品のデザインの質が著しく低いことが指摘され、公衆の「趣味」を教育によって啓蒙し高めるべきであるという議論が沸き起こり、装飾美術館(Museum of Ornament Art)と改名[5]。1857年、現在のサウス・ケンジントンに移転し、サウス・ケンジントン博物館と名を改める。

元々はヴィクトリア朝の産業・技術の発展を背景に、イギリスの工芸品やインダストリアルデザインの質を高め、工業の振興を図るための博物館として構想された。こうした、殖産興業・デザイン発展のために博物館を作るという構想は1830年代からサー・ヘンリー・コールらを中心に政府内部にあったものの、その実現はヘンリー・コール自身が立案したロンドン万博成功を待たねばならなかった。製造業の労働者たちにデザインの重要性を啓蒙する教育機関を目指していたため、当初入場料は徴収しなかった。

1899年、ヴィクトリア&アルバート博物館と改称。1909年に現在の建物が竣工している。

コレクション 編集

絵画、彫刻、写真、ガラス工芸品、金属製品、陶磁器、宝石・貴金属、建築関連、アジア美術、衣装、アンティーク家具、中世から近代の武器、本、おもちゃ、テディベア、古い電化製品など、そのコレクションは多岐におよび、展示室の数も非常に多い。

グロスターのろうそく立て英語版と呼ばれる鐘青銅ろうそく立ては、1104年 - 1113年の間にイングランドあるいはドイツ北部で制作されたと考えられている。この手の、中世ヨーロッパにおける手の込んだアイテムとしては初期の部類。[6]

日本の作品としては江戸時代から明治時代の工芸品を多数収蔵しており、並河靖之七宝焼鈴木長吉の金工のほか、現代作品としては江戸期や明治期の工芸品の高い再現性で知られる漆工工房「雲龍庵」の作品も収蔵されている。

その他 編集

館内にはホールをそのまま流用したカフェテリアがあり、ケーキ紅茶コーヒーが楽しむことができる。

建物西側には第二次世界大戦当時、ナチス・ドイツ軍の爆弾が落下・爆発した。この時建物は破壊こそ免れたが壁面に多数の傷を受け、これは修復されず今日に残っている。

出典・脚注 編集

  1. ^ a b 2017 Visitor Figures”. Association of Leading Visitor Attractions. 2018年3月22日閲覧。
  2. ^ Stewart, Heather (2017年1月13日). “Tristram Hunt to quit as MP to become V&A director”. The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/politics/2017/jan/13/tristram-hunt-to-quit-as-mp-to-become-va-director?CMP=share_btn_tw 2017年1月13日閲覧。 
  3. ^ About us”. Museum of Childhood. 2013年2月18日閲覧。
  4. ^ 隈研吾 スコットランドの博物館別館を設計/重んじた まわりとの調和「人つなぐ『鳥居』の役割を期待」『朝日新聞』夕刊2018年9月18日(4面)2018年11月27日閲覧。
  5. ^ 岸田陽子「サウス・ケンジントン博物館と日本 : クリストファー・ドレッサーの運んだ1876年の寄贈品選定基準について」『アート・リサーチ』第12巻、立命館大学アート・リサーチセンター、2012年3月、17-29頁、doi:10.34382/00007732ISSN 1346-2601NAID 110008915169 
  6. ^ ハーヴェー,ジョン 著、森岡敬一郎 訳『職人の世界』 1巻、原書房〈中世の職人 / ジョン・ハーヴェー著 ; 森岡敬一郎訳〉、1986年、191-192頁。 NCID BN00228795https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001819393-00 

外部リンク 編集