与那覇湾
与那覇湾(よなはわん)は、沖縄県宮古島市の宮古島の南西部にある湾である。2012年7月3日にラムサール条約の登録湿地となった[1][2]。
地形
編集北西に湾口を開き、北東側の久松地区と、南西側の下地地区に挟まれた湾で、最大水深が2mと全体に浅く、湾内は沖縄県で最大の面積を有する広大な干潟になっている。湾口の下地側には西浜崎が北に向けて突き出ている。
自然
編集湾内にはマングローブのほかにリュウキュウスガモ、ベニアマモ、シオニラなどの海草の藻場もある[2]。湾内の干潟には、シギ・チドリ類を主とする鳥類の渡りの経由地、越冬地であり、ムナグロ、メダイチドリ、チュウシャクシギ、ダイシャクシギ、キアシシギ等の主要な渡来地になっている。また、クロツラヘラサギ(絶滅危惧IA類)、ツクシガモ、キンバト(以上、絶滅危惧IB類)、サシバ、セイタカシギ、アカアシシギ(以上、絶滅危惧II類)が確認されている。一帯には時にヘラシギ、タンチョウ、コウノトリ、タイマイ、ミヤコカナヘビなども見られる[2]。
このため、与那覇湾及びその周辺は「与那覇湾およびその周辺」として日本の重要湿地500に選定されている。また、2011年11月1日に集団渡来地として国の鳥獣保護区(1,366ha。うち特別保護区域704ha)に指定され[3][4][5]、要件を満たしたことから2012年7月3日にラムサール条約の登録湿地となった[6]。
文化
編集沖縄県では旧暦3月3日の大潮に浜下り行事が行われるが、宮古島ではこの行事をサニツ(「3日」の意味[7])と呼ぶ[8]。与那覇湾の下地側の浜では、この行事が盛大に行われていたことから、通称サニツ浜と呼ばれる。
サニツ浜にはサニツ浜ふれあい広場が整備され、サニツにはこの浜で宮古馬の競走が行われた伝統があることから、宮古馬を象った巨大なモニュメントが建てられている。
1991年(平成3年)からは、サニツをイベント化したサニツ浜カーニバルが開催されていた[9]。しかし、新型コロナウイルスの影響で2019年の第29回大会から中止が続き、2022年6月24日に開催された実行委員会総会で廃止が決定された[10]。
脚注
編集- ^ “日本の9湿地を登録 広島・宮島など ラムサール条約”. 産経新聞. (2012年7月3日). オリジナルの2012年12月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c “Yonahawan | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2012年7月3日). 2023年4月14日閲覧。
- ^ 国指定与那覇湾鳥獣保護区指定計画書 (PDF) 環境省、2011年11月1日
- ^ 国指定与那覇湾鳥獣保護区与那覇湾特別保護地区指定計画書 (PDF) 環境省、2011年11月1日
- ^ “与那覇湾・池間島 国指定保護区へ計画案承認”. 沖縄タイムス. (2011年8月12日). オリジナルの2012年9月10日時点におけるアーカイブ。
- ^ ラムサール候補に宮古の与那覇湾 7月に登録へ 琉球新報、2012年5月10日
- ^ なんて愉快な夏の祭り 第13回サニツ浜カーニバル 美ら島物語
- ^ 沖縄コンパクト事典 サニツ 琉球新報、2003年3月1日
- ^ 砂川克佳(下地町企画課課長補佐). “沖縄県下地町 : 干潟で競馬、宮古角力…熱戦を展開 : 伝統行事復活させ、地域が活気づく”. 月刊地域づくり. 一般財団法人地域活性化センター. 2001年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月19日閲覧。
- ^ “「島の運動会」サニツ浜カーニバルが廃止 開催主体の地域への移行「難しい」”. 琉球新報 (2022年7月9日). 2022年7月9日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 日本の重要湿地500 No.479 与那覇湾およびその周辺
- 日本の閉鎖性海域 87 与那覇湾 (PDF) 国際エメックスセンター