中村 為治(なかむら ためじ、1898年1月17日 - 1991年6月30日)は、日本のイギリス文学者。

東京銀座に生まれる。第一高等学校川端康成と同級。1923年東京帝国大学英文科卒。関西学院英語講師、1926年東京商科大学(現一橋大学)予科教授。同僚の上原専禄と親しかった。1943年、45歳で辞職し、長野県乗鞍高原に隠棲した。農業と翻訳で暮らすが、1967年中部女子短期大学(現中部学院大学)教授となり、1972年まで務めた[1]

ロバート・バーンズを専門とし、キップリング詩集の翻訳などがある。大江健三郎は少年時代に中村の訳した岩波文庫の『ハックルベリー・フィンの冒険』を愛読した。

著書 編集

  • バーンズ 研究社英米文学評伝叢書 32 研究社 1934
  • マルコ福音書の逐字訳を主体としたイエスの生涯とその教え 山本書店 1966

翻訳 編集

  • 抒情英詩集 研究社 1927
  • バーンズ詩集 岩波文庫 1928
  • ヴイクトリア朝の抒情詩 泰文堂 1929 (青年英文学研究叢書)
  • キプリング詩集 梓書房 1929
  • 闘技者サムソン ミルトン 岩波文庫 1934
  • キツプリング詩集 岩波文庫 1936
  • ジャングルブック キップリング 岩波文庫 1937
  • ハックルベリイフィンの冒険 マーク・トウェーン 岩波文庫 1941
  • 植物の育成 全8冊 ルーサー・バーバンク 1955-1962 (岩波文庫)
  • バーンズ全訳詩集 角川書店 1959
  • スピノザ倫理学 羅和対訳 山本書店 1979.8

脚注 編集

  1. ^ 照山顕人「東京商科大学教授中村為治の生涯とロバート・バーンズ」『人文・自然研究』第2巻、一橋大学大学教育研究開発センター、2008年、226-268頁、doi:10.15057/15677ISSN 18824625NAID 110007622527