交響曲第1番 (ブルッフ)
ブルッフ作曲の交響曲
概要
編集1864年、コブレンツで職にある時期にブルッフはヘルマン・レヴィから交響曲の作曲の提案を受けた。ブルッフはすでにいくつかの合唱曲や歌劇で成功を収めてはいたが、器楽の分野でも経験を積むために交響曲の作曲を決意し、ヴァイオリン協奏曲第1番とほぼ同じ時期を費やしてこの作品が書かれた。1868年7月26日にゾンダースハウゼンにて初演され、同年末に「友情を込めて」ヨハネス・ブラームスに献呈された。
作風としてはフェリックス・メンデルスゾーンやロベルト・シューマンの流れを汲む。初演は一定の成功を収め、ヘルマン・クレッチマー(Hermann Kretschmar)はブルッフの評伝の中で「その時代の最も知られた交響曲の一つ」と述べている。
編成
編集楽曲構成
編集4楽章からなり、演奏時間は約30分。初演時にはシューマンの「ライン」交響曲と同じく5楽章からなっていたが、第2楽章に置かれていた「インテルメッツォ」は同年10月の再演以降割愛された[2]。
- 第1楽章 Allegro maestoso
- 第2楽章 Scherzo: Presto
- 第3楽章 Quasi Fantasia: Grave
- 第4楽章 Finale: Allegro guerriero
- 変ホ長調、2/2拍子。メンデルスゾーンの「スコットランド」交響曲のフィナーレと同じ発想標語を持っている。まずチェロに軽快な動機が出、それに乗って特徴的なリズムの第一主題が提示される。なめらかな第二主題はヘ長調で、クラリネットとホルンのソリに出る。展開部をはさみ、再現部では二つの主題が逆順で再現される。
参考文献
編集- CD解説:(マズア指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)フィリップス
注釈
編集- ^ 習作期の1861年(23歳)までに3曲の交響曲を書いた記録もあるが、どれも現存しない。本田裕暉「マックス・ブルッフ《交響曲第2番ヘ短調》作品36 : ブラームスの交響曲の先駆け」『赤いはりねずみ』第47号(日本ブラームス協会、2019)p. 41。
- ^ Eckhardt van den Hoogen, [trans.] Susan Marie Praeder (2020) "From Mnemonic Devices to Revelatory Experiences – or: The Rocky Road to Bruch the Symphonist" Max Bruch: Complete Symphonies (CD) CPO. 555252-2. p. 34.