交響曲第6番 (シューベルト)

交響曲第6番(こうきょうきょくだいろくばん)ハ長調 D 589は、フランツ・シューベルト1817年に作曲した交響曲。同じくハ長調で書かれた第8番『ザ・グレート』と比較すると小規模なため、『小ハ長調: Kleine C-Dur: Little C major)』の愛称で呼ばれることもある。

概要 編集

音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
  Schubert: 6. Sinfonie アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮
  Schubert: 6. Sinfonie D 589 アントネッロ・マナコルダ英語版指揮
以上は何れもhr交響楽団の管弦楽、hr交響楽団公式YouTubeより。
  Franz Schubert:Sinfonie Nr.6 - パブロ・エラス=カサド指揮NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団による演奏。NDR Klassik公式YouTube。

1817年10月から作曲を始め、翌1818年2月にかけて完成されたこの第6番は、シューベルトの死後1ヵ月後の1828年12月14日にウィーン楽友協会主催の音楽祭で初演が行なわれた。元来、シューベルト自身は第8番(『ザ・グレート』)の演奏を希望していたが、あまりにも演奏至難だったために拒絶され、作曲家本人が替わりに本作品の楽譜を提出し、演奏された。その時の指揮はオットー・ハトヴィヒが行なった。

第5番と比較すると、はるかにシューベルトの個性が現れていると同時に、一面影響を受けたところもはるかに多様であることを示している。また、第5番と異なりベートーヴェンの交響曲がいろいろな点で模範とされており、そしてイタリア風な作法が含まれているのは、その頃ロッシーニの作品に接触することが多かったためだといわれている。

楽器編成 編集

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ弦五部

構成 編集

全4楽章の構成で、演奏時間は約30分。

  • 第2楽章 アンダンテ
    ヘ長調、4分の2拍子、複合二部形式(A-B-A-B-コーダ
    ヘ長調の主要主題はヴァイオリン、次にフルート、クラリネットで示される。副主題もヴァイオリンで提示され、同様に木管へ引き継がれる。両主題が繰り返された後、主要主題に基づくコーダで曲を閉じる。
  • 第4楽章 アレグロ・モデラート
    ハ長調、4分の2拍子、展開部を欠いたソナタ形式。
    まず弦だけで第1主題が軽やかに奏され、やがて主題は高潮し、経過部に入る。第2主題は変イ長調の忙しい音階。第3主題は付点のリズムの伴奏を伴って提示される。第4主題もベートーヴェンの交響曲第7番のような付点リズムを伴う。第1主題の再現を導く連結部では、フルートとクラリネットが断続的な音を15小節にわたって続けている。再現部は型通りに進行するが、第4主題部はやや拡大されている。その後、ややテンポを上げて華々しいコーダで全曲を締めくくる。

外部リンク 編集