人権派(じんけんは)とは、主に旧東側諸国独裁国家や非世俗主義のイスラム国家などにおいて、実際に逮捕や殺傷される危険にさらされながらも、当該国内で人権保護言動をしている人々に使われる称賛的な呼称であるが[1][2][3][4]、一般感覚と乖離した加害者擁護者[5]、又は言論活動やメディアなどでの「人権擁護」主張と発言者の実態が異なる言動不一致の場合又は役に立つ馬鹿のように自分たちの利益や政治的イデオロギーに則った特定対象の「人権」だけしか保護対象にしない二重規範者らの場合は「人権屋」とも呼ばれ、皮肉的にも用いられる[6][7][8][9][10][11]

概要編集

称賛的な用例編集

ある人が「人権派」であるかどうかを区別する客観的な指標はなく、自称による場合もある。山口那津男は自らの選挙ポスターでこの言葉を用いていた[12]。イランや中国のような不透明な司法を持つ宗教国家や独裁国家において身の危険を晒しながら活動している人物らに用いられる際には肯定的な意味しか持たない。髪を覆うスカーフ着用を義務付けるイランの法律への抗議で罪に問われた女性の弁護、政治犯や子どもらの権利擁護に取り組んでいたことでイランの国家安全保障に反する行為をしたなどとして逮捕され、禁錮38年の判決で収監されている女性弁護士ナスリン・ソトゥーデや法輪功の弁護活動を続けてきたことで2017年2月に国家政権転覆罪で逮捕・起訴されて懲役4年6月、5年間の政治権利剥奪された王全璋(en:Wang Quanzhang)などの例がある[1][3][2]

否定的な用例編集

「人権派」を尊称として肯定的に使用することがある一方で、いわゆる「在日外国人や各種事件の被疑者被告人だけを守り、市民社会の秩序を害する存在」などといった意味で用いることがある。こちらの用法を過激化した蔑称として「人権屋」が使用される事もある。特定の団体等が人権団体を隠れ蓑にして活動しているとして、「人権ゴロ」と称されることもある。どちらの意味においても、弁護士学者文化人政治家ジャーナリストなど、民主主義国家など西側諸国で人権に深くかかわるが中国や北朝鮮など共産主義社会主義国家の人権問題には沈黙や関わらない立場の人物が、その言説などから「人権屋」と呼ばれることが多い。韓国日本では北朝鮮から命からがら逃げてきた脱北者左派よりも右派側が助けることが多い[要出典]。なぜなら北朝鮮は脱北者を「ゴミ」と主張して徹底的に攻撃しているため、北朝鮮を支持したり、擁護的な者が多い左派は仲間内からの批判を恐れて触れられないためスルーしている[独自研究?]。日本では左派弁護士が運営を行う日弁連を中心に日本人の左派は韓国には民主化を求めるが、北朝鮮の金一族の王朝独裁体制を擁護・放任していた。北朝鮮による拉致被害者の救出にとりくむ法律家の会は拉致を疑惑や差別だとして北朝鮮の代弁者をしていた日弁連や左派政党・市民団体に「人権」を主張しながら東側諸国へのシンパシーや共産主義・社会主義イデオロギーで拉致被害者奪還の妨害をしていたことへの謝罪を求めている。韓国では右派は国家を民族よりも重視する、しかし、韓国の左派は国家(韓国)を超える民族主義であり、それが北朝鮮へのシンパシーになっている。そのため、韓国の過去の政権や右派に人権で批判する韓国人の左派や「人権弁護士」が北朝鮮が破綻国家と証明したり、北朝鮮の民主化活動をする脱北者を迫害したり、罵倒することが問題となっている[13][14]。なお、逮捕や家族を含む監禁などに抗議している中国民主化運動の運動家や少数民族の運動家、中国の反体制派の弁護士など、非民主的な国家における人権活動家・民主化運動家に「人権派」という呼称を冠されることも多い。この場合は大抵肯定的な意味で使われる[15]アメリカでは2004年に北朝鮮国内の人権と脱北者の人権のための法律が成立したが、韓国では左派が反対して成立していない。「人権派」と主張されるのは日韓では左派弁護士・学者・文化人・政治家・ジャーナリストだが、日本や右派政権時の韓国(政府)を批判はするが北朝鮮による人権弾圧への批判が無関心・タブーとなっていると指摘されている[16]。2018年には国内外で人権や女性の人権擁護を主張し、著名なフォトジャーナリストの広河隆一が社内でパワハラセクハラ、肉体関係強要を行ってきたことが判明し、週刊文春などが言動不一致だと指摘している[17][18][19]

人権派弁護士と二重基準批判編集

弁護士というものはその職業の本来的な内容から必然的に他者の人権を擁護する者が多いが、一部で「人権派弁護士」などと自称・あるいは呼ばれることがある。「人権派弁護士」を自称・他称する安田好弘などは宮崎学魚住昭らとの鼎談[20]において、「「人権派弁護士」というのは、弁護士にとって有益な看板となっていました。「ブル弁」と呼ばれる人たちと対比され、民主的、知性的、学究的、清廉で優秀などというプラスの雰囲気を醸(かも)し出していましたし、世間も一目置いていました。実は、「ブル弁」のほうが、「人権派弁護士」より異端だったんですね。」と述べた上で、「しかし、「人権」の問題がシビアになってきて、少数派に追い込まれ、しかも社会の共感を得られなくなってくると、「人権派弁護士」という存在が、一気に瓦解していくんですよね。」としている。このように社会の多数派の理解を得られない特定の外国籍、犯罪被疑者などの限られた区分の人権擁護にのみ熱心な弁護士を人権派と揶揄する事がある[21][22]

田原総一朗も人権派と呼ばれる弁護士たちを占める左派弁護士らが、日本に対して人権理由に様々な反対運動や日本批判などをするのに、人権が存在しない北朝鮮の人権についてはおとなしいか何も言わない二重基準を皮肉ってている[10]

元朝日新聞記者の窪田順生は人権派弁護士やその総本山の日弁連に批判的であり、無免許運転で四人殺害した18歳の少年を「未来のある少年に8年も奪うのはしのびない。少年院で5年ぐらい過ごせば、立派な社会人になって結婚して、家庭を築くこともできるじゃないか」と一様に擁護することに批判的である。彼らの主張を「被害者や遺族が聞いたら、こいつらは人間の血が通っていないのかと思われる」、「これまで取材でお会いした人権派なんて呼ばれる弁護士のみなさんは本気でそんなことをおっしゃる。」「我々からすれば法曹界は一般市民の常識からかけ離れているとなるが、あちらからすると、世論やマスコミは文句を言うなら法律の勉強をしてから言えとなる」と批評している[5]

香港民主派リーダーの黄之鋒は中国政府の顔色を見ている韓国政府と文在寅大統領に「本当に失望しました。台湾と日本政府いずれも憂慮を示しました。どうしたら 人権弁護士出身だという大統領が沈黙出来るのですか?」  「韓国政府、特に韓国の大統領は利益を追って人権を踏みにじってはなりません」と矛盾を批判している[23]。2020年6月11日には国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは韓国政府が北朝鮮にビラを飛ばした脱北者団体らを刑事告発したことを、韓国政府は北朝鮮の脅しに「平身低頭」しており、人権派弁護士出身の文在寅大統領とその政権が脱北してきた北朝鮮人のために全く立ち上がろうとしないのは「恥ずべきこと」だと非難している。韓国左派は元々北朝鮮や中国をシンパシーを感じていて、両者に批判的な脱北者に冷淡である。そのため、人権派弁護士と自他共にしてきた文在寅大統領が人権の庇護をするのは、韓国左派特有の反日や反韓国右派に利用できるモノだけであり、北朝鮮の人権弾圧については一言も触れたこと無いために否定的な意味の人権派そのものであることが指摘されている[11][24][25][26][27]。2020年11月にもフィル・ロバートソン国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチアジア担当副局長は「文在寅大統領と韓国政府が(9月末に起こった)黄海の公務員殺害事件に対する独立的で公正な調査を要求する代わりに、問題を覆い隠そうとしている」と指摘している。トマス・オヘア・キンタナ国連北韓人権状況特別報告者も、国連第3委員会で採択した北韓人権決議案に韓国が共同提案国として参加しなかったことに対し「北朝鮮に良くない信号を送ったもの」と批判した。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も「韓国政府が北朝鮮に明確なメッセージを送る機会を自ら捨てた」と指摘した。キンタナは20日、自由アジア放送(RFA)とのインタビューで、韓国が北朝鮮人権決議案に共同提案国として参加しなかったことについて「韓国の右派政権ではそうだったように、(北韓)人権問題には、はばかることなく声を出さなければならない」と明らかにした。彼は「韓国が国連の北朝鮮人権決議案にもっと多く参加する姿を見たい」「北朝鮮と政治的利益のために人権問題に沈黙したり列を外れてはならない」と強調している[28]

逆に拘束や逮捕など利益よりも身の危険がある中華人民共和国で人権のために戦っている弁護士らは肯定的な意味で人権派弁護士と呼ばれている[29][30][31][32][33][34][35][36]

 

関連項目編集

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 中国、人権派弁護士に実刑判決” (日本語). 日本経済新聞 (2019年1月29日). 2019年2月14日閲覧。
  2. ^ a b 中国の人権派弁護士に実刑判決 不透明な司法手続き 国際的な批判は必至” (日本語). 毎日新聞. 2019年2月14日閲覧。
  3. ^ a b 人権派の女性弁護士を再び収監 イラン、一時釈放後(共同通信)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2020年12月3日閲覧。
  4. ^ 人権派弁護士弾圧の中国に「屈しない」 国家政権転覆罪で服役していた王全璋氏に聞く:東京新聞 TOKYO Web” (日本語). 東京新聞 TOKYO Web. 2021年9月22日閲覧。
  5. ^ a b c d 無免許運転で4人を殺しても“過失”? 「法」と「常識」はなぜかけ離れているのか” (日本語). ITmedia ビジネスオンライン (2013年3月5日). 2021年9月22日閲覧。
  6. ^ 世界的人権派ジャーナリストの広河隆一氏に性暴力疑惑 7人もの女性が証言|ニフティニュース” (日本語). ニフティニュース. 2019年2月14日閲覧。
  7. ^ 8人の女性が被害告発 広河隆一氏「性暴力検証」は崩壊状態(文春オンライン)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2019年2月14日閲覧。
  8. ^ 編集部. ““人権派ジャーナリスト”広河隆一氏、女性への壮絶な性行為強要&パワハラに世間震撼”. ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る. 2019年2月14日閲覧。
  9. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【弁護士会 矛盾の痕跡(1)】「北朝鮮に腰が引けている」拉致に冷淡、「朝鮮人=被害者」以外は沈黙…〝人権派〟が朝鮮総連と強固なネットワーク” (日本語). 産経WEST. 2019年2月14日閲覧。
  10. ^ a b 文在寅は「何が韓国の国益か」を理解していない(JBpress) - Yahoo!ニュース”. archive.is (2019年5月26日). 2019年5月26日閲覧。
  11. ^ a b HRWが韓国非難「北の脅しに平身低頭」、ビラ飛ばす脱北者団体の刑事告発で(AFP=時事)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2020年6月12日閲覧。
  12. ^ 山口『なっちゃんの挑戦』凰書院
  13. ^ 中野徹三, 藤井一行 (2003年11月30日). 拉致・国家・人権: 北朝鮮独裁体制を国際法廷の場へ. 大村書店 
  14. ^ 北朝鮮による拉致被害者の救出にとりくむ法律家の会 (2004年6月30日). 拉致と強制収容所: 北朝鮮の人権侵害. 朝日新聞社 
  15. ^ 深刻化する中国の人権問題(TBS系(JNN))”. 2018年7月14日閲覧。
  16. ^ 趙允英 (2012年4月26日). 北朝鮮のリアル: 住民・脱北者の証言から読む金正恩体制の明日. 東洋経済新報社 
  17. ^ 世界的人権派ジャーナリストの広河隆一氏に性暴力疑惑 7人もの女性が証言|ニフティニュース” (日本語). ニフティニュース. 2019年2月14日閲覧。
  18. ^ 編集部. ““人権派ジャーナリスト”広河隆一氏、女性への壮絶な性行為強要&パワハラに世間震撼”. ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る. 2019年2月14日閲覧。
  19. ^ 8人の女性が被害告発 広河隆一氏「性暴力検証」は崩壊状態(文春オンライン)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2019年2月14日閲覧。
  20. ^ 宮崎学、安田好弘|直言増刊2号・宮崎学×安田好弘×魚住昭「検察国家日本を切る」第一回 http://moura.jp/scoop-e/chokugen/special/060607/index.html
  21. ^ 森達也森巣博 『ご臨終メディア―質問しないマスコミと一人で考えない日本人』 集英社、2005年10月、163頁。ISBN 9784087203141
  22. ^ 小林正啓『こんな日弁連に誰がした?』平凡社〈平凡社新書〉、2010年2月、52―53頁、56―58頁、170―171頁。ISBN 978-4582855098
  23. ^ [단독조슈아 웡 “한국 정부에 실망…이익 아닌 인권 좇아야”]” (朝鮮語). news.naver.com. 2020年6月1日閲覧。
  24. ^ 命懸けで脱北しソウルで餓死した母子…“人権派”文在寅大統領は何を思うのか (2019年8月27日)” (日本語). エキサイトニュース. 2020年6月12日閲覧。
  25. ^ 韓国、人権支援活動に逆風 脱北者ら「文政権は消極的」:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2020年6月12日閲覧。
  26. ^ 韓国・文在寅政権での脱北者たちの苦境” (日本語). www.bs-asahi.co.jp. 2020年6月12日閲覧。
  27. ^ 北朝鮮亡命作家が告発「文在寅は脱北者を見殺しにしている」” (日本語). NEWSポストセブン. 2020年6月12日閲覧。
  28. ^ 국제인권단체 “인권결의안 불참한 韓, 공무원 피격사건 덮으려 하나”” (朝鮮語). n.news.naver.com. 2020年11月24日閲覧。
  29. ^ 人権派弁護士の王氏出所 15年7月に一斉拘束―中国:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年6月12日閲覧。
  30. ^ 中国の人権派弁護士、出所後も続く隔離” (日本語). 毎日新聞. 2020年6月12日閲覧。
  31. ^ 人権派弁護士、家族と再会 中国:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年6月12日閲覧。
  32. ^ 中国人権派弁護士に行動の自由を 米:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年6月12日閲覧。
  33. ^ 「国家政権転覆罪」で突如拘束された中国の人権派弁護士、5年ぶりに妻子と再会を果たす” (日本語). ハフポスト (2020年4月28日). 2020年6月12日閲覧。
  34. ^ 中国、人権派弁護士ら十数人拘束 香港デモ波及を警戒か:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2020年6月12日閲覧。
  35. ^ 日本テレビ. “中国で続く人権弾圧 “消えた弁護士”は今|日テレNEWS24” (日本語). 日テレNEWS24. 2020年6月12日閲覧。
  36. ^ 日本テレビ. “今も監視下…弁護士「家族に会いたい」中国|日テレNEWS24” (日本語). 日テレNEWS24. 2020年6月12日閲覧。