塩化オキサリル
塩化オキサリル(えんかオキサリル, oxalyl chloride)は構造式 (COCl)2で表される化合物である。シュウ酸の2つのカルボン酸がカルボン酸塩化物となった構造を持つ、無色の液体である。有機合成化学においてよく用いられる[4]。シュウ酸を五塩化リンで処理すると得られる[5]。
塩化オキサリル | |
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炭素, C 酸素, O 塩素, Cl | |
別称
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 79-37-8 |
PubChem | 65578 |
ChemSpider | 59021 |
UNII | R4Y96317DW |
EC番号 | 201-200-2 |
RTECS番号 | KI2950000 |
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特性 | |
化学式 | C2Cl2O2 |
モル質量 | 126.93 g mol−1 |
外観 | 無色の液体 |
匂い | ホスゲンのような[2] |
密度 | 1.4785 g/mL |
融点 |
-16℃ |
沸点 |
63 ~ 64℃ (at 1.017 bar) |
水への溶解度 | 水と反応する |
屈折率 (nD) | 1.429 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | External MSDS |
GHSピクトグラム | [3] |
GHSシグナルワード | Danger[3] |
Hフレーズ | H314, H331[3] |
Pフレーズ | P261, P280, P305+351+338, P310[3] |
主な危険性 | 毒性、腐食性、催涙性[3] |
NFPA 704 | |
関連する物質 | |
関連するカルボン酸塩化物 | |
関連物質 | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
有機化学への応用
編集酸塩化物の合成
編集有機合成化学では、カルボン酸を対応する酸塩化物へと変換する際によく用いられる。塩化チオニルと同様、塩酸などの揮発性の副生成物が発生する。
塩化オキサリルは比較的マイルドで、より選択性のある試薬だと考えられている。触媒量のジメチルホルムアミドを添加することが多い。
芳香族化合物のアシル化
編集塩化アルミニウムの存在下で芳香族化合物と反応し、対応する酸塩化物を発生させる。この反応はフリーデル・クラフツ反応として知られている[6][7]。続く加水分解により、対応するカルボン酸が生成する。
ジエステルの合成
編集他の酸塩化物と同様、アルコールと反応するとエステルが生成する。
この反応はピリジンのような塩基の存在下で行われることが多い。なおフェノールと反応するとフェニルオキサリルエステルを生成するが、この反応はサイリュームに応用されている。
アルコールの酸化
編集塩化オキサリルとジメチルスルホキシド、トリエチルアミンを組み合わせると、アルコールを対応するアルデヒドやケトンへと酸化できる。この反応はスワーン酸化として知られている。
危険性
編集水と激しく反応し、塩化水素を発生する。
参考文献
編集- ^ a b Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 797. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4
- ^ Oxalyl chloride: odor
- ^ a b c d e Oxalyl chloride MSDS
- ^ Salmon, R. "Oxalyl Chloride" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis 2001, John Wiley & Sons, New York.DOI: 10.1002/047084289X.ro015
- ^ Vogel, A.; Steffan, G.; Mannes, K.; Trescher, V. "Oxalyl chloride" DE 78-2840435 19780916.Chemical Abstracts Number 93:94818
- ^ Neubert, M. E.; Fishel, D. L. (1990). "Preparation of 4-Alkyl- and 4-Halobenzoyl Chlorides: 4-Pentylbenzoyl Chloride". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 7, p. 420
- ^ Sokol, P. E. (1973). "Mesitoic Acid". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 5, p. 706