天然砥石(てんねんといし)とは自然界から産出する砥石である。現在主流の人造砥石が作られる以前は、全て天然砥石が使用された。

特徴編集

砥石には粒度により荒砥石、中砥石、仕上げ砥石とに分けられる。天然砥石にも多種多様の種類があり、それぞれ区分されてはいるが、個体差が大きいため、人造砥石のような粒度表記はできない。天然砥で仕上げると刃先硬化作用があるといわれ、刃持ちがよくキレがいいといわれている。化粧研ぎには、人造仕上げ砥石にはないボカシの効いた半鏡面の独特の仕上がりになり、天然仕上げ砥石ははずせない。 また日本刀研磨にも欠かすことの出来ないものである。

天然砥石の原料は主に堆積岩や凝灰岩などであり、荒砥は砂岩、仕上げ砥は粒子の細かい泥岩(粘板岩)から作られ、中でも放散虫の石英質骨格が堆積した堆積岩が良質であるとされる。

産出地編集

代表的なところでは、荒砥として佐賀和歌山の大村砥、中砥として愛媛の伊予砥、京都の青砥、熊本の天草砥 備水砥、群馬南牧の虎砥、沼田砥 御蔵砥(ごぞうと) 対馬の黒名倉砥、愛知の三河白名倉砥、兵庫の但馬砥、仕上げ砥としては京都の合砥(あわせど)、などがある。

特に京都の合砥は、古くから鳴滝砥と呼ばれ仕上砥として非常に有名であり、その中でも京都市北西部の本成層 東物の、梅ヶ畑地区の中山鉱山 戸前層は最高品質とされる。梅ヶ畑地区でかつて主要なものは 尾崎、向ノ地、中山、菖蒲谷、奥殿、大突、木津山、など。その他には、西物で 大平、水木原、奥の門、新田、愛宕山、などある。また丹波地方にも大内、八木の島、八箇山(はっか山)、富田日照山、三号山、若狭(わかさ) などがあり、また滋賀県、高島妙覚谷,相岩谷でも産出している。この他にもかずある鉱山はあったが、現在は枯渇し供給不足や品質が揃わないので価格が安定していない。新山開発に高額な資金が必要で、また経営者が高齢なこと、後継ぎがいないなどの要因で、一部閉山、休山している。

用途編集

主に、包丁、刀剣、カミソリ、鉈(なた)、鎌(かま)、鑿(のみ)、鉋(かんな)、刻刀、小刀(こがたな)、などの刃付け、表面仕上げ研磨用。

注意編集

砥石を濡れたままにして置いておくと、凍って割れることがある。また研ぐ面の側面に漆やカシュー、油性ニスで養生したほうがよい。和紙、布を貼る人もいる。多くの場合、人造砥石のように水に浸す必要はなく、適宜水を掛けながら加減して使用する。

参考文献編集

  • 『京都天然砥石の魅力』京都天然砥石組合記念誌編集委員会(編)、京都天然砥石組合、1993年10月。NCID BN15834890
  • 築地正本『砥石と包丁の技法 基礎から実践まで、すべてがわかる決定版』誠文堂新光社、2010年5月。ISBN 978-4-416-81033-0

外部リンク編集