太陽エネルギー

太陽から太陽光として地球に到達するエネルギー

太陽エネルギーたいようえねるぎー、: Solar energyは、太陽から太陽光として地球に到達するエネルギーを指す。ソーラーエネルギー[1]ソーラーパワー[2]などとも呼ばれる。地球上の大気や水の流れや温度に影響し、多くの再生可能エネルギー生物の生命活動の源となっている。また、古くから照明や暖房、農業などで利用されてきた。

地球のエネルギー収支を簡略化した図(NASAによる)
地球上の太陽光エネルギー資源量の分布(横軸:0〜350 W/m2、1991-1993年の平均、昼夜の変化や天候の影響含む)。黒点は、変換効率を8%と仮定して世界の主要エネルギー源を太陽光で十分賄うために必要な面積を表す。(英語版"Solar power"より)

狭義には、太陽光から熱や電力を得るエネルギー源を指し、再生可能エネルギーに分類される。太陽光が当たる場所ならばどこでもエネルギーが得られ、得られるエネルギー当たりの温室効果ガスの排出量が少ない。昔から熱として利用されて来たが、近年は地球温暖化対策の一環として、熱利用と共に発電用途での利用が増えている。

地球上でのエネルギーの流れ編集

太陽から放射されたエネルギーのうち、地球に照射されている光エネルギーは、ワット数にして約174 PW(ペタワット)である。大気等による反射や吸収を受けつつ、そのうち約半分が地表に到達する。このエネルギーは大気や地表海洋を暖め、暫く熱などの形で大気圏内に留まる。最終的には、赤外線などとしてすべて宇宙へ再放射される(地球温暖化は、このエネルギー収支の均衡が崩れる現象である)。

大気圏内に到達した太陽エネルギーは、大気や水の循環を発生させ、植物光合成などを通じて多くの生命活動の源となる。また、下記のような直接利用のみならず、風力バイオマスなど多くの再生可能エネルギーの源となる。

人類による利用形態と技術編集

 
右からドイツ、EU25カ国、全世界の電力需要に相当する電力を太陽エネルギーで発電するのに必要な面積[2]

人類が地上でエネルギー源として実際に利用可能な量は約1 PW (年間8670 PW・h、もしくは1000 TW)といわれる[3]。これは2008年時点の世界全体の一次エネルギー供給量(TPES)[4](12267 Mtoe=約131 PW・h、もしくは約15 TW)の約67倍である。またゴビ砂漠の半分に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られる[5]。地上に到達する太陽エネルギーの量は緯度や気候によって異なる。東京での1年間の面積あたり入射量は約1200 kWh/m2である。欧州では中部で約1000 kWh/m2、南部で約1700 kWh/m2である。また赤道付近の国々では最大約2600 kWh/m2に達する[3]。 その利用形態は下記のように様々である。

利用形態の概要編集

太陽エネルギーは、下記のように多彩な形で利用されてきた。

古くからの利用法:

熱、電力:

電力としての太陽エネルギーの利用形態は、大別してアクティブ利用パッシブ利用に分けられる[6]。アクティブ利用とは、太陽電池や集熱器を用いて、積極的にエネルギーを輸送する利用形態を指す。これに対して、建物の構造などを工夫して自然に入射する太陽光を特別な機器なしに利用することをパッシブ利用と呼ぶ。
下記のような利用形態がある[7]
  • 太陽光発電太陽電池を用いて、太陽光を直接的に電力に変換して発電する。
  • 太陽熱発電…集熱器を用いて太陽光を熱に変換し、熱せられた空気や蒸気を用いてタービンを回して発電する。
  • 太陽熱利用…集熱器を用いて太陽光を熱に変換し、加熱した空気や水を暖房や給湯に利用する。高温そのものを炉や調理に利用する場合もある。
それぞれに特徴があり、地域や用途などによって使い分けられる。

照明編集

建物内の照明用途に、昔から用いられている。近年は屋根にドームを設置しチューブで屋内に光を入れる設備[8]や光ファイバーなどを利用した導光設備を用いる例もある。

農業、園芸編集

植物に光合成を行わせて生育させ、利用する農業園芸が古くから行われてきた。

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太陽熱温水器の集熱パネル

熱としての利用には、下記のように多彩な利用形態がある[7]

太陽熱利用は、最も古くから用いられてきた太陽エネルギーの利用形態である。一般にエネルギーをに変換するのは容易であるため、太陽熱太陽光のエネルギーを高効率に利用できる長所を持つ。また、蓄熱することでエネルギーを貯蔵しておき、必要な分だけを取り出して利用しやすいのも長所である。利用形態は下記のように多彩である[6]

  • アクティブ利用

寒冷地北海道での設置例 実際の取得データーなど豊富に紹介しています。  [10]

  • パッシブ利用

発電編集

太陽光発電太陽熱発電に分けられる。それぞれ、設置地域の気候や需要に応じて使い分けられる。

太陽光発電編集

太陽光発電は、太陽電池を用いて発電する方式である。設置後は定期点検といった作業がほぼ不要であり、使う形態や規模を選ばないなどの長所を持つ。その一方、太陽光がなければ発電しないため、夜間の電力を賄う場合は蓄電装置を必要とする。開発初期は非常に高価であり、主に人工衛星や灯台などで用いられていたが、技術の向上そして普及するに従って価格が低減し、民生の電力用途にも普及が進められている。

将来の可能性としては、衛星軌道上からマイクロ波レーザー光の形で地上にエネルギーを送って発電する、宇宙太陽光発電も研究されている。ほぼ24時間の発電が可能となるが、技術的課題も多く、まだ実用化には至っていない。

住宅用ソーラーパネル導入時のトラブル編集

住宅用ソーラーパネル設置には下記の困難がつきまとうので注意が必要である。

詐欺・騙されるリスクがある編集

国民生活センターに寄せられた太陽光の苦情で一番多いのが訪問販売だった。これを裏付ける数字として、国民生活センターのHPで数字が公開されている。

ソーラーシステムに関する相談が2014年で3,333件もあった。そのうち、1,851件が訪問販売による相談であり、彼らは「元が確実に取れる」などの謳い文句で巧みに話を展開するが、いかに訪問販売が危険なのかが分かる。具体的には「太陽光発電の契約をしたが、契約時の説明と実際の売電価格が異なっている」などである。

FIT制度が始まった2009年頃から、比較的築年数の浅い一戸建てを中心に悪質な訪問販売業者が巡回するようになり、一種の投資勧誘のような手法で営業されているため太陽光発電のイメージが悪化した。

訪問販売業者での契約は、クーリングオフ制度を活用すると契約した日を含めて8日間は契約解除が可能だが、悪質業者の場合は返金対応も苦慮することになる可能性が高い。さらに悪質なケースは「詐欺」である。そもそも太陽光発電業者でもなく、契約と称しその日に現金をだまし取るケースもある。

当然だが設置後業者が倒産するとアフターフォローもなくなるので後は自己責任となる。実際、2020年1月に帝国データバンクが発表した内容によると、2006年から2019年までの間に457社の太陽光発電関連業者が倒産している。

設置費用が高い編集

太陽光発電を導入するためにはほとんどの場合、一般的な太陽電池モジュールは長さ1.7m×幅1mで、家庭での電力消費量に見合った十分な発電量を得るためには20枚以上のモジュールの購入が必要となり、100万円以上の設置費用がかかる。

2021年経済産業省資源エネルギー庁(調達価格等算定委員会|経済産業省 )の資料によると、現在の住宅用太陽光発電の相場価格は137.5万円、平均設置容量は5.00kWとなっている。太陽光発電の導入費用は年々安くなっているが、それでも車を1台買えるほどの金額である。

2014年のグリーン税制がある頃は銀行にも太陽光用の融資があったり。信販会社もこぞって参入したが、2014年末に国会等で太陽光の買い取り価格が高すぎて融資もなくなった。

売電価格が年々下がっている編集

太陽光発電は固定価格買取制度(FIT)により、10年間一定の売電価格で電力会社が発電した余剰電力を買い取ってくれる(10kW未満)。

太陽光発電設置者にとっての経済面で見たときの主なメリットはこの売電と自家消費による電気代の節約であるため、売電価格は重要な要素の一つだが、住宅の売電価格は10年前と比較すると約半値になっている。しかもこの先もさらに下がり続けるので将来性が見えない状況である。

メンテナンスが必要になる編集

太陽光発電はメンテナンスフリーだと考える人も多いが、清掃・パワーコンディショナーの交換などメンテナンスが不可欠である。 パネルの初期不良による故障は期間内であればメーカーの保証が受けられ、土砂崩れや台風による水害などで破損したケースでは動産保険など、保険などに加入している場合は保険を利用して交換が出来る場合もあるが、加入していない場合は実費での交換が必要となる。

太陽光発電システムで故障が多いのはこのパワーコンディショナーで耐用年数は10年ほどといわれており、交換には住宅用太陽光発電で1回あたり20万円程度の費用がかかる。

発電量が環境に左右される編集

太陽光発電の発電効率は20%程度であり、当初のシミュレーションより発電量が少なかったことはよくある。発電効率が80%程度の水力発電、20~40%程度の風力発電に比べて低水準である。また、太陽光発電の発電状況は日射量に左右され、日が昇っていない時間帯は発電できないため、夜間の電力需要に対応できない。それに天候が良くても周囲にいったん大きな建造物が建つと以降の発電は絶望的となる。

設置が向いていない家もある編集

毎日の発電量を増やすには、太陽に向いた屋根にソーラーパネルを設置する必要がある。つまり、北半球では南向きの屋根、南半球では北向きの屋根の住宅のソーラーパネルの設置に適しているということになる。樹木や煙突などの遮光障害物を考慮すると、ソーラーをパネル設置に理想的な屋根スペースは50%以下になる。そのため、必要なパネルをすべて設置するには、一般的に大きな屋根が必要になる。しかし屋根の形が複雑な場合、太陽光パネルのサイズがうまくはまらず、総容量が思ったよりも小さくなってしまう場合が多い。また、積雪地域では、屋根および太陽光パネルに落雪対策も必要となる。

隣人トラブルのリスクがある編集

2014年にニュースでも取り上げられたのが太陽光発電の反射光トラブルである。太陽光パネルを大量に設置する産業用太陽光発電は、太陽光パネルによる近隣住宅への反射光が、しばしば問題になっており住宅用太陽光発電の反射光トラブルでは、裁判にまで発展したケースもある。

太陽光発電は、基本的には南面・東面・西面に設置する。北面設置の太陽光パネルの反射光は地上に向かいやすいため、隣人の家の中まで光が差す可能性が高まる。被害を受ける北側の家では、室内の温度が40℃近くなった、眩しくて生活できない、などかなり深刻な問題に直結する。

もう1つのトラブルは「音」である。太陽光パネル自体は音を発しないが、発電した電気を家で使える電気に変換する機械であるパワーコンディショナーは稼働中に高音を発する。屋外用のパワコンで都市部など隣家が近いところで、隣家の間取りなどを考えずに設置すると音でのトラブルに繋がる。

雨漏りなど施工不良、火災のリスクがある編集

太陽光発電は屋根に設置することもあり、ちゃんとした工事をしないと雨漏りに繋がる。しかし訪問販売業者は、施工コストを削るために足場が必要な現場でも設置しない、下請け業者を使って安く済ませる、メーカーの認定を受けていない等、工事の質が悪い。

雨漏りについては、建築した業者に許可等がなく設置をすると、建築した会社の保証なども効かなくなり、さらに訪問販売業者の対応もずさんであると、住宅にとって、雨漏りは構造躯体の腐食、シロアリの原因など致命傷に直結する。そういった防水処理の知識がない、または経験の浅い業者での施工により雨漏りに繋がっているケースも多々ある。

2019年1月28日消費者庁消費者安全調査委員会がまとめた報告書によれば、2017年11月までの約10年間で住宅用太陽光発電システムから火災、発火、発煙、過熱が生じた件数は127件。うち、少なくとも7件は屋根側にも延焼した(ただし、住宅用太陽光発電システムは、2018年10月時点で全国約240万棟に普及しており分母になる数は非常に大きい)。火災となったケースは、いずれもシステムと屋根が一体型となったもので、報告書では注意を呼びかけている[11]

太陽熱発電編集

 
商用稼働するタワー式太陽熱発電所 (en:PS10 solar power tower、スペイン)

太陽熱発電は、集熱器を用いて太陽光を熱に変換し、熱せられた空気や蒸気を用いてタービンを回して発電する方式である。大規模になるほど、また直射日光が多い地域ほど効率よく発電できるため、日射量が多く、広い設置面積が取れる乾燥地域などで用いられる。 鏡を用いて集光し、蒸気を発生させてタービンを回す、トラフ式やタワー式の太陽熱発電が実用化されている。 また空気を大量に加熱して煙突状の構造内へと誘導し、上昇流でタービンを回して発電するソーラーアップドラフトタワーも開発が進められている。

複合的利用編集

太陽光励起レーザーにより、熱や化学エネルギーを得る手法が研究されている[12]。レーザーによる高熱でマグネシウムを還元して汎用エネルギー源として用いるほか、余剰熱で温水を製造するなどの利用が考えられている。


脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ : Solar energy
  2. ^ : Solar power
  3. ^ a b 山田興一小宮山宏「太陽光発電工学」ISBN 4-8222-8148-5
  4. ^ Key World Energy Stats, IEA
  5. ^ 太陽光発電って何だろう(NEDO)
  6. ^ a b 金山公夫・馬場弘、ソーラーエネルギー利用技術、森北出版、2004年、ISBN 4-627-94661-9
  7. ^ a b 日本太陽エネルギー学会編、太陽エネルギー利用技術、オーム社、2006年、ISBN 4-274-20278-X
  8. ^ “県産「買うエコ大賞」ノミネート6件発表”. 京都新聞. (2018年10月31日). https://www.skylighttube.co.jp/info/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%81%AB%E6%8E%B2%E8%BC%89%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%EF%BC%81%E3%80%8C%E8%B2%B7%E3%81%86%E3%82%A8%E3%82%B3%E5%A4%A7%E8%B3%9E%E3%80%8D/ 
  9. ^ ソーラーウォールって何?(ロゴスシステムズ)
  10. ^ [1] (ウッデイハウス)
  11. ^ 太陽光発電で発火、10年で127件 住宅に延焼も7件”. 朝日新聞 (2019年1月28日). 2019年1月28日閲覧。
  12. ^ 矢部孝、太陽光レーザー,水,マグネシウムによる革新的エネルギーサイクル

参考文献編集

関連項目編集