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妖都』(ようと)は、津原泰水の小説。現名義での再デビュー作である。講談社より、1997年に単行本(書き下ろし)、2001年に文庫版が刊行された。装丁は金子國義による。

妖都
作者 津原泰水
ジャンル 怪奇幻想
発表形態 書き下ろし
刊行 講談社、1997年
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「怪奇幻想譚」と銘打たれている。 ホラーブームの最中の刊行であり、オビ文にも「ホラー」の表記があるが、著者はホラーとして物した作品ではないと語っている[1]

講談社版は絶版となっているが、2019年11月、早川書房ハヤカワ文庫JAからの復刊が決定している[2]

あらすじ編集

〈CRISIS〉のヴォーカリストであるチェシャが自殺してから、東京には死者が徘徊し始めた。平凡な大学生だった鞠谷雛子も、幽霊の目撃を契機として、不可思議な変容を始める。

登場人物編集

鞠谷雛子(まりやひなこ)
橙林学院大の学生。英文科1年。
甘粕緑朗(あまかすろくろう)
橙林学院大の学生。軽音楽同好会〈ローレライ〉所属。
蓮見公甫(はすみこうすけ)
橙林学院大の学生。軽音楽同好会〈ローレライ〉所属。
岸轍(きしとおる)
橙林学院大の学生。軽音楽同好会〈ローレライ〉所属。
草薙巽(くさなぎたつみ)
ヴィジュアル系バンド〈CRISIS〉のヴォーカル。芸名チェシャ。
周防馨(すおうかおり)
高校1年生。
日暮留美(ひぐらしるみ)
中学生。
尾瀬郁央(おぜいくお)
幽霊。鞠谷雛子の中学時代の同級生。

刊行の経緯編集

当時、著者は「津原やすみ」名義での執筆の場を主に講談社に置いており、本作は「Magazine Novels」からの依頼に応じて着手された[3][4]。しかし内容の過激さから予定していた部署からの出版を拒否される。発表の目処のつかないまま完成した本作は、綾辻行人より講談社の宇山日出臣へ推薦され、別部署からの出版が決定した。綾辻とは当時ニフティサーブでの津原の発言をきっかけとした交友があり、本作の執筆中、バイクの描写について協力を得ていたために、完成原稿を送付したと津原は語っている。この原稿には続けて小野不由美も目を通しており、刊行された単行本の帯には両名共推薦文を寄せている。[5]

単行本、文庫版共に、装丁は金子國義による。 装丁の希望を問われた津原が金子の名を挙げると、宇山は著者自ら依頼に出向くよう指示した。津原自身が担当編集者を伴って金子の自宅を訪問したことは、後年に続く金子との親密な交流の契機となったエピソードであり、たびたび語られている[6]

「死者が東京を徘徊する」というモチーフは、もともと脚本家小中千昭の案である。小中の原案をそれぞれに書くという企画であったが、小中版は多忙のため頓挫。完成した津原版は結局は原案と懸け離れたものとなったため、その経緯を付記することは為されなかった。[7]

書籍情報編集

  • 『妖都』講談社/単行本/1997年10月
  • 『妖都』講談社/文庫/2001年6月

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 多目的掲示板2013年 3月10日投稿”. 2019年9月3日閲覧。
  2. ^ 本が好き!ラボ近刊情報サーチ”. 2019年9月16日閲覧。
  3. ^ 津原泰水『歌うエスカルゴ』ハルキ文庫、2017年
  4. ^ 多目的掲示板2010年11月 1日投稿”. 2019年9月3日閲覧。
  5. ^ 「特別鼎談」『メフィスト』12月号、講談社、1997年
  6. ^ 『文藝別冊 金子國義』河出書房、2015年
  7. ^ 東雅夫・編『ホラー・ジャパネスク読本』双葉社、2006年