小鮮肉(シャオシェンロウ)は、中国インターネットスラングで、「若いイケメン」といった意味[1]。通常は十代から二十代の男性で、美形の若者を意味する[2]。通常は、実力がないものの顔立ちがよいことだけで、ファンが持てはやしている[3]

吉光正絵は、「百度百科」の記述を踏まえて、「性格が純良でおとなしく若く見た目が良い男性を指す」と説明している[4]

小鮮肉の特徴 編集

小鮮肉は、「小」、「鮮」、「肉」の3要素を備えている者とされる[5]

「小」は、若いことを意味するが、具体的な年齢については、25歳以下[6]、12歳から28歳まで[2]、12歳から30歳まで[5]、など様々に説明される。

「鮮」は、恋愛の噂などのスキャンダルがなく、擦れていないことを意味する[6]

「肉」は、顔立ちのみならず、長い脚など身体的に優れていることを意味し、細身に見えるが、身体は鍛えられており、裸体では筋肉質である[6](いわゆる「細マッチョ」)。見た目は中性的でも逞しい青年ということになる[5]

言葉の起源 編集

「小鮮肉」という用語は、2014年から使われ始めたが[1]、元々はファンたちが自身の好きな男性アイドルへの愛称として用いていたもので、女性が対象の場合の「小花(シャオファ)」に相当するものであった。「小鮮肉」は、通常、純粋な良い性格と単純な感情をもった顔立ちの良い若い好青年である[7]

言葉をめぐる議論 編集

この言葉は、肯定的な意味の場合と、侮蔑的な意味の場合で含意が異なる。中華網科技中国語版の「中華網(中华网、china.com)」は、「老骨の演劇人たちは小鲜肉をどう見ているのか? 呉京による評価は要点をついている!(老戏骨们都怎么看待小鲜肉? 吴京的评价最中肯!)」で、娯楽の世界の中だけでねじ曲がって育ち、仕事に真剣に取り組まないのに、尊大に振る舞い、法外な出演料を取る、男子としての気概に欠けた連中の代名詞だとした[8]

2010年代後半における小鮮肉の人気は、一人っ子政策の影響で、弟や息子がいない環境に育った相対的に年齢の高い女性たちが、理想の「弟」や「息子」を彼らに投影しているのではないかという見解もある[9]

代表的人物 編集

グループ 編集

ゲイ・カルチャー 編集

「小鮮肉」がインターネットスラングとして広まって以降、ゲイ・カルチャーの文脈においても、中国語圏の「マッチョなイケメン」男性を意味してこの言葉が用いられるようになっている[11]

この意味での用法は、英語のゲイ・スラングとしての「トゥインク (twink)」に相当するものとされる[7]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h 若手イケメンタレント「小鮮肉」が大ブーム、フォーブス誌ランキングでも大躍進―中国”. Record China (2015年5月14日). 2020年9月10日閲覧。
  2. ^ a b “名词解释:小鲜肉”. 网易新闻. (2014年9月19日). オリジナルの2017年9月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170908124613/http://news.163.com/14/0919/07/A6G6HN2800014AED.html 2019年3月10日閲覧。 
  3. ^ “撒贝宁重新解读小鲜肉 林墨喊话:是非成败未来见”. 网易新闻. (2018年2月20日). http://ent.163.com/18/0202/12/D9L24MP800037VVV.html 2019年3月10日閲覧。 
  4. ^ a b 吉光, 2016, p.145.
  5. ^ a b c 中国版ジャニーズ系男子が登場!? 「小鮮肉」が中国人女性のイケメン像を変える”. cyzo inc. (2015年10月27日). 2020年9月10日閲覧。
  6. ^ a b c 上海でも流行のネット中国語「小鮮肉」「暖男」”. コラボラーニングセンター (2015年6月14日). 2020年9月20日閲覧。
  7. ^ a b c “天价小鲜肉 真值其价?”. 联合早报. (2018年7月8日). https://www.zaobao.com/zentertainment/celebs/story20180718-876042 2019年3月10日閲覧。 
  8. ^ “老戏骨们都怎么看待小鲜肉?吴京的评价最中肯!”. 中华网. (2017年8月17日). https://news.china.com/yule/11184455/20170817/31115437.html 2019年3月10日閲覧。 
  9. ^ Twink小鮮肉來襲,這是你們喜歡的甜心男孩嗎?”. 每日頭條 (2018年7月12日). 2020年9月10日閲覧。
  10. ^ 吉光, 2016, p.146.
  11. ^ 台湾 小鮮肉(ショウシェンロウ)と海遊び&淡水観光ツアーを開催しました。”. PINK. 2020年9月10日閲覧。

参考文献 編集

  • 吉光正絵「中国のポピュラー音楽と女性ファン─オンライン・ファンクラブの管理者の調査結果から─」『研究紀要』第1号、長崎県立大学、2016年12月28日、145-156頁。  NAID 120006241977