改⑤計画(かいまるごけいかく)は、大日本帝国海軍の軍備計画。昭和16年度に計画された⑤計画太平洋戦争の開戦と戦局の変化に対応し改定したもの。昭和17年9月に⑤計画を改定する計画を改⑤計画と略称することとなった。

概要 編集

ミッドウェー海戦において航空母艦4隻を失ったため、航空母艦の緊急増勢計画が研究され、その実行は⑤計画等既定の軍備計画修正の中に含められることとなった。

これを受けて、⑤計画は、『戦艦、超甲巡の建造は全て取りやめ、航空母艦の建造を優先する。軽巡洋艦の建造隻数を減少し、駆逐艦、潜水艦、掃海艇、海防艦、駆潜艇の建造を大幅に増加する。』という内容の改⑤計画に改められた。これは、合計361隻、総トン数115万tの建造という空前の大計画であったが、既定の軍戦備計画の④計画や、マル臨計画マル急計画マル追計画、などの工事未着手艦艇が、昭和17年6月末において410隻も残っていたうえ、戦争の進展に伴う損傷艦船の修理量のこともあり、当初から昭和23年完了の見通しであった。しかし実際には、損傷艦復旧工事量が増加する一方、所要資材の入手難に加え、戦況に応ずる小型艦艇の新規建造計画、マル戦計画が割り込む形になり、改⑤計画で計画された艦艇は、結局終戦までに完成22隻、半成12隻、未着手又は建造取り止め328隻という結果に終わった。

計画内容 編集

艦種 改⑤ 計画差異 実際 備考
超大和型戦艦 3 0 -3
G14型航空母艦 1 0 -1
改大鳳型航空母艦 0 5 +5 0 全艦建造取止
飛龍型航空母艦 2 4 +2 4 天城葛城笠置(未成)、阿蘇(未成)
改飛龍型航空母艦 0 9 +9 1 生駒は未成。 他は戦況悪化により建造取止。
超甲型巡洋艦 2 0 -2
改阿賀野型軽巡洋艦 5 2 -3 0 全艦建造取止
815号型軽巡洋艦 4 0 -4
飛行艇母艦 7 3 -4 0 秋津洲型、全艦建造取止
水上機母艦 2 0 -2
潜水母艦 1 3 +2 0 全艦建造取止
駆逐艦(甲) 16 8 -8 0 改夕雲型、全艦建造取止
駆逐艦(乙) 16 23 +7 0 秋月型、全艦建造取止
潜水艦 45 139 +94 8 4隻は未成
海防艦 4 34 +30 16 鵜来型、4隻は未成
掃海艇 10 36 +26 0 建造取止
駆潜艇 18 30 +12 3
急設網艦 1 1 0 0 改若鷹型、建造取止
特務艦 8 34 +26 2 (給油艦、給糧艦、標的艦、工作艦、測量艦、砕氷艦)
敷設艇 8 12 +4 0 建造取止
魚雷艇 0 18 +18 0 建造取止
敷設艦 2 0 -2
砲艦 3 0 -3

[1]※昭和17年10月に潜水艦(丁型)を11隻、昭和18年2月に松型駆逐艦を42隻追加。

脚注 編集

  1. ^ 戦史叢書 海軍軍戦備<2> 開戦以後』p.43

関連項目 編集

  • 戦備計画
マル臨 - マル急 - マル追 - マル戦

参考文献 編集

  • 戦史叢書 - 海軍軍戦備(1)
  • 戦史叢書 - 海軍軍戦備(2)