正準変数(せいじゅんへんすう)とは、解析力学において、物体の物理量を表す基本変数として用いられる位置運動量の組をいう。しばしば位置を表す座標は文字 、運動量は で表される。

ニュートン力学ラグランジュ力学においては、基本変数が位置とその時間微分である速度であったが、ハミルトン力学においては、一般化座標一般化運動量が用いられる。

ラグランジアンL は引数に位置と速度を取る。ここで ルジャンドル変換

を施すことで位置と運動量を引数とする関数ハミルトニアンが得られ、正準方程式

が得られる。


具体例 編集

荷電粒子の運動 編集

電荷量eをとする質量mの荷電粒子の電磁場中における運動を考える。3次元空間での粒子の位置座標x =(x, y, z )を一般化座標にとる。スカラーポテンシャルφ(x,t)ベクトルポテンシャルA(x,t)とすると、荷電粒子のラグランジアンは、

 

で与えられる。ここでx =(x, y, z )に正準共役な運動量p =(px, py, pz )

 
 
 

である。これをベクトルで表記すると

 

となる。ハミルトニアンは

 

である。

中心力ポテンシャルの下での運動 編集

距離r=x2+y2+z2のみに依存する中心力ポテンシャルV=V(r)の下での質量mの粒子の運動を考える。3次元空間での粒子の位置の極座標表示を(x,y,z)=(rsinθ cosφ, rsinθ sinφ, rsinφ)とし、極座標(r,θ,φ)を一般化座標にとる。このとき、粒子のラグランジアンは

 

で与えられる。(r,θ,φ)に正準共役な運動量(pr,pθ,pφ)

 
 
 

である。ハミルトニアンは

 

である。

関連項目 編集