歪度
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確率論および統計学において、歪度(わいど、skewness)は、分布の非対称性を示す指標である。日本産業規格では、ゆがみ、ひずみ(歪み)を確率密度関数または確率関数 f (x) のグラフが左右対称でないこと、ゆがみの程度を平均値まわりの 3 次モーメント µ3 と標準偏差 σ の 3 乗との比 µ3/σ3 と定義している[1]。
分布の尖り(とがり)具合を示す指標である尖度[注釈 1]とともに用いる。歪みをもち、尖度が大きい金融データなどではこれらの指標を頻繁に用いる。
標準化
編集確率分布の分布特性を示すためには、通常は期待値および分散が用いられる。さらに、分布型の差を示す指標の一つに 3 次モーメント(3 乗の期待値)と 4 次モーメント(4 乗の期待値)とがある。これらのモーメントは、平均値と分散の影響を除くように標準化される。[平均値は、位置尺度には依存しないが、スケール尺度(たとえば分散)に依存する。]
確率変数 X の期待値が μ、分散が σ2 のとき、標準化確率変数 は期待値 0、分散 1 となり、平均と分散の影響は除去される。
Z の 3 次モーメント ) は歪度 と呼ばれる。とくに標準正規確率変数の分布に歪みはなく、0 を中心として左右対称であるから歪度は 0 である。歪度の符号によって、正の歪みをもつ分布、負の歪みをもつ分布といわれる。
Z の 4 次モーメント は尖度 β2 と呼ばれる。分散が σ2 である正規分布ならば、平均値まわりの 4 次モーメント は であり、標準正規確率変数では である。正負を基準にして、 の分布は急尖的分布と呼ばれ、正規分布よりも両裾が厚い分布になる。一方、 の分布は緩尖的分布と呼ばれ、正規分布よりも両裾が薄い分布になる。
たとえば対数正規分布に従う確率変数の歪度は正であり、尖度は常に 3 より大きい。
推定
編集一般に、平均まわりの k 次モーメント は、k 次の標本モーメントによって推定することができる。したがって、歪度と尖度は、原系列を標準化すれば 3 次の標本モーメント および 4 次の標本モーメント で推定できる。母分布が正規分布であるか否かを調べるためには、歪度と尖度が標準化された正規確率変数の値 0 と 3 に似るか否かを調べればよい(ジャック–ベラ検定)。ボウマン=シェントン[2]は、正規性検定の指標[注釈 2]
注釈
編集出典
編集- ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.19 ゆがみ,ひずみ skewness.
- ^ Bowman, Kimiko O. and Shenton, LR. Biometrika, 1975.
参考文献
編集- 西岡康夫『数学チュートリアル やさしく語る 確率統計』オーム社、2013年。ISBN 9784274214073。
- 日本数学会『数学辞典』岩波書店、2007年。ISBN 9784000803090。
- 『JIS Z 8101-1:1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語』日本規格協会、1999年 。
- 伏見康治『確率論及統計論』河出書房、1942年。ISBN 9784874720127 。
関連項目
編集外部リンク
編集- Free Statistics Software (Calculator) - データ列から、尖度と歪度に関する各種統計値を算出する。