海岸保全区域
海岸保全区域とは、津波、高潮、波浪等による被害から海岸を防護し、国土を保全するために、海岸法の規定に基づき、海岸管理者(都道府県知事)が指定した区域をいう[1]。海岸保全区域においては、海岸を保護する目的で、一定の行為をする場合には、事前に海岸管理者の許可が必要である。
海岸保全区域の指定
編集海岸法において、都道府県知事は、海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するため、一定の区域を海岸保全区域として指定することができるとされている。この指定は、必要最小限度の区域に限ってするものとし、原則として、陸地においては満潮時[注釈 1]の水際線から、水面においては干潮時[注釈 2]の水際線からそれぞれ50メートルを超えてしてはならないとされている[1]。
海岸保全区域の管理
編集海岸保全区域の管理主体は海岸管理者であり、管理の内容としては、土地等の立入[2]、海岸保全区域台帳の調整及び保管[3]、管理に要する費用の負担[4]がある。
海岸保全区域内における制限及び許可
編集海岸保全区域の占用
編集海岸管理者以外の者が海岸保全区域(公共海岸の土地に限る。)内において、海岸保全施設以外の施設又は工作物を設けて当該海岸保全区域を占用しようとするときは、海岸管理者の許可を受けなければならないとされている[5]。
海岸保全区域における行為の制限
編集海岸保全区域内において、次の行為をしようとする者は、海岸管理者の許可を受けなければならないとされている[注釈 3][6]。
- 第1号:土石(砂を含む。)を採取すること。
- 第2号:水面又は公共海岸の土地以外の土地において、他の施設等を新設し、又は改築すること。
- 第3号:土地の掘削、盛土、切土その他政令で定める行為をすること。
海岸保全区域内の指定区域における施設の損傷等や自動車、船舶の乗入れ等の禁止
編集他法令による規制との関係
編集多くの海岸保全区域は、港湾法に基づく港湾隣接地域と重複している。この場合は、その重複範囲においては港湾隣接地域の荷重についての規制が優先されるため、各港湾管理者が定める荷重を超えるものが規制の対象となる。
脚注
編集注釈
編集- ^ 指定の日の属する年の春分の日における満潮時をいう。
- ^ 指定の日の属する年の春分の日における干潮時をいう。
- ^ ただし、地表から深さ1.5メートル以内の土地の掘削又は切土(海岸保全施設から5メートル以内の地域及び水面における土地の掘削又は切土は除かれている。また、載荷重が1平方メートルにつき10トン以内の盛土並びに施設又は工作物の新設又は改築は除かれている。
- ^ 第2号から第4号までにあつては、公共海岸に該当し、かつ、海岸の利用、地形その他の状況により、海岸の保全上特に必要があると認めて海岸管理者が指定した区域に限る。
- ^ 油、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条第3号の政令で定める海洋環境の保全の見地から有害である物質、粗大ごみ、建設廃材その他の廃物
- ^ 土石(砂を含む。)を捨てること、並びに、土地の表層の剥離、たき火その他の行為であつて、動物若しくは動物の卵又は植物の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼすおそれがあるため禁止する必要があると認めて海岸管理者が指定するものを行うこと。