灰色の巨人

江戸川乱歩による日本の小説

灰色の巨人』(はいいろのきょじん)は月刊娯楽雑誌『少年クラブ』(講談社)に、1955年1月から12月にかけて連載された、江戸川乱歩作の少年向け推理小説シリーズの第12話目[1]である。

灰色の巨人
著者 江戸川乱歩
発行日 1955年
発行元 講談社
ジャンル 推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
前作 海底の魔術師
次作 黄金豹
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

物語 編集

  • 東京のデパートの宝石展で、真珠を並べ三重の塔にした「真珠の宝塔」が出品された。真珠職人に化けた怪人が、奸計で展示品を詐し盗り、ビニールのアドバルーンで大空へと逃げてゆく。 
  • そして今度は、「灰色の巨人」と名乗る怪人が、宝石で飾られ七色に輝く「にじの宝冠」を盗み出す。 

二十面相の狙ったもの 編集

  • 志摩の真珠王がデパート展示会に出品した三重[2]の「真珠塔」[3](「志摩の女王(真珠の宝塔)」)[4]
  • ダイヤ、ルビー、サファイアなどを鏤めた、ヨーロッパ王室の女王様がかぶる「にじの宝冠」(「長靴の女王様」[5]

登場人物 編集

  • 真珠王 - 志摩の養殖家にして真珠商で、「真珠王」の異名をとる。東京のデパートの要請に応じ、真珠を並べた三重の塔を展示する。
  • 松村職長 - 真珠王の部下で、真珠加工工場の責任者。デパートの展示場に「真珠王の代理」として現れる。
  • 小林芳雄 - 明智の助手で「小林少年」や「小林君」と呼ばれる。
  • 怪人二十面相 - 神出鬼没の怪盗で、変装が得意なため「二十面相」と呼ばれ、自らも称している。
  • 明智小五郎 - 名探偵。二十面相の好敵手。

新兵器 編集

その他 編集

  • 「灰色の巨人」のほか「一寸法師」と呼ばれる怪人も登場。「黄金仮面」が狙った財宝がまた狙われるなど、過去の一般(大人向け)乱歩作品のタイトルが、文中さりげなく語られる。

書誌情報 編集

  • 講談社:江戸川乱歩推理文庫 第36巻『灰色の巨人/魔法博士』 1988年
  • 講談社:江戸川乱歩(愛蔵版)『灰色の巨人』 1988年
  • 光文社:江戸川乱歩全集12 『灰色の巨人』 1957年[6] 
  • ポプラ社:少年探偵19『灰色の巨人』 1970年
  • ポプラ社:文庫 第11巻『灰色の巨人』 1995年
  • ポプラ社:新装版 少年探偵11『灰色の巨人』 1998年
  • ポプラ社:文庫(新装版) 第12巻『灰色の巨人』[7] 2005年
  • ポプラ社:ポプラ文庫クラシック 『灰色の巨人』(江戸川乱歩・少年探偵シリーズ 文庫12) 2009年

脚注 編集

  1. ^ 光文社『少年』誌の『海底の魔術師』と同時連載だが、時系列は本作のほうが後の事件である。
  2. ^ 偶然だが、読みは「みえ」ではなく「さんじゅう」。三重県志摩は、真珠の産地で名高い。
  3. ^ この「真珠塔」は『黄金仮面』事件で怪盗に盗まれたが、明智探偵が取り戻したと、作中で説明されている。本作は『黄金仮面』より時系列があとのエピソードである。
  4. ^ 本作を連載した講談社以外の、ポプラ社および光文社の出版物では、2つの話に分かれているが、独立した連作や別章の扱いは無く、まとめて1つの長編『灰色の巨人』という構成になっている場合が多い。各エピソードのタイトルは講談社「江戸川乱歩少年倶楽部全集(愛蔵版)」のもの。
  5. ^ 長靴」の読みは「ちょうか」ではなく「ながぐつ」。講談社(愛蔵版)とポプラ社のカバー(表紙)絵では、「光り輝く宝冠をかぶり、光沢のある長靴の女王様」が描かれている。
  6. ^ 1988年に連載元の講談社から復刻版および愛蔵版が出るまで、光文社の本書籍が最古の出版(光文社版も数十年の年月を経て絶版になり、近年新装版で復刻)。
  7. ^ 講談社および光文社で、『海底の魔術師』と同時連載だった為、出版時に11巻だったり12巻とされる場合がある。

関連項目 編集

外部リンク 編集