炭素14(たんそ14、Carbon-14、14C)は、炭素放射性同位体

炭素14
炭素14
概要
名称、記号 放射性炭素,14C
中性子 8
陽子 6
核種情報
天然存在比 1 part per trillion
半減期 5,730 ± 40 years
同位体質量 14.003241 u
スピン角運動量 0+
Beta 0.156476[1] MeV

解説 編集

炭素の内の 0.00000000012 (1.2×10^-10)% を占め、原子核は6個の陽子と8個の中性子からなる(なお、炭素の大部分〈98.9 %〉を占める炭素12は6個の陽子と6個の中性子、1.1 % を占める炭素13は6個の陽子と7個の中性子からなる。)。1940年2月27日マーティン・ケイメン英語版サミュエル・ルーベン英語版によって発見された。

半減期は5,730年でベータ崩壊をして窒素14 (14N) になる。

 

生成 編集

炭素14は対流圏上部から成層圏で、窒素原子 (N) に熱中性子 (n) が吸収されることによって生成される。宇宙線が大気に入射するとさまざまな反応が起こり、その中には中性子を生成するものもある。生成した中性子と窒素原子から以下の反応によって炭素14が生成する。

 

最も炭素14の生成量が多いのは高緯度地域の高度3万から5万フィート(約9000から約1万5000メートル)である。

応用 編集

有機物中に存在する炭素14は放射性炭素年代測定に使われる。存在量の年変動を詳細に捉えることで過去の太陽活動周期を明らかにし、太陽活動に変化と伴う気候変動の関連性を解明する研究が行われている[2]

また、部分的核実験禁止条約が1963年に締結されるまでの冷戦期中に実施された核実験によって大量に放出された炭素14に着目した、ノーベル医学研究所のスウェーデン人神経科学者ヨナス・フリーセンスウェーデン語版が、ローレンス・リバモア国立研究所との共同研究で人体組織の年齢を測定することに成功し、この手法は法医学にも応用されている[3]

脚注 編集

  1. ^ A.H Waptstra, G. Audi, and C. Thibault (2003年11月18日). “AME atomic mass evaluation 2003”. 2004年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月3日閲覧。
  2. ^ "宇宙線起源核種および安定同位体分析による太陽活動・宇宙線・気候変動についての研究" (PDF). 東京大学宇宙線研究所. 2010年12月17日. 2022年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ (PDF)。2023年3月12日閲覧
  3. ^ 冷戦が残した年代決定法〜日経サイエンス2006年3月号より”. 日経サイエンス. 2019年9月26日閲覧。

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集