無水フタル酸
芳香族カルボン酸無水物
無水フタル酸(むすいフタルさん、phthalic anhydride)は、芳香族カルボン酸無水物。フタル酸を硫酸を用いて分子内脱水することで得られる。元々安定な化合物を分子内で脱水することで得られる物質なので、他のカルボン酸無水物と同じように水と反応してもとのフタル酸に変化する。
無水フタル酸 | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 85-44-9 |
PubChem | 6811 |
ChemSpider | 6552 |
UNII | UVL263I5BJ |
EC番号 | 201-607-5 |
国連/北米番号 | 2214 |
ChEBI | |
ChEMBL | CHEMBL1371297 |
RTECS番号 | TI3150000 |
バイルシュタイン | 118515 |
Gmelin参照 | 27200 |
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特性 | |
化学式 | C8H4O3 |
モル質量 | 148.1 g/mol |
外観 | 白色のフレーク状 |
匂い | 特徴的な刺激臭[2] |
密度 | 1.53 g/cm3, solid; 1.20 g/mL, molten[2] |
融点 |
131.6 °C, 405 K, 269 °F |
沸点 |
295 °C, 568 K, 563 °F (昇華) |
水への溶解度 | 0.62 g/100g (20—25 °C); 19.0 g/100g (100 °C); 緩やかに反応 |
蒸気圧 | 0.0015 mmHg (20 °C)[2] |
磁化率 | −67.31×10−6 cm3/mol |
危険性 | |
GHSピクトグラム | |
GHSシグナルワード | 危険(DANGER) |
Hフレーズ | H302, H315, H317, H318, H334, H335 |
Pフレーズ | P261, P264, P270, P271, P272, P280, P285, P301+312, P302+352, P304+340, P304+341, P305+351+338, P310, P312 |
NFPA 704 | |
引火点 | 152 °C (306 °F; 425 K) |
爆発限界 | 1.7%–10.5% |
許容曝露限界 | TWA 12 mg/m3 (2 ppm)[2] |
半数致死量 LD50 | 4020 mg/kg (oral, rat) 1520 mg/kg (oral, mouse) 800 mg/kg (oral, cat) 800–1600 mg/kg (oral, rat) 2210 mg/kg (oral, mouse)[3] |
関連する物質 | |
関連物質 | フタル酸 フタルイミド フタリド |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
無水フタル酸の2016年度日本国内生産量は158,500t、消費量は11,349tである[4]。
無水フタル酸とフェノールを分子間脱水により結合することでフェノールフタレインが得られる。これは酸塩基指示薬として広く用いられる。また、無水フタル酸と一級アミンを加熱することによりフタルイミドが得られる。これはアミノ基の保護基として用いられ、水酸化ナトリウム水溶液と加熱、あるいはヒドラジンと処理することによって元のアミンを再生する。
出典
編集- ^ a b c “Front Matter”. Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 835. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4
- ^ a b c d NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0512
- ^ “Phthalic anhydride”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH). 2024年10月13日閲覧。
- ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編