物理数学が実際にどのように物理現象に適用されるか調べる初等的な例として、電磁気学における静電ポテンシャルの問題について述べる。ここでは用いた物理数学の手法を明示するため、意図的に詳しく解答を掲載している。
無限に広がる真空中の誘電率を 、電荷密度を とするとき、静電ポテンシャル はポアソン方程式 を満たす。
ただし はベクトル解析における3次元ラプラシアンであり、 である。
これを偏微分方程式とみなしてフーリエ変換を用いて解き、 を求めよ。
この偏微分方程式の解として積分方程式 を仮定し、ポアソン方程式に代入すると次の方程式を得る。
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ここでΔ関数の性質から直ちに次の式を得る。
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このような方程式の解 をグリーン関数と呼ぶ。 のフーリエ変換を として両辺をフーリエ変換すると次の式を得る。
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これを について解き、逆フーリエ変換するとグリーン関数 について次の式を得る。
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ただし、 とした。積分部は複素積分を用いて計算することができるので次の式を得る。
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これをはじめの積分方程式に代入するとポアソン方程式の解 を得る。
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