ニオイヒバ

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ニオイヒバ (学名:Thuja occidentalis)は、ヒノキ科クロベ属の常緑針葉樹の高木[1]。北アメリカ北部からカナダにかけて分布し、葉にはレモンに似た芳香があり、名前の由来となっている。様々な園芸種も生み出されている[1][2]

ニオイヒバ
園芸品種スマラグ。別名エメラルド・グリーン。左後方はヨーロッパゴールド
分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Pinophyta
: マツ綱 Pinopsida
: マツ目 Pinales
: ヒノキ科 Cupressaceae
: クロベ属 Thuja
: ニオイヒバ Thuja occidentalis
学名
Thuja occidentalis
和名
ニオイヒバ
英名
Thuja occidentalis
ニオイヒバの園芸品種、ヨーロッパゴールド

概要

日本へは明治時代に取り入れられた。属名の Thuja はギリシャ語の「thyia(ある種の常緑樹)」に由来している。種小名の occidentalis は「西方の」という意味を持つ。原種は高さ15m前後まで成長する。細根で根張りが良好であるために水分や肥料を好む[1]ミノムシの食害を受ける事がある[1]。半日陰の湿潤な環境を好む[1]。外観はヒノキサワラに類似しているが、性質は大きくことなる面がある[1]。生育しやすい品種が多いために園芸品種は比較的安価に流通し、初心者向きとされる[1]。繁殖は挿木で増やす[2]

園芸種

 
ストルウィシュク’左後方は、ブルーヘブン、右後方はビャクシン・ピラミダリス

円錐形

  • エメラルド - 別名エメラルドグリーン、スマラグなど。広円錐形の園芸品種。強健で育て易い品種。樹高6mくらいまで成長する。葉は緑色で艶がある。樹高4m程度まで成長し寒暖の差に強く[1]、樹形も剪定なしで整いやすいが、葉が密になって蒸れて枯れすい[1]。ニオイヒバの中では最も樹形が美しいとされる[2]。樹高は4-5m[2]
  • グリーンコーン - エメラルドと比較すると、横幅が出ないので狭い敷地でも植えることが出来る。大きく育つと傾く事があるが[1]、移植や管理は容易とされる[2]。樹高5m程度まで成長する[1]。冬はややベージュ色を帯びる。秋にはオレンジ色の球果を付ける[2]
  • ヨーロッパゴールド - 黄金色の葉の代表品種[2]。小さいうちは芯が立ちにくい[1]
  • イエローリボン - ヨーロッパゴールドに似る黄金種だが、こちらの方が横幅が出ず細円錐状となる[1]。樹高4m程度に育つ[1]
  • Thuja occidentalis‘Degroots Spirr’デグルートスパイアー - 樹高4m。グリーンコーンの矮性種[1]。乾燥にやや弱く、強い日差しにも弱い[1]。冬は葉が少し茶褐色に染まる[1]。樹形はニオイヒバとしては細長くまとまる[2]。グリーンコーンの細長タイプ[2]。成長は遅い[3]
  • マリセンズ・サルファー - 鶯色の珍しい葉色の品種[1]。乾燥地には向いておらず、強い直射日光にも弱いなど気難しい面がある[1]。樹高は4m[1]
  • ホルムストラップ - グリーンコーンの矮性種で、成長速度は1/2以下[1]。樹高は3m程度。狭い場所に向き、冬は茶褐色を帯びる[1]
  • サンキスト - 苗のうちは球状だが、成長すると広円錐形となる[2]。樹高は2.5-4.0m[2]。ヨーロッパゴールドに似るが、下葉が茂り末広がりの形状となる[2]。成長はやや遅い[2]
  • ストルウィシュク - ゴツゴツとした大型の葉を持ちながら密に茂る品種。成長は遅い。葉先は夏場まで白色調を示す。やや独特の外観。自然に広円錐形となる[4]

球形

  • Globosa Aurea グロボーサオーレア - 別名ゴールデングローブ。球形に育つ矮性種[1]。直径1.5m程度に育つ[1]。強健種。春先は黄金色の葉色となるが緑色を帯び冬は褐色調となる[1]
  • Globosa Variegaata グロボーサバリエガータ - 斑入りのグロポーザ。班日陰に向く[5]
  • グロボーサボール - 非常に成長が遅く、自然に半球状の姿に落ち着く[1][2]。冬には褐色を帯びるが、それ以外の季節は緑色となる[1][2]
  • Thuja occidentalis 'Woodwardiiウッドワーデイー - グロボーサオーレアの緑色種[1][2]。やや成長が早く自然に球形にまとまる。
  • ダニカ - 成長が遅く、直径1mに成長する球形種[1][2]。鉢栽培に向く[1]。半日陰が好ましい[1]
  • ミラー - 半球状の品種[1]。成長が遅く鉢植えにも向いている[1]
  • Rheinngold ラインゴールド - コニファーには珍しいオレンジ色の葉色を持つ[1]。枝が細く雪害を受けやすい[1]。夏場の乾燥にも弱い[1]。冬季は枯れたような茶色となる[1]。鉢栽培に向く[1]。最初は半球状を呈するが年月がたつと芯が立って広円錐形となる[1]。肥料が切れると葉色が悪くなりやすい[2]

ギャラリー

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am 高橋護 コニファーガーデン―園主が教える選び方・育て方 (コツのコツシリーズ) 単行本 – 2007/7 農山漁村文化協会 ISBN 9784540051784
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r コニファー きれいに育てる全テクニック 監修 尾上信行 小学館 ISBN 4-09-305242-5
  3. ^ 花工房 コニファーガイド ニオイヒバ‘デグルートスパイアー’ 2016年1月16日閲覧
  4. ^ 花工房 コニファーガイド ニオイヒバ‘ストルウィシュク’ 2016年1月16日閲覧
  5. ^ 花工房 グロボーサバリエガータ 2016年1月25日参照