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|行く||'''いらっしゃる<br/>おいでになる<br/>お越しになる'''<br/>.<ref group="†">「敬語の指針」では「行かれる」で相手に対する敬語の程度が十分な地域もあれば不十分になりかねない地域(例:東京圏)もあることを例示し、敬語には地域差があることを指摘した(参照:[[敬語#方言における敬語表現]])。「お行きになる」は[[統語論|統語]]的に間違いではないが慣習上あまり使われない。</ref>||'''伺う<br/>参上する<br/>上がる<br/>参る'''||参る
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|いる||'''いらっしゃる<br/>おいでになる<br/>おられる'''<ref group="†">「おる」と「おられる」の用法は地域差が大きい。「おる」は元々西日本的な表現であり、「おられる」も西日本で多用される。「いる」を常用する東日本では「おる」は謙譲語であるとの意識が強く、「おられる」に抵抗を持つ者もいる。また京阪地域では「おる」は軽い軽蔑語・謙譲語に用いられ本来尊敬語には用いられないが、共通語の影響から現在では「おられる」が多用されている(参照:おられる - ウィクショナリー日本語版[http://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%8A%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B])。「いられる」は[[統語論|統語]]的に間違いではないが、共通語では慣習上ほとんど使われない。</ref>||'''おる'''||おる
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|受ける||||拝受する<ref group="†">主に書き言葉として使用</ref>
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=== 方言における敬語表現 ===
敬語(あるいは待遇表現)の運用に関しては地域差が存在する。西大まかには、東日本の多くの方言では、尊敬語旧城下町など特定の地域謙譲語・丁寧語あるいは素材階層で敬語が発達したのにし、西日本では幅広い地域・階層で敬語ともに発達し、改まった場面だけでなくくだけた場面でも日常的に敬語を用いる。また、福島県から静岡県京都かけての太平洋側や紀伊半島南部などでは、第三者(身内含む)終助詞話題使い分けや命令・依頼表現以外では敬語用いない(いわゆ際には第三者「無敬語」)。関東地方動作に必ず太平洋側のうち東京周辺だけは敬語・待遇表現伴うなど発達しており現代共通[[言とは異島]]をったしている。これは中世から近世にかけて上方から敬語・待遇表が移入されたためであり、在でも「お寒'''う'''ございます(×お寒くございます)」「ありませ'''ん'''(×ありましない)」などにそ発展名残が見られる。
 
現在、伝統的な各地方特有の敬語表現は衰退しつつあり、共通語の敬語に置き換わったり、有力な方言の敬語が他地域に広がったり(例:名古屋弁「みえる」の岐阜県への進出)といった現象が起こっている。場面に応じた使い分けで方言の敬語と共通語の敬語が共存している地域もあり、例えば近畿地方では、高い敬意を表す尊敬語「なはる」「お・・・やす」や丁寧語「だす・おます」「どす・おす」は共通語の敬語に押されて衰退したが、くだけた場面でも用いられる軽い尊敬語「はる」は共通語の敬語に置き換えることができないため、依然広く使われている。
一方、東日本では西日本ほど敬語が発達せず、福島東部・栃木・茨城の方言では敬語そのものが存在しない(イントネーションや文末詞の違いで敬意を表す)。共通語の基となった江戸・東京方言の敬語も、敬語が未発達だった関東のなかにあって、中世から近世にかけて京都方言の敬語が接ぎ木されて成立したものである。共通語の敬語において「お寒くございます」「ありましない」とは言わず、「お寒'''う'''ございます」「ありませ'''ん'''」のような西日本的な語形が現れるのはその名残である。
 
各地方特有の敬語表現は、旧来の身分制度の変化や共通語の敬語の普及から、軽い敬語表現を除き、高齢層以外ではほとんど廃れている。しかし共通語の敬語を用いる場合でも地域差は存在し、例えば東日本(特に関東地方)では「お…になる」を、西日本(特に中国地方)では「…れる」を多用する傾向がある。
 
=== 参考文献 ===
* [[菊地康人]]著『敬語』[[講談社]][[[講談社学術文庫]]]。ISBN 4061592688
* 大阪市立大学インターネット講座2004年度 日本語文法の基礎
* 宮治弘明「方言敬語の動向」、小林隆・篠崎晃一・大西拓一郎編『方言の現在』第4章283-296頁、明治書院、1996年、ISBN 4-625-42097-0
 
== 朝鮮語における敬語表現 ==