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{{出典の明記|date=2011年5月}}
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'''種子''' (しゅし) とは[[種子植物]]で[[有性生殖]]によって形成される[[散布体]]である。一般には、単に'''種'''('''たね''')と呼ばれることが多い。
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*個々の豆の表面は、薄い皮につつまれている。この皮を'''種皮'''(しゅひ)と呼ぶ。種皮は珠皮に由来する。
*種皮をはがすと、中には大きく2つに割れる部分がある。半球形の2つの部分は、小さな出っ張りの部分でつながり、その間には小さな折り重なったような構造がみられる。半球形の部分は'''[[子葉]]'''(しよう)といい、発芽すると双葉(ふたば)として地上に姿を現す(種子内にとどまるものもある)。丸くふくらんでいるのは、栄養が蓄えられているからである。
*子葉をつなぐ出っ張りは、'''[[胚軸]]'''(はいじく)と言って、芽生えた苗の茎になる部分である。胚軸に続く部分(子葉と反対側)が根となる幼根である。間に挟まった折り重なったものは、双葉の次の本葉が既にできているのが見えているものである。
[[ このように、種子の中には、既にこれから[[発芽]]する苗が含まれている。
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実際には、種子にも移動能力はないので、種子の散布は何か外の力に頼らざるを得ない。そのためそれぞれの植物は、何かに頼って種子を散布するための方法を発達させてきた。
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;風による散布 : 物理的な力に頼るものとしては、よく見られるものの一つである。[[裸子植物]]の[[クロマツ]]や[[アカマツ]]では、種子の一端が薄い膜状に伸びており、空中にでると風を受けて、回転しながら飛んでゆく。同じような構造を発達させたものに、[[カエデ科]]のもの([[カエデ|モミジ]]の仲間)や[[アオギリ]]などの果実がある。同じ風を利用するにも、[[キク科]]の[[タンポポ]]([http://www.alpine-plants-jp.com/himitunohanazono/seiyoutanpopo_himitu_1.htm セイヨウタンポポの痩果])などは、果実の一端から多数の毛を生じて、これが風を捉える方法を取っている。同様なものは、[[ガガイモ科]]の[[ガガイモ]]の種子、[[イネ科]]の[[ススキ]]の果実など、多くのものに見られる。
;水による散布 : 水はものを運ぶ力が強く、特別な適応がなくても勝手に運んでくれるので、多くの種がその恩恵をこうむっていると思われる。特に、水による運搬への適応を示しているので有名なものに[[ラッカセイ]](落花生・ピーナッツ)がある。豆の鞘が空気を含み、水に運ばれやすくなっている。[[スゲ]]の仲間の果実は後述のアリによる種子散布に適応したものと水による種子散布に適応したものの2つに大別される。
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:*餌となる事による散布をめざすものは、種子や果実が[[動物]]の食料として選ばれ、この時に散布の手助けをしてもらうことを期待するものである。
:**いわゆる[[果物]](くだもの)を多く含む[[漿果]]の果肉はそのために発達したものである。[[哺乳類]]や[[鳥類]]などに果物を食わせておき、同時に種子を丸呑みさせ、糞と一緒に排出され、そこで発芽する訳である。この場合、果肉は大きく柔らかく、糖分や脂肪を多く含む。それに対して種子は小さかったり、大きくて硬く、壊されにくい構造になる。[[ドリアン]]や[[レイシ]]、[[イチイ]]のように果皮起源の果肉ではなく仮種皮を果肉として発達させるものも多い。
:**[[ドングリ]]の場合、食料になるのはデンプンを多量に蓄積した種子そのもの([http://www.alpine-plants-jp.com/himitunohanazono/konara_himitu_1.htm コナラの堅果])である。種子散布に寄与する動物は[[リス]]のように種子を集めて貯蔵する習性がある動物である。餌になるとその時点で種子としての役割を失うが、それでも[[絶滅]]することがないのは、壊されるのが子葉の一部に過ぎなければ充分発芽に役にたつという側面があるとともに、貯蔵種子の一部を忘れてしまったり、食べ余したものも種子散布に役立っていると考えられている。
[[ :**種子そのものが食料になるのではなく、種子に餌をつけて運ばせるように進化したものがある。[[スミレ]]類や[[カタクリ]]は種子に付属する[[エライオソーム]]と呼ばれる[[脂質]]を多く含む肉質の部分を持つ([http://www.alpine-plants-jp.com/himitunohanazono/nisikisumire_himitu_1.htm ニシキスミレの種子])。これが[[アリ]]の餌となってアリに運ばれる。
:*動物の体表面にくっつき、運んで貰うための種子を発達させたものもある。果実や種子の一部に粘着物質を出したり、棘や毛で絡み付いたりするようになっているものである。人間の衣服にもよくくっつき、結実期(日本では主に秋)の山野にでかければ、必ず何種類かの種子に絡み付かれ、後で取るのに苦労する、いわゆる「[[ひっつき虫]]」[http://www.alpine-plants-jp.com/himitunohanazono/igaonamomi_himitu_1.htm イガオナモミの「いが」]がこれにあたる。
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== 種子の起源 ==
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最初に種子を形成した[[植物]]は、[[古生代]]末期の[[シダ種子植物]]である。[[シダ植物]]的な葉の表面に種子を並べた[[化石]]が発見されている。この仲間では、杯状の種皮の中に、雌性前葉体が閉じこめられている。
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進化の道筋としては、おそらくそのような形から、精子のみを作る雄性前葉体と卵のみを作る雌性前葉体が分かれるものが現れたらしい。現在でも[[水生シダ類]]などにそのようなものがあり、雌性配偶子になる大胞子と雄性配偶子になる小胞子を別々の胞子のうの中に作る。
さらに、大胞子が胞子のうから出る前に発生を始めるものが現れ、それを保護するための覆いが発達したのが種子の起源であると思われる。このようなことになったのは、陸上生活する[[維管束植物]]の生活史の中で、前葉体の時代が最も水に依存するからであろう。[[精子]]が[[卵]]の所まで泳がなければならない。そのためには水が必要になり、水がなければこの段階を超えられない。そこで、この段階を母植物の上で過ごしてしまう方向へ進化が進んだのであろう。精子を作る小胞子は種子のそばで発芽し、そこで精子を作れば、母植物の葉先の水滴だけで受精が可能になる。
[[File:Cycas revoluta female cone01.jpg|thumb|right|220px|ソテツの雌花]]
種子の皮である種皮は、胞子のうの袋とそれを守る皮からできている。未発達の種子を胚珠と呼ぶ。
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== 関連図書 ==
*「タネの大図鑑」(監修:[[サカタのタネ]] 発行:[[PHP研究所]])
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{{植物学}}
{{DEFAULTSORT:しゆし}}▼
[[Category:種子|*]]
[[Category:植物学]]
[[Category:植物形態学]]
[[Category:種子植物]]
▲{{DEFAULTSORT:しゆし}}
[[an:Simient]]
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