日産・QDエンジンとは、日産自動車によって1990年代後半 - 2000年代半ばまで生産されていた、直列4気筒のOHVディーゼルエンジンである。排気量は3200ccのみで、日本国内の新基準自動車排出ガス規制への対応が難しく、粒子状物質(黒煙)の排出も多かったTDエンジン[注釈 1]の後継(主にTD27系)としてTDエンジンから派生した。そのためTDエンジンとの共通点が多い[注釈 2]

日産・QDエンジン
QD32型ディーゼルエンジン
生産拠点 日産ディーゼル(現:UDトラックス)
製造期間 1990年代 - 2000年代後半
(日本市場向け)
タイプ 直列4気筒OHV
排気量 3.153 L
内径x行程 99.2mm x 102.0mm
圧縮比 22.0
最高出力 98 ~ 110ps (72~81kw)
最大トルク 22.5kgm(220.6Nm)/2000rpm(81kw仕様機において)
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車両用はZDエンジンへ完全移行したが、2024年現在でも三菱ロジスネクスト[注釈 3]フォークリフトに搭載されている。 [注釈 4]

バリエーション 編集

QD32系 編集

3,153cc 水冷 直列4気筒 OHV 渦流室式燃焼室 分配型噴射ポンプ

QD32 編集

  • 3,153cc 自然吸気
  • スペック:(1)100PS(74kW)/3,600rpm 22.5kg・m(221N・m)/2,000rpm
  • (2)100PS(74kW)/3,600rpm 21.3kg・m(209N・m)/2,000rpm
  • (3)110PS(81kW)/3,600rpm 22.5kg・m(221N・m)/2,000rpm
  • (4)105PS(77kW)/3,600rpm 22.5kg・m(221N・m)/2,000rpm
  • (5)98PS(72kW)/3,600rpm 22.0kg・m(216N・m)/2,000rpm
  • 軽油

QD32ETi 編集

搭載されていた車種 編集

不具合 編集

環境対策として日本国内でも導入が始まった脱硫軽油[注釈 5]の影響と見られる燃料噴射ポンプの不具合が報告されており、使用過程で、エンジン警告灯の点灯、アイドル回転が上下するハンチング、エンジンストール[注釈 6]などの症状が出る場合がある。その後、噴射ポンプは対策品に切り替えられている。

注釈 編集

  1. ^ NOxの生成を抑えるため、燃料の噴射量を多くしていた。
  2. ^ TDエンジンも海外向けに並行して生産が継続されていた。2024年現在は三菱ロジネクスト(以下、三菱ロ)系列のグローバルコンポーネントテクノロジー株式会社(以下、GCT)鴻巣工場にてフォークリフト向けTD27/TD42エンジンと並行して生産中。GCT鴻巣工場の前身は旧・UDトラックス株式会社鴻巣工場。2014年、UDトラックス株式会社より譲受。
  3. ^ 日産自動車フォークリフト事業部→日産フォークリフト(日産自動車より分社)→ユニキャリア社統合を経て現社名。
  4. ^ 2024年現在GCT社で生産されているのはQDエンジン系列としてはQD32のみ。
  5. ^ 硫黄の含有量が2003年から50ppm2007年から10ppm以下に定められた。
  6. ^ 走行中にエンジンが停止した場合はステアリングのパワーアシストブレーキブースターも失効する。

参考文献 編集

関連項目 編集