早雲寺殿廿一箇条(そううんじどのにじゅういっかじょう)は、戦国時代相模国後北条氏が定めたとされる家訓[1][2]。「北条早雲廿一ケ条」ともいい、北条早雲が定めたと伝えられる。全21ヶ条から成るが、内容は分国法としての面もあり、神仏への崇拝、主君への奉公の仕方、文武の鍛錬法、礼儀作法、友人の選び方、大工修繕の方法、清貧など日常的な生活上の心得などを簡潔明瞭に示している[1][2]。『北条五代記』は「早雲寺殿。二十一ケ條と號し。侍一生涯身の行の敎を。しるしをかれたる文有。其內二十ケ條に。武道のさた一言なし。終の一ケ條に。文武弓馬の道は常なり。しるすに及ばず」と記す。江戸時代初期までには成立しているが、早雲が定めたかどうか疑わしいという見方もある[1]

箇条 編集

一、可信佛神事(神仏を信ずること)
二、朝早可起事(朝は早く起きること)
三、夕早可寝事(夜は早く寝ること)
四、手水事(万事慎み深くすること)
五、拝事(礼拝を欠かさぬこと)
六、刀衣裳事(質素倹約を旨とすること)
七、結髪事(常に身だしなみを整えること)
八、出仕事(場の状況を見極めてから進み出ること)
九、受上意時事(上意は謹んで受け、私見を差し挟まぬこと)
十、不可爲雑談虚笑事(主の前で談笑するなど、思慮分別のない行動を慎むこと)
十一、諸事可任人事(何事も適切な者に任せること)
十二、讀書事(書を読むこと)
十三、宿老祗候時禮義事(常に礼儀を弁えること)
十四、不可申虚言事(嘘をつかぬこと)
十五、可学歌道事(歌道を学び品性を養うこと)
十六、乗馬事(乗馬の稽古を怠らぬこと)
十七、可撰朋友事(友とする者はよく選ぶこと)
十八、可修理四壁垣牆事(外壁や垣根は自ら点検し、修繕を怠らぬこと)
十九、門事(門の管理を徹底すること)
二十、火事用事(火元は自ら確認し、常に用心すること)
二十一、文武弓馬道事(文武両道を旨とすること)

脚注 編集

  1. ^ a b c 大久保俊昭「早雲寺殿廿一箇条」『日本大百科全書』 小学館。
  2. ^ a b 「早雲寺殿廿一箇条」『世界大百科事典』平凡社。