陰イオン界面活性剤(いんイオンかいめんかっせいざい、Anionic surfactant)または、アニオン界面活性剤は、陰イオン性の親水基を持つ界面活性剤

構造・性質 編集

親水基としてカルボン酸、スルホン酸、あるいはリン酸構造を持つものが多い。

洗浄力が強く、優れた起泡性を持つため石鹸衣料用洗剤シャンプー等に使われるが、乳化力は油への溶解性が低いため、非イオン界面活性剤に比べると劣る。

主な陰イオン界面活性剤 編集

界面活性剤の一覧も参照。

  • カルボン酸型 R−COOM+
    対イオンがナトリウムカリウムのものは石鹸として使用される。炭素数が12~18の脂肪酸が多い。
  • ABSLAS: R−C6H4−SO3Na+
    衣料用洗剤や工業用各種洗剤として使用される。以前はABSを使用していたが、河川の発泡問題による水質汚染を引き起こしたため、生分解性の良いLASに切り替えられた。
  • スルホン酸型 R−SO3Na+
  • 硫酸エステル型 R−O-SO3Na+
  • リン酸エステル型 R−O-PO(OH)OM+

合成 編集

アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 編集

合成にはフリーデル・クラフツ反応を用いる。 Rはアルキル基。

  1. 付加
    R + C6H6 → R-C6H5
  2. 求電子置換反応
    R-C6H5 + H2SO4 → R-C6H4-SO3H + H2O
  3. 中和
    R-C6H4-SO3H + NaOH → R-C6H4-SO3Na + H2O

石鹸 編集

油脂鹸化法
牛脂、ヤシ油、オリーブ油などの天然油脂を水酸化ナトリウムを用いて鹸化する方法。
R-COOCH2CH(OOC-R)CH2OOC-R + 3 NaOH → C3H5(OH)3 + 3 R-COO-Na
以前は炭酸ナトリウムを用いた方法で合成されていた。
2 R-COOCH2CH(OOC-R)CH2OOC-R + 3 Na2CO3 + 6 H2O → 3 H2CO3 + 2 C3H5(OH)3 + 6 R-COO-Na

脂肪酸塩 編集

R-OH + SO3→ R-O-SO3H

R-O-SO3H + NaOH → R-O-SO3Na + H2O

参考文献 編集

  • 「界面と界面活性剤−基礎から応用まで−」(日本油化学会、2004年